【第7講】売主直売、代理、媒介など、取引態様から分かる仲介手数料の違い

不動産取引の種類と、その特徴について解説します。

更新日:2022年12月13日

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この記事の要点
  • 「取引態様(とりひきたいよう)」とは、宅建業者が、取引にどのような立場で関わるのかを区別して表したもの
  • 広告にも必ず取引態様が記載されているのは、トラブルを防ぐため
  • 取引態様は3つの種類がある
  • 仲介(媒介)は、さらに3つの種類がある
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不動産の取引には、仲介のほかにも種類があります。取引によっては、もともと仲介手数料のかからないパターンもあります。ここでは、不動産取引の種類と、その特徴について解説します。

不動産会社の立場をあらわす「取引態様」

不動産会社などの宅建業者が、取引にどのような立場で関わるのかを区別して表したものが、「取引態様(とりひきたいよう)」と呼ばれるものです。不動産物件の広告には、この取引態様が必ず記載されます。

取引態様は明示義務あり

宅建業法の規定により、不動産会社はこの取引態様の区別を、
(1)広告をするとき
(2)依頼人から購入や売却依頼の注文を受けたとき 
の2回、重複になっても、必ず明示するように義務付けられています。

なぜ、取引態様の明示が義務付けられているかというと、この取引態様の種別によって、契約までの手続きや宅建業者の法律上の規制、そして消費者である売主、買主の支払う仲介手数料費用の有無が変わるからなのです。

例えば、買主が購入を決める段階で、不動産会社が売主の仲介手数料がかからない物件だと思いこんだまま契約しました。しかし、実はほかに売主がいる仲介物件で、100万円単位の仲介手数料が必要だった、ということになると、大きなトラブルになってしまいます。

どんな物件の広告にも必ず取引態様が記載されているのは、こういったトラブルを防ぐために、法律上の義務とされているからです。

取引態様の3つの種類と、仲介手数料の違い

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不動産会社の「取引態様」には、大きく分けて3つの種類があります。

<売主>

不動産会社自らが所有している物件を販売・賃貸する場合です。売主直売物件ともいわれます。
□仲介手数料・・・不要

売主(貸主)と、買主(貸主)の間に仲介業者は介在しないので、仲介手数料は発生しません。


<代理(販売代理)>

物件を所有している売主から委託を受けて「代理権」を与えられた不動産会社が、売主に代わって販売活動から契約までの取引を行う場合です。不動産会社は、売主の代理人として契約を締結する権限を持ち、買主から見ると売主とほぼ同じ立場になります。販売代理ともいいます。
□仲介手数料・・・買主は不要の場合が多いですが、確認が必要。売主は手数料が発生します。

買主はかからない場合がほとんどですが、念のため、代理の場合は諸費用の内訳などを確認しましょう。

<仲介(媒介)>

売主と買主の間に入り、双方の仲立ちとなって取引を行う場合です。不動産の売買には専門的な知識が必要とされますので、仲介を依頼することが一般的です。最も多くみられる取引態様が、この「仲介」といえるでしょう。
□仲介手数料・・・必要

通常は、契約成立時に売買価格に応じた仲介手数料が発生します。
仲介(媒介)は、さらに下記の3つに分かれます。

媒介の3つの種類

不動産会社が売主(貸主)から直接、売却(賃貸)の依頼を受けていることを表すときは「媒介」といいます。媒介には3つの種類があり、以下のような違いがあります。

一般媒介契約

売主の禁止事項や、不動産会社の義務は特にない。
○売主はほかの複数の業者にも売却を依頼することができる。
○売主が自分で購入希望者を見つけたときには、媒介契約に関係なく直接契約できる。
☆契約期間は無制限

専任媒介契約

<売主の禁止事項>
×契約した1社に売却を一任する。ほかの業者へ重ねて依頼することはできない。
○売主が自分で購入希望者を見つけたときには、媒介契約に関係なく直接契約できる。

<不動産会社の義務>
・契約期間中は、2週間に1回以上の割合で業務処理状況を報告する義務がある。
・契約締結から7営業日以内に、不動産指定流通機構(レインズ)へ物件情報を登録する義務がある。
☆契約の有効期間は3カ月以内


専属専任媒介契約

<売主の禁止事項>
×契約した1社に売却を任せる。ほかの業者へ重ねて依頼することはできない。
×売主が自分で購入希望者を見つけても、直接契約をしてはいけない(自己発見取引の禁止といいます)。

<不動産会社の義務>
・契約期間中は、1週間に1回以上の割合で業務処理状況を報告する義務がある。
・契約締結から5営業日以内に、不動産指定流通機構(レインズ)へ物件情報を登録する義務がある。
☆契約の有効期間は3カ月以内


後者になるほど売主への制限が多くなりますが、一般 → 専任 → 専属専任の順で、売主に対する不動産業者の仕事は手厚くなっていくとイメージすればいいでしょう。


不動産指定流通機構とは、宅地建物取引業者だけが閲覧できる物件情報のネットワーク・システムで、通称「レインズ」と呼ばれています。ここに物件を登録すると、全国の不動産会社に物件を売りに出している情報が公表され、買い手が見つかりやすくなります。

「専任」「専属専任」の場合は、このレインズへの登録が義務付けられているのですが、中には手数料を両手にしたいがために、自社で買主を見つけてレインズ登録をしない、登録後すぐに掲載を削除するなどの悪質な業者もいます。こういった悪質な手口は「囲い込み」と呼ばれ、売主が気付かぬうちに売却の機会を失ってしまうため、売主にとっては相当な不利益となります。

本来、「専任・専属専任媒介」の方が「一般媒介」よりも不動産会社の仕事が手厚く、売却に有利と思われていたのですが、昨今はこういった不動産会社の「囲い込み」が白日の下にさらされ、取り沙汰されています。売却の際になかなか信頼できる一社を選定できないときは、一般媒介で2~3社に売却を依頼し、不動産会社同士を競わせるのもよいでしょう。

物件相場を間違えなければ、物件を売却に出してから売れるまでの期間は、平均して2~3か月です。「専任」「専属専任」の媒介契約には3カ月の有効期間が定められていますので、その間に引き合いがない場合は、媒介業者を変えるのもよいでしょう。

また、契約は双方同意の上であれば解消できます。媒介の場合でも、手数料は成果報酬ですので、物件の売買が成立したときでなければ支払う必要はありません。大切な資産を預けるのですから、信頼できる不動産会社を見極めることが肝要です。
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