家売るオンナ 第7話 離婚の時の財産分与。もめやすいといわれる不動産の財産分与について実情を調査してみた

物理的に分けられない不動産ってどうやって財産分与されてるの?

更新日:2016年10月07日

イエシルコラム編集部さんのプロフィール画像

イエシルコラム編集部

株式会社リブセンス

IESHIL編集部

東京・神奈川・千葉・埼玉の中古マンション価格査定サイトIESHIL(イエシル)が運営。 イエシルには宅建士、FPなど有資格者のイエシルアドバイザーが所属。ネットで調べてわからないことも質問できるイエシル査定サービスを展開しています。

第7話 あらすじ(ネタバレあり)

少しづつ回を重ねるごとに万智(北川景子)の人間らしい?面も垣間見えてきた家売るオンナだが、
第7話では白州美加(イモトアヤコ)の母・貴美子(原日出子)が登場する。
浮気をした夫の保(モロ師岡)と離婚をして家を売り払ってほしいと頼む貴美子だったが、美加は両親の離婚には大反対で、戻ってきた父親と一緒にやり直してほしいと頼むが、貴美子は全く聞く耳を持たない。

騒ぎを聞いていた万智は老朽化の進んだ美加の実家を取り壊して、土地のみにして自分が売ると宣言をする。

一方、屋代(仲村トオル)は得意先の娘さんのお見合い相手を探してほしいと頼まれ、庭野に白羽の矢をたてる。
少しすつ万智に心を惹かれていっている庭野はお見合いを受けるかどうか悩む。

そんな中、美加の両親の離婚が決定する。さらに、美加の実家の取り壊しと土地の売却も目前に迫っていた。
「両親が離婚したとしても、生まれ育った実家がなくなるのは耐えられない」
と家付きで土地を買ってくれる人を探しはじめる美加だったが、万智の前に簡単に敗退してしまう。
すると美加は実家に立てこもって取り壊しを阻止しようとする。

取り壊しができないと困っている解体業者やテーコー不動産の仲間を前に、万智が美加を説得に行く。
そこで万智は自身が住む家を失った経験から、家に固執をしていると話し、
美加に「自分を解き放て。白洲はわたしのようになってはいけない。」と話し、説得に成功する。

その後、無事に売却は完了し、貴美子も一人暮らし用のマンションを購入して新生活をスタートさせる。

今回は離婚を機に家を売却するケースが出てきました。
実際に家の売約理由が離婚のケースはどれくらいあるのでしょうか。
売却の理由を調べて見たところ、以下のような結果となっています。

家売るオンナ 第7話 離婚の時の財産分与。もめやすいといわれる不動産の財産分与について実情を調査してみたの画像

HOME’S PRESSより

1位は「よりよい住まいへの住替え」で42.3%となっており、必要性に迫られてというよりも、自分たちのよりよい住環境を求める動機の人が圧倒的に多いようです。
今回のような「離婚」を原因に挙げたのは全体の6.0%で、売り物件の新規登録数から計算すると約7800件程度となっており、昨年の離婚率が35%で22万5000組となっていることから比較すると、離婚をしても多くの人が売却をしていないことがわかります。
その背景には、離婚後の財産分与により、どちらかが住み続けるケースが多いということが考えられます。

今回は、不動産の財産分与にまつわる疑問について調査をしてみました。

財産分与の法的定義

財産分与とは、婚姻生活中に夫婦で協力して築き上げた財産を、離婚の際にそれぞれの貢献度に応じて分配することをいいます。法律でも、離婚の際には相手方に対し財産の分与を請求することができる(民法768条1項)と定められています。

共有財産か否かの判断は,財産の名義によるのではなく実質的な判断によります。婚姻中に夫婦の協力により形成・維持されてきた財産であれば、名義を問わず、財産分与の対象である共有財産との判断がなされることになります。

共有財産の対象となるものは、夫婦の共同名義で購入した不動産や夫婦の共同生活に必要な家具や家財などが財産分与の対象となることはもちろん、夫婦の片方の名義になっている預貯金や車、有価証券、保険解約返戻金、退職金等、婚姻中に夫婦が協力して取得した財産といえるものであれば財産分与の対象となりえます。

逆に、財産分与の対象にはならない財産として「特有財産」というものがあります。
特有財産とは、「婚姻前から片方が有していた財産」「婚姻中であっても夫婦の協力とは無関係に取得した財産」のことをいいます(民法762条1項)。

家売るオンナ 第7話 離婚の時の財産分与。もめやすいといわれる不動産の財産分与について実情を調査してみたの画像

分割できない「家」は財産分与でどう配分されるの?

