不動産売却時における3種類の媒介契約の特徴と選び方

不動産の売却を不動産会社に依頼する時の3種類の媒介契約の違いと選び方を説明します。

更新日:2016年08月19日

イエシルコラム編集部さんのプロフィール画像

イエシルコラム編集部

株式会社リブセンス

IESHIL編集部

東京・神奈川・千葉・埼玉の中古マンション価格査定サイトIESHIL(イエシル)が運営。 イエシルには宅建士、FPなど有資格者のイエシルアドバイザーが所属。ネットで調べてわからないことも質問できるイエシル査定サービスを展開しています。

この記事の要点
  • 不動産会社との媒介契約には3種類があり、それぞれに特徴がある
  • すぐに売却可能な魅力的な物件なら、自由度の高い一般媒介契約でも可
  • 一社と集中して売却を行いたいなら専任媒介
  • 売却査定額は根拠を確認。Webで推定査定額がすぐにわかるサービスもある
不動産売却時における3種類の媒介契約の特徴と選び方の画像

不動産の売却を不動産会社に依頼する時は、媒介契約を締結します。この媒介契約には3つの種類があり、それぞれ特徴があります。3つの特徴を把握し、どのような場合に、どの媒介契約を選ぶのが良いのかを考えてみましょう。

(無料)不動産売却で失敗しないための個別相談会。「どの媒介契約を選んでいいか分からない...」といった悩みごとも解決します。

3つの媒介契約の特徴

不動産の売却を不動産会社に依頼する際に結ぶ媒介契約には、専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3つがあります。これらのそれぞれの契約について、見ていきましょう。

<専属専任媒介契約>

×売主は特定の不動産会社のみに売却を一任し、他社に依頼することはできない
×売主が自分で購入希望者を見つけた場合でも、買主と直接契約をすることはできない
  • 不動産会社は1週間に1回以上の販売活動の報告を行い、契約締結から5日以内に指定流通機構(レインズ)※へ物件の情報を登録する。
  • 契約期間は3か月以内。

<専任媒介契約>

×売主は特定の不動産会社のみに売却を一任し、他社に依頼することはできない
○売主が自分で購入希望者を見つけた場合は、直接契約を結ぶことができる
  • 不動産会社は2週間に1回以上の販売活動の報告を行い、契約締結から7日以内に指定流通機構(レインズ)へ物件の情報を登録する。
  • 契約期間は3か月以内。

<一般媒介契約>

○売主は同時に複数の不動産会社に売却を依頼することができる。
  • 不動産会社には、販売活動の報告や指定流通機構(レインズ)への物件情報登録などの義務がない。
  • 契約期間は無制限。

※指定流通機構とは不動産会社(宅地建物取引業者)だけが閲覧できる不動産情報のネットワーク・システムのことで、通称「レインズ」と呼ばれています。レインズに登録すると全国の不動産会社に物件情報が公開され、買い手が見つかりやすくなります。

(無料)不動産売却で失敗しないための個別相談会。「どの媒介契約を選んでいいか分からない...」といった悩みごとも解決します。

選ばれることが少ない「専属専任」

専属専任媒介契約(以下「専属専任」)の場合、売主が自ら買い手を見つけても直接契約はできないという禁止事項があり、この契約が選ばれることは少なくなっています。

ただし、売却と同時に新しい物件の購入も検討している人(住み替えなど)向けに、一定の売却期間内に物件が売れなかった場合には不動産会社が物件を買い取る「買い替え保証」や「買い取り保証」といったサービスを行っている不動産会社が、条件としてこの専属専任の締結を指定していることがあります。

専任媒介契約(以下「専任媒介」)は、手厚さに多少差はあるものの、専属専任同様、販売活動の報告とレインズ登録が義務付けられています。売主が自分で買主を見つけた場合は直接契約できるため、一般的には専属専任ではなく専任媒介が選ばれることがほとんどです。

なお、売主が自ら見つけた買主と成約した場合、それまでに掛かった広告費などの経費を不動産会社に支払わなければなりません。

自由度が高い一般媒介

一般媒介契約(以下「一般媒介」)は複数社と契約できるので売却の機会も増え、自由度も高く、売主の立場としてはメリットが多いように思われますが、知っておきたいポイントがあります。

