資産価値が高まっていく中古マンション選び方

日本において、資産価値を決めるのは、建物自体の価値だけではないことを確認し、中古マンション選びの参考にします。

更新日:2016年04月25日

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イエシルコラム編集部

株式会社リブセンス

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東京・神奈川・千葉・埼玉の中古マンション価格査定サイトIESHIL(イエシル)が運営。 イエシルには宅建士、FPなど有資格者のイエシルアドバイザーが所属。ネットで調べてわからないことも質問できるイエシル査定サービスを展開しています。

この記事の要点
  • 建物自体の価値は上がらない
  • 不動産価値の源泉は立地にあり
  • 歴史的な要素以外で資産価値が高まるケース
  • デベロッパーによっても資産価値の形成に影響が
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中古マンションを選ぶ際に、その資産価値を指標にするという方法があります。
ここで「資産価値が高い=建物自体に価値がある」とイメージしがちですが、日本においては、マンションの資産価値は、建物以外の要素の方が大きく影響します。

建物自体の価値は上がらない

投資は、リターンを得るために行うものです。リターンがなければ投資する意味がありません。アメリカにおいては、住宅投資の累計額が増えるのに比例して住宅資産額も順調に上昇しています。つまり、投資に見合った価値形成が行われており、住宅資産額が投資累計額を上回った状態を維持しています。

では日本の現状はどうでしょうか? 日本の場合、トータルの住宅投資額は増加していますが、それに見合った住宅資産額を形成できない状態が続いています。

バブル期以降、住宅資産額が一定の水準からほとんど動いていません。2013年のデータを見ると、住宅投資の総額が900兆円に届く勢いなのに、住宅資産額のトータルはその半分以下の350兆円にすら届いていない状態が続いています。つまり、投資額と資産額の差、およそ550兆円が消えてなくなったのと同然であり、投資としては落第です(もちろん全体から見た場合ですが)。

では、なぜアメリカと日本でこのような違いが生じるのでしょうか? 大まかに言うと、建物に対する文化の違いが差になっているようです。アメリカの場合、オーナーは建物を買った後もリフォームを積極的に行い、建物の価値を落とさないように細心の注意を払います。結果、古い建物でも手入れが行き届いたものが多く、元の買値以上の金額で売却されます。

日本の場合は、建物よりも土地の価値を重視し、建物はスクラップ&ビルドの考え方が基本です。そのため、築年数が増すとともに、建物の価値は下落していきます。そして、一定の築年数になると建物の価値はほぼゼロとなり、土地活用の邪魔をする「お荷物」と扱われるようにまでなってしまうのです。

近年はこのような考え方を疑問視する声が日本でも大きくなってきており、中古の建物に価値を見出す人が現れてきました。しかしながら、こういう声はいまだ少数派であり、アメリカのようになるには時間がかかることでしょう。したがって、当面は、建物の資産価値を上げることを考えるよりも、中古物件を購入する際には資産価値が値段に見合っているかどうかを、しっかりと精査した方がよいでしょう。

不動産価値の源泉は立地にあり

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日本における、中古マンションの資産価値を決める要素の1つに「立地」があります。

駅やバス停からの距離、スーパーマーケットや病院などの施設までの距離など、機能面の立地が重視される傾向にあり、震災後は、これに加えて災害対策が進んでいるエリアか否かも加味されるようになりました。

一方、首都圏にはこうした条件を満たすエリアは多数存在しますが、実際の資産価値を見てみると、駅までの距離が遠いエリアの方が、近いエリアより資産価値が高いということもしばしばです。これは、立地条件の中でも「街の人気」が大きく影響している結果と言えます。

また、日本人には歴史的価値や権威を重視する傾向があります。

天皇御一家が宿泊された宿や御用達の逸品と聞くと、値があるものだと認識するはずです。街に関しても同じで、東京の中でも、数億円以上のいわゆる億ションが存在するエリアは限られています。そして、そのエリアの多くは江戸時代の大名屋敷や武家屋敷などが存在した、由緒正しい、かつての地位の高い場所と重なります。身分の高い人の住宅地だったという歴史が、価値を高めているのでしょう。

歴史以外の要素で資産価値が高まるケース

前述のように、現在、資産価値が高い街には、街の歴史のあるところが多いですが、例外もあります。田園調布や成城学園前などはその典型例です。どちらも大正年間に鉄道網の整備と時期を同じくして出現した、比較的新しい街という共通項があります。

また、両者とも住環境を守るため、移住してきた人々が地道な努力を積み重ね、資産の向上を目指して実践してきたストーリーが、そのまま現在の資産価値につながっています。歴史にしろ、ストーリーにしろ、街の資産価値やブランドは一朝一夕では形成されません。ブランド価値の形成に成功した街は総じて物件の値段が高く、中古物件といえども手が出せない値段であることがほとんどです。

では、現在資産価値の形成が進んでいて、近い未来に地価が値上がりしそうな街は、どういった視点で探すべきでしょうか?

まずは前述の、機能面の立地から探すことをお勧めします。例えば、新宿や品川など都心のターミナル駅につながる鉄道路線沿線で、最低限快速が停車するところを探してみましょう。また人を引き付けるようなシンボルがある街、大規模ショッピングセンターや再開発の商業ビルやタワーマンションが建設されたところなどは狙い目です。

ただ、これらの点に当てはまっていても、街の資産価値が向上するとは限りません。実際、高度成長期にいくつものニュータウンが東京郊外に建設されましたが、現在の状況を見ると、資産価値形成に成功したところはほとんど存在しません。

現在進行形で開発が進んでいる街は、これまでの失敗を踏まえて、業者もあの手この手を打っているのは確かです。現在停滞期に入っている街と比較すれば、まだ資産価値形成に成功する余地が残っています。そういう街は、住宅サイトなどが公開している「住んでみたい街」のランキングで上位をキープしている街とほぼリンクしています。そのため、このようなランキングを目安にチョイスするのも良いかもしれません。

デベロッパーによっても資産価値の形成に影響が

街の立地や歴史ほどの影響はありませんが、当該マンションを、どこのデベロッパーが手掛けたかによっても、資産価値が微妙に異なってきます。

同じような規模の業者であっても、開業して間もない新興の企業より、長年マンション業界で実績を積み重ねてきた企業の方が安心感を与えます。またこのような大手の業者が手掛けるマンションには、資産価値が高く維持されているところが少なくありません。

まとめ

資産価値を指標として、どんなマンション物件を選択するべきかについて考えてきました。

もちろん、これとは別の視点で選択することも当然あり得ます。実際には住んだところが「都」になるのですから、ご自身に合った指標で住むべきエリアを探してください。

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