家の名義変更の方法は?メリットやかかる費用・期間も紹介!

家(不動産)の売買契約にあたっては契約の締結時はもちろん、締結後も売り主から買い主への名義変更(所有権移転登記)など法律に基づきさまざまな手続きを行わなければなりません。特に名義変更は手続きが煩雑なので、一般の人には難しいというイメージがあります。また、登録免許税などの費用や移転までにかかる期間もよく知られていません。この記事では名義変更における具体的な手続きや費用、期間について詳しく解説します。

更新日:2019年11月26日

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1.不動産における名義変更とは

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不動産における名義変更(所有権移転登記)とは、法務局に必要書類を提出し、対象となる不動産の所有者の名義を変更することです。登記とは、物権や債権、不動産などの権利関係を広く社会に公示する制度です。このような権利関係は全て法務局が管理している「登記簿」に記載されており、誰でも閲覧できるようになっています。逆にいえば、この登記を備えていないと不動産の買い主は第三者に対して所有権を主張できません。
もし、売り主が買い主とは別の第三者により有利な条件で売り渡し(いわゆる二重売買)、所有権が移転したことが登記簿に記載されていれば、所有権は第三者のものです。このため通常は不動産の引渡時に不動産会社の立ち合いのもと、司法書士が所有権の移転の手続き、つまり名義変更を行います。

ただし、名義変更といっても所有物件の所有権移転登記と賃貸物件の名義人変更は性質が全く異なるので注意が必要です。所有権移転登記が登記制度のもと所有権の所在を公に開示するものであるのに対し、賃貸借契約は私人間の合意としての契約であり、当事者同士の契約内容の変更にすぎないからです。賃貸物件の名義変更は、結婚や離婚で賃借人が変更または氏名が変更になった場合や契約者の死亡により遺族が契約者になる場合などに認められ、一般的には物件を管理している管理会社で行われます。
また、賃貸物件の名義人変更は保証会社の保証契約書や火災保険の登録変更の手続き上、すみやかに行わなければなりませんが、所有物件の場合、例えば遺産相続や生前贈与で家を処分しないのであればそれほど急いで変更する必要はありません。

2.家の名義変更が必要なのはどんなとき?

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一般的に、家(不動産)の名義変更が必要なのは以下の4つのケースがあげられます。※所有権の移転に伴う場合

・遺産相続
物件の所有者が亡くなった場合、亡くなった人(被相続人)の名義を相続人の名義に変更する必要があります。
これを相続登記といいます。遺言書がなかったり、法定相続分とは異なる割合で遺産を分割したりする場合には、相続人間で協議(遺産分割協議)を行って遺産分割協議書を作成した上で相続登記を行います。相続登記は法律上、特に期限は設けられていませんが、登記を行っておかないと相続人同士でさらにモメたり不動産を処分できなかったりするので早めにすませておきましょう。

・生前贈与
生前贈与とは、財産の所有者が生前に自分の財産(金銭や不動産、車など)を無償で受贈者に譲渡することです。
生前贈与は相続税の節税効果があり、また贈与する相手を選択できることから利用する人が急増しています。
ただし、不動産を生前贈与する場合、贈与を受ける側に対し登録免許税や不動産取得税に加えて贈与税が発生するので注意が必要です(不動産にかかる贈与税については「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」など控除制度もいくつかあります)。

・財産分与
財産分与とは離婚の際に婚姻中に夫婦で築いた財産を分割し、夫と妻がそれぞれどの財産を承継するのかを決めることをいいます。生前贈与と異なるのは、財産分与は無償の贈与ではなく、あくまで財産の分割であり、原則として贈与税が課されないことです(逆に離婚する前に財産分与をしてしまうと生前贈与とみなされて贈与税が課税されるおそれもあります)。登録免許税や不動産取得税といった税金もかかりません。
ただし住宅ローンが残っていたり、土地と建物で名義が違っていたりすると権利関係や手続きがより複雑になるので、不動産を財産分与する場合は弁護士など専門家に相談したほうがいいでしょう。

