相続や転勤によって、住まなくなったマンションを売るか貸すか迷っている方のために、それぞれのメリット・デメリット・注意点を簡単に解説します。また、賃貸に出したマンションを売却する際、査定にどのような違いが出るのか、実例をもとに説明します。
更新日:2023年05月19日
イエシルコラム編集部
株式会社リブセンス
IESHIL編集部東京・神奈川・千葉・埼玉の中古マンション価格査定サイトIESHIL(イエシル)が運営。 イエシルには宅建士、FPなど有資格者のイエシルアドバイザーが所属。ネットで調べてわからないことも質問できるイエシル査定サービスを展開しています。
「マンションを相続したけど、今のところ住む予定はないし……」「転勤のため、住んでいるマンションを離れることになった」「使わないマンションを有意義に活用するにはどうすればいいんだろう」誰も住まないマンションなら売ったほうがいいのか、それとも貸したほうがいいのか考えてしまいますよね。どちらにしても、はじめてのことでよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、マンションを売る場合と貸す場合、両方のメリット・デメリット、さらに注意点まで簡単に知ることができます。
また、実例も紹介しながら分かりやすく解説していきますので、ぜひ参考になさってください。
マンションを売る大きな利点は、なんといってもまとまった資金を得られることです。住み替えやライフステージの変化など、今後の資金計画が立てやすくなります。
たとえ住んでいなくても、マンションを所有しているだけで以下のような税金や費用がかかります。
マンションを売却することで、これらの維持費がかからなくなります。
マンションを査定に出してから売買契約を締結するまで、一般的には3カ月〜半年ほどかかるといわれています。1年以上かかることも珍しくありません。
マンションの売却には以下のような費用や税金がかかります。
マンションを購入したときよりも高く売れて利益が発生すると「譲渡所得税」がかかります。
譲渡所得税については、「マンションの売却で利益を出したい!知っておくべき税金と控除について分かりやすく解説」を参考にしてください。
原則として、住宅ローンが残っているマンションは売却することができません。
もし、売ろうとしているマンションに住宅ローンが残っている場合は、売却前もしくは売却と同時に完済する必要があります。
入居者がいる限り、家賃として定期的な収入を見込めるのが大きなメリットです。
ちなみに、家賃収入は不動産所得の扱いなので、管理費や修繕積立金、固定資産税などは、確定申告で経費に計上することができます。節税対策としても有効です。
いまは誰も住まなくても、将来的に戻ってきて住む場所を確保できます。また、子どもや親族が使う可能性に備えることもできます。
マンションの劣化状況によっては、貸し出す前に以下のような費用がかさむ可能性があります。
入居者が決まれば家賃に応じた報酬を仲介した業者に支払います。支払額の上限は、家賃1カ月分に税金を加えた金額です。
さらに、自分が住んでいなくても、マンションを所有していれば以下の費用が発生します。
火災保険は、建物については貸主、家財については借主が支払います。
当然ながら、入居者がいなければ家賃収入は得られません。たとえ収入がなくても、前述のような維持費がかかり続けます。
原則として、賃貸に出そうとするマンションに住宅ローンが残っている場合は、マンションを貸すことができません。
しかし、住宅ローンを不動産投資ローンへ切り替えれば、マンションを貸すことができます。
ただし、不動産投資ローンは住宅ローンよりも金利が高く、金融機関への手数料も発生することを覚えておきましょう。
ここまで解説したように、マンションを売るにしても貸すにしてもメリット・デメリットがあります。
判断基準は、「将来またそのマンションに住むかどうか」を考え、「利用することを具体的にイメージできるかどうか」です。
このように明確な理由があればマンションを貸す、そうでなければマンションを売るほうがいいでしょう。
思い入れのあるマンションであれば、すぐには手放さず、しばらくの間は賃貸に出しておきたいという方もいるでしょう。
しかし、賃貸に出したあと事情が変わって、「やはり売却したい」と考えが変わることがあるかもしれません。その場合、どのようなことが起きるのでしょうか。
実例をもとに解説していきます。
実際に以下のマンションが「賃貸中(入居者あり)」と「空室(入居者なし)」で査定されました。(査定時期:2022年2月)
