【2016年最新版】消費税増税が中古マンション購入時に与える影響と時期を計算する

中古マンション購入時に発生する消費税について解説します。

更新日:2016年05月25日

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2016年における消費税増税の動き~熊本震災等を受けて~

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当初は2015年10月に予定されていた消費税増税(8%から10%への引き上げ)ですが、同年1月の衆議院本会議において、安倍晋三首相が2017年4月に先送りする事を正式に表明したことから、2016年5月現在のところ、消費税は8%のままとなっています。予定通りなら2017年4月には消費税は増税され、10%へ引き上げられることとなります。

しかしながら、安倍首相は、予定通りに実施しない場合の要件として、(1)リーマンショック並みの経済悪化要因の発生、(2)東日本大震災のような自然災害の発生を挙げておりました。本年4月14日に発生した熊本震災は、震度7を観測する地震が発生した後、断続的に余震が続いていることから、要件(2)の「東日本大震災のような自然災害の発生」に相当するのではないかとも考えられます。

そうすると、「消費増税延期の条件が発生」との理由から再度増税延期がなされる可能性も無いとは言い切れない情勢のため、引き続き消費税増税については注視が必要といえます。ただいずれにせよ、近いうちに中古マンションなどの住宅を購入する(したい)方にとっては、不動産購入と税金の関係は非常に大きな関心事です。そこで今回は、中古マンション購入時に発生する「消費税」について解説します。

※マンション購入時の固定資産税については、【減額・減免?いつ支払う?】中古マンションの固定資産税の目安と基本 をご覧ください。

もし増税が実施された中古マンションを買う際に消費税増税はかかる?

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まず、結論からいうと、新築マンションを購入する場合は、必ず消費税が発生します。一方、中古マンションの購入時は、売り主が事業者(不動産会社など)の場合には消費税がかかり、売り主が個人の場合は消費税はかかりません。

この違いは、消費税の性質が「事業者の提供する商品・サービスへの課税」ということから発生します。したがって、事業者ではない個人から中古マンションを買う場合には消費税は不要となるのです。基本的に中古マンションは個人が売ることが多いので、消費税は不要となるケースが多いようです。ただし、すべてが個人売買とは限らないので注意は必要です。不動産会社などが売り主で中古マンション物件を売却したケースだと当然消費税を払わなくてはなりません。

例えば、最近流行りのリノベーション済みの物件などだと、リノベーション物件が得意な専門の不動産会社が中古マンションを買取、リフォーム等を施してからマンションを販売します。このようなケースは要注意と言えるでしょう。

消費税増税が発生するかの見極め方

では、実際問題どうやって、売り主が個人なのか事業者なのかを見抜けばよいのでしょうか。その見抜き方をお伝えしましょう。

まず、インターネット上のサイトや広告で物件情報を見れる場合なら、物件情報に記載されている「取引態様

」の箇所が[売主]となっていれば基本的に事業者ということを意味します。ただし、取引態様の箇所が、[媒介][仲介][一般]などの記載となっているケースだとサイトの記載からでは見ぬくことは出来ません。取り扱いの不動産業者に確認しましょう。

次に、不動産物件が検索できるサイトにおける物件価格について確認しましょう。それはすなわち、例えば、サイト上に「1000万円」との物件価格の記載は税込み?税抜き?なのかということです。この点については、基本的に「総額表示」がルール化されていますので、売主が事業者のケースでも、税抜き価格が記載されることはまずないと考えてよいでしょう。従って、「1000万円」=「購入価格」という意味で、そこに8%が加えられた「1080万円」になるということでは無いのです。

消費税がかかる場合でも減税と給付金があります

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既に、平成26年4月に消費税は5%から8%へ引き上げられています。消費税の増税に伴って、政府は住宅ローン減税とすまい給付金という制度を創設しています。これらの制度についても認識しておきましょう。

なお、どちらの制度も不動産購入時に消費税が発生する場合に減税枠が増加するというものですので、個人から中古マンションを買うなどのケースだと、住宅ローン減税の最大控除額が2000万円(年間20万円の所得税からの減税)ということになります。又、住宅ローン減税の条件としては、床面積が50平米以上で、耐震基準適合証明書をもらっておく必要があります。いずれにせよ、住宅ローン減税は少なくない金額になりますので、自分が利用できるか十分確認しておきましょう。

住宅ローン減税の効果

消費税が5%から8%へ引き上げられた際に、従来からあった住宅ローン減税も拡充され、年末におけるローン残高上限が4000万円となりました。控除割引は年1%ですから、これはすなわち、10年間で最大400万円(4000万円の住宅ローン残高に控除割引1%。毎年最大40万円控除が10年間続くと400万円)が控除されることを意味します。

尚、繰り返しとなりますが、売り主が個人の場合は、消費税が不要ですので、最大控除額が2,000万円の1%になります。(20万円が最大控除額)

すまい給付金の効果

前述の消費税増税のタイミング(平成26年4月の消費税5%から8%への増税)に合わせて、すまい給付金もスタートしました。すまい給付金とは、消費税引き上げに伴う住宅購入者の負担軽減を意図した給付金制度です。こちらも、売り主が個人の場合は、消費税が不要ですので、すまい給付金の対象外となります。又、すまい給付金の実施期間は、住宅の引き渡しが平成26年4月~平成31年6月までに行われる必要があります。

又、消費税が8%なのか10%なのかで、給付基礎額が変化してきます。

<消費税8%の場合>

(収入額の目安)425万円以下       

(都道府県民税の所得割額)6.89万円以下
(給付基礎額)30万円

(収入額の目安)425万円超475万円以下  

(都道府県民税の所得割額)6.89万円超8.39万円以下
(給付基礎額)20万円

(収入額の目安)475万円以上510万円以下 

(都道府県民税の所得割額)8.39万円超9.38万円以下
(給付基礎額)10万円

<消費税10%の場合>
(収入額の目安)450万円以下

(都道府県民税の所得割額)7.60万円以下
(給付基礎額)50万円

(収入額の目安)450万円超525万円以下

(都道府県民税の所得割額)7.60万円超9.79万円以下
(給付基礎額)40万円

(収入額の目安)525万円以上600万円以下

(都道府県民税の所得割額)9.79万円超11.90万円以下
(給付基礎額)30万円

(収入額の目安)600万円以上675万円以下

(都道府県民税の所得割額)11.90万円超14.06万円以下
(給付基礎額)20万円

(収入額の目安)675万円以上775万円以下

(都道府県民税の所得割額)14.06万円超17.26万円以下
(給付基礎額)10万円

結局買うなら今なのか?

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さて、ここまで消費税増税の情勢と減税と給付金について確認してきました。しかし、一番気になることは、「消費税増税前に住宅を買うべきなのか」ということでしょう。

すでに消費税は8%に引き上げられており、それに連動して、減税枠拡充と補助金交付が実施されている現在を鑑みると、「ほしい物件があったり、良い物件が見つかった」なら増税前に購入するほうが良いといえるでしょう。というのも、住宅の購入自体は増税後の住宅ローン減税や補助金の交付がありますが、仲介手数料や司法書士への報酬にかかる消費税は確実に上がりますし、ほかにもリフォーム代金や家具・家電の購入金額も確実に上がります。これらを総合的に考慮すると、やはり増税前に購入といえるでしょう。

ただし、その結論が揺らぐ可能性があるのは、10%への消費税増税に伴い、より大型な補助金や住宅ローン減税が実施されることが正式に決定した場合です。2016年5月現在では、そのような正式決定は確認できていませんが、引き続き注視が必要といえるでしょう。

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