・不動産売買
不動産を購入した買い主は売り主に対し不動産の引渡請求権や名義変更(所有権移転登記)を請求できる権利(所有権に基づく物権的請求権)があります。不動産の購入後、買い主が第三者に対して所有権を主張するためには名義変更が必要になるため、不動産売買による名義変更はすみやかに行われなければなりません。所有権が移転するタイミングは民法上は売買契約締結時と定められています(民法176条)。
しかし、それだと買い主が手付金だけを支払って残代金を支払わない場合でも所有権が移転してしまいます。そのため通常は売買契約において残金決済時に所有権が移転する旨の特約を設けています。

3.名義変更にかかる費用と期間

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不動産の名義変更にかかる費用としては、必要書類の取得費用、司法書士に依頼した場合は支払報酬、その他にも登録免許税や譲渡所得税などがかかります。ここでは主に不動産売買による不動産の名義変更手続きに必要な費用と期間について詳しく説明します。

費用

不動産売買による不動産の名義変更手続きにあたっては、売り主側と買い主側で必要書類やかかる税金が異なるため、それに応じて費用も変わります。まず、売り主側にかかる費用からみていきましょう。


売り主側
・必要書類にかかる取得費用

売り主は不動産売買契約書や登記済権利証などの書類が必要ですが、このうち印鑑証明書および固定資産評価証明書、住民票の取得にあたっては、一冊に付き数百円の取得費用(合計で数千円程度)および市町村役場へ赴く際の交通費などがかかります。

・抵当権抹消登記、住所変更登記および氏名変更登記にかかる登録免許税
抵当権抹消登記は名義変更(所有権移転登記)とは別の手続きですが、抵当権が設定されている不動産は必ず抹消登記をしてから売却しなければならないので、一般的には所有権移転登記と同時に行います。
抵当権抹消登記、住所変更登記および氏名変更登記にかかる登録免許税はすべて、不動産の数×1,000円です。司法書士に依頼した場合は、抵当権抹消登記で5,000円~10,000円、住所変更登記および氏名変更登記で10,000円~15,000円の報酬が発生します。

・土地や建物の譲渡所得に対する税金(譲渡所得税)
土地や建物を売却(譲渡)した場合、譲渡所得に対して税金が課せられます。
長期譲渡所得(所有期間が5年を超える場合)か短期譲渡所得(5年以下)か、また売却した不動産がマイホームかどうかで税率や特別控除額が異なります。


次に買い主側にかかる必要書類の取得費用と税金、司法書士への支払報酬をみていきましょう。

買い主側
・必要書類にかかる取得費用
売り主側と同じく、住民票や印鑑証明書の取得に数千円かかります。

・所有権移転登記にかかる登録免許税
所有権移転登記に関して登録免許税法では、土地の売り主、買い主の双方が連帯して納付する義務を負うとされていますが、通常は買い主側が負担しています。所有権移転登記にかかる登録免許税は土地(不動産の価格×1,000分の20、2021年3月31日までは1,000分の15)と建物(不動産価格×1,000分の4)で別々に定められています。
また特定認定長期優良住宅や認定低炭素住宅、特定の増改築がされた住宅家屋の税率は0.1%です(2020年3月31日まで)。

・所有権移転登記にかかる支払報酬
所有権移転登記は複雑なので、通常は司法書士に依頼します。司法書士は不動産の情報を調査したり必要書類を取り寄せたりしてから所有権移転登記の申請を行うので、その分の実費と報酬が発生します。司法書士に対する報酬は司法書士事務所によって異なりますが、相場は50,000円~120,000円です。

・不動産取得税
不動産取得税は売買や贈与で不動産を取得したときに課せられる地方税です(相続は非課税)。土地・建物に対し課税標準額(固定資産税評価額)×4%の税金が課せられます(特例により2021年3月31日まで土地および住宅は税率3%、住宅以外の家屋には税率4%)。
また土地の場合は宅地かそれ以外か、建物の場合は新築か中古かでも計算方法や控除額が異なります。

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期間
不動産売買にかかる家(不動産)の名義変更は、まず手続きに必要な書類を準備することから始まります。
役所に行けば大抵の書類はその場でもらうことができますが、郵送で行うと1~2週間かかることもあります。書類を取得したあとは、その書類を元に法務局に提出する登記申請書などを作成。
また、法務局に登記申請した後には審査があるため、その審査期間も見ておきましょう。
目安としては1カ月程度で名義変更が完了しますが、売り主、買い主双方の協力が必要なので、足並みがそろわない場合はさらに時間がかかることもあります。

4.家の名義変更!具体的な方法や流れを紹介!

