【第5講】ケース別解説!不動産屋に支払う仲介手数料の仕組み

仲介手数料の仕組みについて、今回は「不動産屋」の視点から解説していきます。

更新日:2016年03月17日

イエシルコラム編集部さんのプロフィール画像

イエシルコラム編集部

株式会社リブセンス

IESHIL編集部

東京・神奈川・千葉・埼玉の中古マンション価格査定サイトIESHIL(イエシル)が運営。 イエシルには宅建士、FPなど有資格者のイエシルアドバイザーが所属。ネットで調べてわからないことも質問できるイエシル査定サービスを展開しています。

この記事の要点
  • 不動産会社の立場からすると仲介の取引形態と手数料にはいくつかのパターンがある
  • 「両手」(取引)が仲介業者にとっては手数料収入が最も多い取引の形態
  • なるべく両手で成約させたいというのが本心
  • 手数料を安くする分にはいくら安くしても不動産会社の自由
【第5講】ケース別解説!不動産屋に支払う仲介手数料の仕組みの画像

「不動産屋」の視点から仲介手数料を考えてみると、その仕組みの理解が進みます。

不動産会社から見た仲介手数料のパターン

中古マンションなど不動産売買において、売主・買主の立場から見ると、関わっているのは自分が仲介を依頼した不動産会社ですから、取引が無事に成立すれば仲介業務を行ってくれた不動産会社に対し、その成功報酬として手数料を支払います。

例えばあなたが売主であれば、仲介手数料は売却の仲介を行ってくれた不動産会社に支払うもので、買主側の不動産会社に支払う必要はありません。

いずれにしても、希望にあった売り手・買い手が見つかり、無事に取引が成立すれば目的が達成されます。しかし、実は依頼を受けた不動産会社の立場からすると仲介の取引形態と手数料にはいくつかのパターンがあるのです。

手数料収入が最も多い「両手」取引

例えばあなたがA不動産会社に、マンションを売却したいので、買ってくれる人を探すよう依頼したとします。

売却を依頼されたA不動産会社は、色々なところに広告を打ち、他の不動産会社にも物件情報を公表します。しばらくすると、A不動産会社は、広告を見て自社に問い合わせをしてきた人の中から、あなたのマンションの購入希望者を見つけてきました。お互いの条件もぴったり合って、無事、売買契約が成立しました。

この場合、A不動産会社は売主と買主の両方から仲介手数料を受け取ることができます。

仮に3000万円の不動産の売買とすると、売主(あなた)の支払う仲介手数料は
3000万円×3.24%+6.48万円=103.68万円

これを買主と売主の両方から受け取ることができるので、
103.68万円×2=207.36万円

合計して最大207.36万円の仲介手数料を得ることができます。

このようなケースは、両方から手数料をもらえるため「両手」(取引)と呼ばれています。仲介業者にとっては手数料収入が最も多い取引の形態となります。

取引に複数の不動産会社が介在する場合

【第5講】ケース別解説!不動産屋に支払う仲介手数料の仕組みの画像

2社が仲介に介在する「片手」取引

次に、複数の不動産会社が取引に介在するケースです。

あなたがA不動産会社にマンションの売却を依頼しました。A不動産会社が公表したマンションの情報を見たBという不動産会社が、マンションの購入希望者をみつけてきました。
無事、売買契約が成立し、売主(あなた)はA不動産会社に、買主はB不動産会社に、それぞれの仲介手数料を支払いました。

仮に3000万円の不動産の売買とすると、
3000万円×3.24%+6.48万円=103.68万円
これを売主と買主がそれぞれの不動産会社(仲介業者)に支払います。

この不動産売買には、売主から依頼を受けたA社と、買主から依頼を受けたB社の2社が介在します。A社とB社はお互い協力して、売主と買主の間の取引を仲介していくので、これを共同仲介と言います。またA社とB社は売主・買主のそれぞれ一方からだけ仲介手数料をもらうので、こうした取引は、先程の「両手」に対して「片手」(取引)と呼ばれます。

また、1社2社ではなく、一つの取引に3社、4社と複数の仲介業者が関わる共同仲介もあります。「中に(複数の)業者が入っている」という意味で、業界用語で「あんこ」と呼ばれるパターンです。こうした場合でも、売主・買主が支払う手数料の上限は変わりません。

仲介業者はそれぞれの依頼人から受け取る手数料を、関わった複数の業者で折半したり、調整して分けあうことになるので、このパターンの手数料収入は、両手や片手の取引に比べてもさらに少なくなってしまいます。つまり、売主や買主が支払う手数料は同じ額だとしても、不動産会社としては、取引に介在する業者は少ない方が、依頼人からの手数料収入を多く得ることができるのです。そして、できるのであればなるべく両手で成約させたいというのが本心なのです。

仲介手数料の値引き交渉は可能!?

法律で定められている仲介手数料の規定は、あくまで不動産会社が受け取っていい「上限」です。上限を守れば、安くする分にはいくら安くしても不動産会社の自由とされています。

買主側が、値引きを希望しているのですが、売主が売買価格を下げることに応じない場合、その値引きで買主側の購入意思がまとまりそうな時には、不動産会社は買主からもらう予定の仲介手数料の値下げを提案することがあります。物件の売買価格そのものは安くできなくても、結果的に買主の支払総額を下げることができるためです。

そうするともちろん不動産会社の手数料収入は減ってしまうのですが、場合によっては成約の方を優先させることがあります。

売主と買主両方から手数料を受け取ることができる「両手」のパターンだった場合、値引きによって一方からの手数料収入が減ってしまったとしても、他方からの手数料も得ることができ収入に余裕があるため、比較的値引き交渉に応じやすいことがあります。

しかし、一方からしか手数料をもらえない「片手」の場合や、複数の業者で手数料を分け合わなければならない「あんこ」の場合は、「両手」とくらべて収入がだいぶ違ってきます。もともとの手数料収入が少なく値引きできる余裕があまりないため、値引き交渉が難しくなります。

仲介手数料が高いと感じたら、これまで述べてきた仲介のパターンを把握して、不動産会社のふところ具合を理解した上で、仲介手数料の値引き交渉をしてみるとよいでしょう。

仲介手数料の他にもさまざまな不動産業界の仕組みをお伝えし、中古マンションの購入・売却のノウハウをアドバイザー徹底解説。あなたのためのアドバイザーとして、中立的な立場からマンション売買のポイントをアドバイスします。マンション売買をご検討の方は、お気軽にご相談ください。

ご意見、ご要望はこちら

IESHIL編集部オススメ記事

IESHILコラムとは、不動産物件情報に関連してコラム等の関連情報も提供する付随サービスです。
ご利用により、IESHIL利用規約が適用されますので、規約のご確認をお願い致します。