【実例物件】
エリア:渋谷区初台
間取り:2LDK
面 積:60㎡台
査定結果は次のようになりました。
なんと、賃貸中と空室では査定価格に約1,500万円もの差があったのです。
これほどまでに査定価格に差が出る理由は、「不動産市場における需要の違い」があるためです。市場に買い手が多くいれば価格は上がり、買い手が少なければ価格は下がります。
<買い手の対象>
賃貸中のマンションは、買い手がほぼ投資を目的とした人だけになります。需要が少ないため査定価格が低くなるのです。
空室のマンションは、投資目的だけではなく居住目的の人まで買い手が広がります。需要が多くなるため、査定価格が高くなるのです。
オーナーチェンジ物件とは、マンションに入居者がいる状態で売りに出される物件のことです。
購入者層は投資目的の人たちなので、投資する金額に見合う収益を得られるかを重視します。
そのため、借り手がつきづらかったり利益率の低い物件は査定が厳しくなるのです。
実例の物件はファミリータイプのマンションでした。
ファミリータイプの物件を探している人は、自分が住みたいマンションを求めています。そして、賃貸ではなく購入を考えている人がほとんどです。
ファミリータイプのマンションは賃貸で需要が低いため、査定価格に大きな差がでてしまいます。
マンションの賃貸契約には2種類あります。
「普通借家契約」の場合、入居者の意思が尊重されるので、入居者が更新を望めば貸主はそれを拒むことはできないとされています。(借地借家法 第二十八条)
もし将来戻ってきたときに、まだ入居者がいれば住むことはできず、正当な理由がなければ退去させることもできません。
将来的に戻ってくる予定があるのであれば、期間の定めを設けた「定期借家契約」にすると良いでしょう。
やっぱり悩んでしまうと思うなら、売却することをおすすめします。貸すよりも売ったほうが良いといえる大きな理由は次のとおりです。
まとまった資金が手に入れば、ライフステージやライフスタイルの変化にも柔軟な対応が可能です。資金計画を立てやすくなり、安心感も得られます。
マンションは築年数がたつにつれて劣化が進み、資産価値が下がっていきます。売却したいと気持ちが変わる頃には、価格が下がってしまう可能性が高いでしょう。
マンションを貸すということは、マンション経営をすることと同じです。賃貸の手続き、マンションの修繕など、貸主としての手間と時間と費用は大きくなります。
売却すれば、誰も住まないマンションへ払う維持費はなくなり、大きな資金を得て、わずらわしさからも解放されるのです。
では、マンションを売却するにはどうすればいいのでしょうか。おおまかな流れは次のとおりです。
マンション売却の流れについては、「【マンション売却の流れ】7ステップで手続きや準備を分かりやすく解説」を参考にしてください。
マンションを売ると決めたら、まずはマンションがどのくらいの金額で売れるのかを把握しましょう。複数の業者に査定を依頼して比較することが大切です。
査定価格に数百万円の差があることもありますが、重要なのは「実際に売れるであろう妥当な金額」を知ることです。
イエシル査定なら「不動産会社ではない中立な立場」で妥当な価格を算出します。
査定するのは、いずれも10年以上の経験をもつ専門家。査定価格の根拠も分かりやすくお伝えします。マンションの売却をスムーズに進めるためには、不動産のプロへ聞くのが一番の近道です。
イエシルなら、年間約1,000件の相談を受けているイエシルアドバイザーが、お客さまの状況に合わせてアドバイスいたします。
イエシルアドバイザーは、不動産仲介の経験が10年以上の有資格者ばかりです。
不動産会社ではない中立的な立場だからこそ、マンション売買の基本的なことから重要なポイントまで分かりやすくお伝えすることができます。
誰も住まなくなったマンションを売るか貸すか、どちらにもメリット・デメリット・注意点があることをお伝えしました。
また、賃貸に出したマンションを売却するときの難しさも実例でご紹介しました。
マンションを売るか貸すか、どちらにするか悩むのであれば、前述したように売却したほうがいいでしょう。しかし、最終的な判断はイエシルのような「中立的な立場の不動産のプロ」へ相談してから決めることをおすすめします。
膨大なデータと知識と経験を持った不動産の専門家が道しるべとなり、大切なマンションについて納得のいく決断ができるでしょう。
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