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家(不動産)の名義変更をするときは、売買契約の締結にはじまって必要な書類を取得、提出書類を作成した後、法務局に申請するというのが大まかな流れです。ここでは不動産の名義変更の具体的な方法や流れを紹介します。

申請先
不動産の名義変更(所有権移転登記)の申請先は法務局です。
申請の方法は電子申請と書面申請の2つの方法がありますが、書面申請の場合、必要事項を記載した登記申請書と添付書類を管轄区域の登記所(法務局)に提出します。登記所の管轄は法務局のホームページで調べることができます。管轄区域以外の登記所に提出しても受理されないので注意しましょう。遠方の場合、郵送による申請も可能です。

必要書類
家(不動産)の名義変更にあたって必要な書類は以下のとおりです。

売り主側の必要書類

・不動産売買契約書
・登記済権利証(不動産を取得した際に発行されたもの。または登記識別情報通知)
・本人確認書類(顔写真付きのもの)
・印鑑証明書(取引日の時点で3カ月以内に取得したもの)
・固定資産評価証明書
・住民票(登記上の住所から住民票の住所が変更されている場合は戸籍の附表)


い主側の必要書類

・本人確認書類(顔写真付きのもの)
・印鑑証明書(住宅ローンなど融資を受ける場合。取引日の時点で3カ月以内に取得したもの)
・住民票


※名義変更(所有権移転登記)に必要な書類は法務省のホームページの「新不動産登記法の施行に伴う登記申請書等の様式について」に詳しく掲載されています。

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流れ
名義変更(所有権移転登記)の申請の流れ
・売買契約の締結
・土地や建物の所在地を管轄する法務局を調べる
・売り主、買い主双方で名義変更のための必要書類を取得する
・登記事項証明書(登記簿謄本)を取り寄せて不動産の情報を調べる
・取り寄せた書類を参考にしながら登記の申請書を作成
・買い主が売買代金を支払い、売り主が物件を引き渡す
・決済後、登記申請書に必要書類を添付して法務局に直接または郵送で提出
・申請が受理される

売買契約締結後、管轄の法務局を調べておきましょう。管轄の法務局は法務局のホームページで簡単に調べることができます。登記事項証明書(登記簿謄本)とは、登記記録に記録された事項の全部または一部の証明書のことです(司法書士が名義変更を行う場合は、必ず登記事項証明書を取り寄せて売り主を確認します)。
もし申請書の作成でわからないことがあれば、管轄の法務局に問い合わせましょう。
一部の登記所をのぞき窓口相談も受け付けています(事前予約制)。名義変更の申請後は法務局で審査が行われ、申請が問題なく受理されると「登記識別情報通知」という権利証が発行されます。大切に保管しておきましょう。

5.自分でする?仲介業者に依頼することもできる!

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家(不動産)の名義変更について見てきましたが、前述したとおり必要書類の取得から登記申請書の作成まで手続きがかなり複雑です。名義変更手続きは自分でももちろん行えますが、仲介業者を通じて司法書士に依頼する方法もあります(不動産登記や商業登記などの登記業務は司法書士の独占業務です)。
自分で手続きする場合と仲介業者に依頼する場合、それぞれについて説明します。

自分で手続きする場合

家(不動産)の名義変更手続きは時間と労力、あと最低限の法律用語の知識さえあれば自分でできます。
必要書類の取得から登記申請書の作成まですべて自分で行えば、必要書類の取得費用や登録免許税といった実費以外はほとんど発生しないのでその分費用が抑えられます。売り主と買い主が協力する必要はありますが、名義変更の手続きを行う不動産が1つしかなかったり、分筆登記や抵当権抹消登記などその他の手続きがなかったりする場合はチャレンジしてもいいかもしれません。