複数社に依頼できるという一般媒介のメリットを、不動産会社の立場では、「売主が多くの不動産会社に依頼しているほど、自社で契約できる確率が低い」と考えます。不動産会社の収益は、そのほとんどが媒介契約の成功報酬である仲介手数料で成り立っています。他社で成約されてしまえば、自分たちは仲介手数料をもらえないのはもちろん、それまでに掛けた営業経費を回収できず赤字になってしまいます。そのため、不動産会社の販売活動は消極的になる傾向があるのです。

しかし、売却する物件が「駅に近く利便性が高い」「築浅」「人気物件」「希少価値が高い」などの条件に複数該当する場合は上記の限りではありません。一般媒介で、複数社に媒介を依頼した場合であっても、不動産会社は競って積極的に販売活動を行うため、早期売却が見込めます。

一社と集中して売却を行いたいなら専任媒介

専任媒介では、定期的な活動報告を受けることができるため、売主も販売状況を把握しやすいです。不動産会社の立場としても、専任媒介は他社と競合するリスクがなく、仲介手数料は約束されたようなものですから、経費をしっかり掛けて販売活動を行うことができます。

また、レインズに物件情報を登録して他社とも共有しますが、契約期間内に自社で買主を見つけられれば、買主からの仲介手数料を得ることもでき、不動産会社の報酬は2倍に跳ね上がります。

そのため、専任媒介では不動産会社が熱心に販売活動を行ってくれる可能性が高くなります。

しかし中には、自社だけで買主を見つけて2倍の仲介手数料を得ようと、義務付けられているレインズ登録をしなかったり、他社から問い合わせがきても、物件を取り扱わせないようにしたりする悪質な不動産会社がいます。そういったリスクも踏まえて、信頼できる不動産会社を選ぶことがとても重要です。

(無料)不動産売却で失敗しないための個別相談会。「どの媒介契約を選んでいいか分からない...」といった悩みごとも解決します。

査定サービスの活用

不動産売却時における3種類の媒介契約の特徴と選び方の画像

いずれの媒介契約を選ぶにしても、不動産売却は、物件の価格査定から始まります。具体的な金額を見れば相場観を養うこともできます。最近では、自宅に居ながら複数の不動産会社に相談できる「無料一括査定サービス」もありますので、手始めに利用してみるのがおすすめです。


ただし注意が必要なのは、査定で提示される価格は、実際の買取価格や、確実に売れる保証のある価格ではなく、あくまで「査定価格」だということです。一番高い査定価格を出した不動産会社と契約すれば高く売れるというわけでもありませんので、必ず査定根拠はしっかり確認しましょう。

また最近は、個人情報を入力しなくても、都心の中古マンションなどで推定売却価格が査定できるWEBサービスもいくつか出始めています。査定後の不動産会社からの営業連絡を避けたい方や試しに算出してみたいという方には、こちらもおすすめです。

イエシルでは不動産仲介経験10年以上、宅建等の有資格者が、不動産会社に所属しない、プロが中立な立場で査定を行っています。

まとめ

一般媒介は、自由度が高い分、売主にもそれなりの知識や相場観が必要です。また複数の不動産会社とやり取りをすることになるので、不動産に詳しい人向きと言えるかもしれません。そうでない人は、信頼できる不動産会社を見つけ、専任媒介を結んだほうが良いでしょう。

また、物件が特段の人気物件でない場合も、専任媒介が無難です。複数社に依頼をしても真剣に販売活動をしてくれず、売りに出している実感が持てなくなるようなことも少なくありません。専任媒介で1社の不動産会社と相談しながら着実に進めた方が、早期に売却できるのではないでしょうか。

媒介契約の種類や特色をあまり考えず、不動産会社の指定通りの契約を結んでしまう方も多いようですが、理想的に売却を進めるために、それぞれの違いを理解した上で、ベストな媒介契約を選んでください。

(無料)不動産売却で失敗しないための個別相談会。「どの媒介契約を選んでいいか分からない...」といった悩みごとも解決します。

ご意見、ご要望はこちら

IESHIL編集部オススメ記事

IESHILコラムとは、不動産物件情報に関連してコラム等の関連情報も提供する付随サービスです。
ご利用により、IESHIL利用規約が適用されますので、規約のご確認をお願い致します。