不動産は物理的に2つに分けることができず、名義上で共有名義として持分を明確にする以外は、財産分与の方法がありません。よって、不動産の財産分与は、売って分けるか売らずに分けるかの2通りとなります。

①【売ってわける場合】
夫もしくは妻のどちらかが名義の住宅について、離婚と共に売却する場合、売却によって得られたお金(住宅ローンがある場合には、残高を差し引いた後の手取額)が財産分与の対象となります。

たとえば、今暮らしている住宅を離婚に伴い3,000万円で売却したとします。売却時点での住宅ローンの残債は2,500万円、売却にかかる諸費用が100万円だったとすると、最終の手取額は
3,000万円-(2,500万+100万円)=400万円
となります。この400万円が財産分与の対象となります。

②【売らずにわける場合】
どちらかがが住み続けかつ住宅名義を持ち、住宅ローンの返済も続ける場合、家を出ていく相手方に対して金銭などによる財産分与を行います。この場合では、住宅の時価から住宅ローンの残高を差し引いた額が、財産分与の対象となります。

たとえば、時価3,000万円の住宅があり、住宅ローンの残債が2,500万円だった場合、財産分与の対象となる金額は、3,000万円-2,500万円=500万円となります。

家売るオンナ 第7話 離婚の時の財産分与。もめやすいといわれる不動産の財産分与について実情を調査してみたの画像

名義が自分であれば配偶者が反対しても売却はできるの?

今回のドラマのケースでは、貴美子の「結婚した時にわたしの親からもらったお金で買ったので、土地も家もわたしの名義です。」という発言から、この家は夫婦の協力により形成・維持されてきた財産ではなく、貴美子が親族から相続した財産であり、「特有財産」にあたると考えられます。

よって、財産分与の対象にはならず、いくら保が反対をしていても貴美子の一存で売却をすることが可能ということになります。

しかし、こういったケースを除いて、婚姻中に購入をした家であれば、
たとえ妻が専業主婦で婚姻中に一切の収入がなく、すべて夫の給与で購入をし、住宅ローンを支払っていたとしても、家事労働によって夫の労働を支え夫婦の資産形成に貢献したと考えられますので財産分与を請求することができます。

相手に財産分与の請求権がある場合には、いくら名義が自分であっても、
相手の同意書へのサインなしには売却をすることはできません。

名義が配偶者の場合に代理で売却をすることはできるの?

実際の所有者とは別の人が代理で売却活動の実務を行うことは可能です。
しかし、その際には所有者の同意があることを書面にして証明できる状態にしないと取引はできません。

具体的には委任状を作成することとなります。
委任状には委任者の署名と実印の押印が必要が必要なのはもちろんのこと、
印鑑証明書の添付も必要です。

家売るオンナ 第7話 離婚の時の財産分与。もめやすいといわれる不動産の財産分与について実情を調査してみたの画像

財産が家しかない場合の財産分与はどうなるの?

財産分与時に家しか財産がない場合は、家に住み続ける側が、離婚時の不動産価値を均等に割った金額を出て行く側に支払わなければなりません。
一括で支払えるケースは少ないため、毎月の支払い額を決定した上で精算をするケースが多いようです。
不動産の価値を調べ、現金に置き換えて考えることで、売った場合と同様に分けるという考え方です。

素人には不動産の価値を正確に把握することは難しいため、
土地なら公表されている指標(公示価格など)を基に、建物は不動産鑑定士に依頼をすることが必要となります。

ローンが残っている場合はどうなるの?

不動産は高額なので、購入時に数十年単位での住宅ローンを利用する方がほとんどでしょう。ローンが夫婦のための借り入れであれば、不動産を財産分与するときに、ローンも含めて分与する必要があります

売却してローンを返せる場合は何の問題もなく、余った金額を分け合えます。しかし、売却してもローンを返せない場合は、手持ちの資金を投入してでも返さないといけないケースが多いといえます。
その理由は、ローンで不動産を購入すると、不動産に抵当権が設定されるためです。
他人の抵当権が付いたままの不動産を買う人はいないため、抵当権を解消することが財産分与以前の優先事項となります。


どちらにせよ、離婚の際には不動産の財産分与は大きな争点となりやすく、
この問題が片付かないために離婚協議が長引いたという事例も多くあります。

また、今回のドラマのケースですと、建物の解体→土地の売却→マンションの購入という流れですが、
通常建物の解体には平均的に2ヶ月程を要しますし、もちろん解体前には、一時的な転居先の確保、引っ越し準備が必要です。また、売却にかかる期間はマンションでも3~4ヶ月といわれていますので、戸建てが前提の敷地面積の更地だともっとかかることが想定されます。
ドラマ内ではあっという間に新しい人生をスタートさせているように見えますが、
実際に同じ過程を辿ろうとすると、最低でも半年~1年の期間は必要といえるでしょう。

ご意見、ご要望はこちら

IESHIL編集部オススメ記事

IESHILコラムとは、不動産物件情報に関連してコラム等の関連情報も提供する付随サービスです。
ご利用により、IESHIL利用規約が適用されますので、規約のご確認をお願い致します。