ただし、登記申請書の書き方の相談や登記申請書の申請で法務局に何度も足を運ばなければなりません(法務局の業務取扱時間は平日8:30~17:15)。
また申請後、提出書類に不備があった場合は法務局から連絡が来て登記の補正(訂正すること)を命じられることもあります。さらに買い主が住宅ローンを利用して物件を購入した場合、所有権移転登記と抵当権設定登記を一括で申請しなければなりませんが、抵当権設定登記を買い主(債務者)に任せることは金融機関側にとってあまりにリスクが高すぎるのでまず認められません。このような場合はしかるべき司法書士に依頼するよう求められます。

このように司法書士しかできない手続きや、場合によっては難易度が高すぎて一般人には難しい事例もあります。いずれにせよ不動産は高額な財産なので、後々トラブルにならないよう十分な知識を得た上で行うべきでしょう。

仲介業者に依頼する場合
不動産の売買は多くの場合不動産仲介業者を介して行われます。
名義変更(所有権移転登記)など不動産売買に係る登記申請はサービスにふくまれていることがほとんどで、無事に売買契約が締結されると不動産仲介業者と提携している司法書士が手続きを開始します。不動産仲介業者の承諾があれば、提携外の司法書士に委任することも可能です。不動産仲介業者を通じて司法書士に依頼すれば、必要書類の取得や登記申請書の作成といった面倒な作業はほとんどありません。不動産仲介業者を利用しない、またはサービスに含まれていない場合には、別の司法書士など専門家に依頼できます。
ただし専門家に依頼する場合は実費以外に支払報酬も発生します。支払報酬は事務所や依頼する内容によって異なります。

6.基礎控除が適用になる!名義変更をするメリット

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不動産の名義変更をするメリットは何でしょうか?
一番のメリットは、誰が所有者か明確に証明し、第三者に対して所有権を主張できることでしょう(これを公示力といいます)。
また、売り手側の税負担が小さくなることもメリットとしてあげられます。
例えば固定資産税は1月1日現在の所有者に課税されるので、年の途中で不動産を売却しても納税義務は売り主側にあります。しかし、売買契約上、引渡日を基準に売り主と買い主で税金を分担するのが一般的なので、実質的に税金が返ってきます。売却した翌年からは、買い主が納税義務者になります。

逆に買い主側は名義変更に伴い登録免許税や不動産取得税など税負担が大きくなりますが、一定の要件を満たせば10年~15年にわたって毎年ローン残高の1%を税額から控除できる住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)という制度もあります。都心には中古物件でも数千万円という物件が多いので、ぜひ活用すべきでしょう。
ただし住宅借入金等特別控除の適用を受けるためには確定申告を行う必要があります。確定申告は少し大変ですが、翌年以降は年末調整で手続きが完了するので忘れずに申告しましょう。

7.知っておこう!名義変更をしないデメリット

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それでは不動産の名義変更をしなかった場合のデメリットはなんでしょうか?
前述しましたが、一番のデメリットは所有権を第三者に対して主張できないことです。
また、家(不動産)を売却することも、誰かに賃貸することもできません。所有権とは物を自由に使用・収益・処分する権利(民法206条)ですが、このような場合、自分に所有権がある(=名義人である)とはみなされないからです。同様に、名義変更が完了していないと不動産に抵当権を設定できません。住宅ローンを組むときに所有権移転登記と抵当権設定登記を一括で申請するのはこのためです。

さらに相続人が不動産の名義変更をしないまま亡くなると、亡くなった相続人の被相続人にまで遡って相続が発生するため、相続人の数が増えてトラブルになることが非常に多くなります。相続人が複数人いる場合は遺産分割協議が行われますが、合意が取れず相続が長引くことも。当然、相続人の子孫への相続もスムーズにいきません。遺産分割が長引いている間に、不動産が知らぬ間に売却されていたという事例もあります。
相続や売買など、不動産の名義変更が必要な場合にはなるべく早めにすませておくことをおすすめします。

不動産売買を成功させるためにプロに相談してみよう!

今回は不動産の名義変更を行う際の手続きなどをいくつか紹介しました。
しかし不動産の売買時は名義変更だけでなく売買契約の締結、付帯設備の引き継ぎといったさまざまな手続きが必要です。もし不動産の売買において不明な点があるなら、業界を知り尽くしたプロが個別相談会や面談を通じて不動産の購入から売却、投資までアドバイスするIESHILの「無料個別相談会」を利用することをおすすめします。

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