【第4講】中古マンションの仲介手数料と消費税の注意ポイント

今回は、不動産売買における消費税の取り扱いについて解説します。

更新日:2016年02月09日

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この記事の要点
  • 不動産に消費税が「かかる部分とかからない部分がある」
  • 土地には消費税がかからない
  • 不動産の売買においては、売主が個人であれば消費税は課税されない
  • 仲介手数料の計算をする際には、課税対象となる不動産売買取引の場合は、消費税額にも注意

課税対象となる建物

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消費税は私たちの生活にとって最も身近な税金といっても過言ではありません。例えば、コンビニでおにぎり1つ購入するにもレジで消費税を支払っています。しかし、不動産売買においては、消費税の取り扱いが通常の買い物とは異なる部分が生じてきます。そこで今回は、不動産売買における消費税の取り扱いについて解説します。

不動産に消費税は課税されるのか

不動産の取引には消費税が課税されるのでしょうか。
その答えを一言で言うと「かかる部分とかからない部分がある」となります。

さて、これはどういう意味でしょうか。
不動産は大きく分けると、「建物部分」とその建物が建っている「土地部分」の2つから成ります。そして消費税の取り扱いは、この建物部分と土地部分によって変わってくるのです。

土地には消費税がかからない

そもそも消費税とは、1989年から導入されている間接税で、「消費」という行為に対して課税される税金のことです。土地は、コンビニで買うおにぎりと違って「消費」するものではありません。会計上も土地は減価償却がありません。なぜなら土地は「劣化しない」という考え方だからです。

よって、不動産売買において、土地については消費税は課税されません。

課税対象となる建物

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不動産の取引において消費税が課税される可能性があるのは、建物についてです。ただし、常に消費税が課税されるわけではありません。不動産の売買においては、売主が個人であれば消費税は課税されません。

ですから、個人の方が自宅の売却を不動産会社に依頼したとしても、自宅に対して消費税は課税されません。ちなみに、不動産賃貸の場合は、家賃については非課税ですが、事務所として使用している物件の家賃は課税対象となります。

なお、居住目的での賃貸でも貸付期間が1ヶ月未満の場合や、ウィークリーマンションなどの短期賃貸の場合は課税対象となりますので注意しましょう。

不動産価格は税込み表示?それとも税抜き表示?

2013年10月1日に施行された消費税転嫁対策特別措置法によると、消費税の表示ルールは次のように規定されています。

1.事業者は、自己の供給する商品又は役務の価格を表示する場合において、今次の消費税率引上げに際し、消費税の円滑かつ適正な転嫁のため必要があるときは、現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置を講じているときに限り、税込価格を表示することを要しない。

2. 前項の規定により税込価格を表示しない事業者は、できるだけ速やかに税込価格を表示するよう努めなければならない。

3. 事業者は、自己の供給する商品又は役務の税込価格を表示する場合において、消費税の円滑かつ適正な転嫁のため必要があるときは、税込価格に併せて、消費税を含まない価格又は消費税の額を表示するものとする。


つまり、この法律の期間であれば、通常は「税込価格」の表示をしなくてもよい場合があることになります。(なお、この法律は、失効期限が2017年3月31日から2018年9月30日に延長されました。)

ただ、不動産の場合は別途「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」というものがあり、次のように規定されています。

「住宅(マンションにあっては、住戸)の価格については、1戸当たりの価格(敷地の価格(当該敷地が借地であるときは、その借地権の価格)及び建物(電気、上下水道及び都市ガス供給施設のための費用等を含む。)に係る消費税等の額を含む。)を表示すること。」

つまり、不動産取引で消費税が課税されるケースでは「税込表示」をするよう規定されているのです。

仲介手数料を支払いすぎてしまう可能性があるそのワケとは

不動産売買における仲介手数料は、「売買代金」を基準に計算をします。ただし、この際の「売買代金」は消費税を含みません。ですから、「税込表示」されている売買代金をそのまま計算式に用いてしまうと、仲介手数料を払いすぎてしまいます。ですから、売買代金から消費税分を除いた税抜き金額を算出する必要があるのです。

売買代金から税抜き金額を算出する方法

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では、7,000万円の一戸建てを売買するケースを例にあげて、その際の仲介手数料について考えてみましょう。
売買代金が7,000万円で、そのうち建物部分が2,700万円、土地部分が4,300万円だとします。土地は非課税ですから、消費税はとりあえず置いておきましょう。

ステップ1:建物部分の2,700万円から、含まれている消費税分を除いた金額を計算します。

       2,700万円÷1.08=2,500万円

ステップ2:税抜き売買代金の合計額を算出します。

       建物の税抜き売買代金2,500万円+土地の売買代金(非課税)4,300万円=6,800万円

このように、7,000万円の売買代金でも、仲介手数料の計算に用いる金額は6,800万円なのです。なお、これをもとにして計算した仲介手数料は次のようになります。

(6,800万円×3%)+6万円+消費税=226.8万

これを知らずに、うっかり売買代金を7,000万円として仲介手数料を計算してしまうと、233.28万円になってしまい、6.48万円も多く支払ってしまうことになります。仲介手数料の計算をする際には、課税対象となる不動産売買取引の場合は、消費税額にも注意をしましょう。

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