マンションの売却を検討している方に向けて、事前に知っておくべき税金や費用について解説します。さらに、マンションの売却で利益を出すためのコツや節税方法についてもご紹介します。
更新日:2023年02月24日
イエシルコラム編集部
株式会社リブセンス
IESHIL編集部東京・神奈川・千葉・埼玉の中古マンション価格査定サイトIESHIL(イエシル)が運営。 イエシルには宅建士、FPなど有資格者のイエシルアドバイザーが所属。ネットで調べてわからないことも質問できるイエシル査定サービスを展開しています。
「マンションを売却するなら利益を出したい」「少しでも高く売ってより良いところに住み替えたい」「マンション売却の利益で豊かな生活をしたい」
マンションが売れたときのことを考えると、今後のお金の使い道に夢を膨らませたくなるものです。なかには、売却額がほとんど手取り額になったようにイメージしてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、マンションの売却には当然ながら費用がかかります。さらに、利益が出れば税金も発生するのです。この記事では、マンション売却にかかる税金や費用について分かりやすく解説します。
また、マンションの売却で利益を出すための方法や節税についてなど、手元に残る金額を少しでも多くするためのコツもご紹介します。
手元に残る金額を多くするためには、「高く売って支出を減らすこと」です。
売却で得た金額がすべて売主の利益になればいいのですが、もちろんそうはいきません。先に述べたように、マンションの売却には費用がかかりますし、利益が出れば税金も発生します。
では、どのような税金や費用が発生するのか解説していきましょう。
マンション売却には、思っている以上に税金や費用がかかります。税金は、売却の手続きにかかるものもあれば、利益が発生したときにかかるものもあります。
はじめに、マンションの売却で発生する税金について説明していきましょう。
マンションを売却して利益(譲渡所得ともいいます)が出ると、「譲渡所得税」が発生します。譲渡所得税とは、利益に対して課税される税金で、手取り額に最も影響を与えるものです。
譲渡所得税は、次の3つからなっています。
まずは利益を計算してみましょう。計算式は次のとおりです。
【利益】=収入金額(マンションの売却価格)ー取得費(マンション購入時の価格)ー譲渡費用(売却にかかった費用)
利益を算出したら、税率を掛け合わせて譲渡所得税を計算します。
【譲渡所得税】=利益×税率
譲渡所得税の税率は、マンションを所有していた期間によって以下の税率が適用されます。
区分 | 所得税 | 復興所得税 | 住民税 | 合計 |
所得期間が5年以下 (短期譲渡所得) |
30% | 0.63% | 9% | 39.63% |
所得期間が5年を超える |
15% | 0.32% | 5% | 20.32% |
所得期間が10年を超える |
※10% | ※0.21% | ※4% | ※14.21% |
所有期間とは、「マンションを売却した年の1月1日時点」で所有していた期間です。
※軽減税率の特例が適用されるのは利益が6,000万円以下までです。6,000万円を超える場合は長期譲渡所得の税率が適用されます。軽減税率の特例については後述します。
マンション売却時には、売買金額に応じた印紙税が発生します。印紙税額は以下のとおりです。
売買契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
~100万円以下 | ~1千円 | 500円 |
100万円を超え500万円以下のもの | 2千円 |
1千円 |
500万円を超え1千万円以下のもの |
1万円 |
5千円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの |
2万円 |
1万円 |
5千万円を超え1億円以下のもの |
6万円 |
3万円 |
1億円を超えるのもの |
10万円~ |
6万円~ |
租税特別措置法により、印紙税の軽減措置が講じられています。軽減税率の対象となるのは、平成26年4月1日から令和6年3月31日までに作成された売買契約書です。
つぎは、マンションの売却でかかる費用について説明していきましょう。
仲介手数料とは、不動産会社へ支払う報酬のことです。不動産会社の仲介によってマンションを売却するため、仲介の対価として支払います。
仲介手数料の金額は不動産会社によって異なりますが、法律により上限額が決められています。
上限額の計算方法は以下のとおりです。
建物と土地の売却価格(税抜) | 仲介手数料の上限 |
200万円以下 | 「売却価格(税抜)×5%」+消費税 |
200万円を超え400万円以下 |
「売却価格(税抜)×4%+2万円」+消費税 |
400万円を超えるもの |
「売却価格(税抜)×3%+6万円」+消費税 |
この計算方法は「速算式」といわれ、仲介手数料の計算式を簡略したものです。ほかにも計算する方法がありますが、速算式を使っても使わなくても算出される金額は同じです。
マンションの登記手続きは専門的な知識が必要で複雑なため、司法書士へ依頼するのが一般的です。登記費用を考えるときには、司法書士への報酬も頭に入れておきましょう。
登記にかかる主な費用は以下の3つです。
登記にかかる報酬額は司法書士によって異なります。ここでは一般的な金額を示しました。
マンションを売却して利益が大きいと嬉しいものですが、それだけ税金も大きくなります。「税金の負担を減らすことができれば、手元に残る金額が多くなるのに」と思わずにはいられませんよね。
じつは、確定申告をすることで受けられる特別控除の特例や、軽減税率の適用があるのです。
節税に大きく役立つ制度ですので、内容や条件をよく把握しておきましょう。
前述したように、マンションの売却で利益が出ると譲渡所得税が課税されます。しかし、確定申告をすることによって、最大3,000万円の特別控除の特例が受けられるのです。
つまり、「利益が3,000万円以下であれば非課税」となり、税金がかかりません。そのため、売却で得た金額を多く手元に残すことができます。
3,000万円の特別控除の特例を受けるためには、主に次のような条件があります。
繰り返しますが、これは確定申告をすることで受けられる特例です。
利益が出たら忘れずに確定申告を行いましょう。
確定申告の期間は、マンションを売却した翌年の2月16日~3月15日です。
さらに、所有期間が10年を超えるマンションの場合は、利益のうち6,000万円以下の部分に軽減税率が適用されます。
税率は、先述の譲渡所得税率表の中で示した※印の部分です。
この特例は、3,000万円の特別控除の特例と併用することができます。
3,000万円を差し引いても課税対象となる利益が残る場合には適用を申請しましょう。
10年超所有軽減税率の特例も、利用するためには確定申告が必要です。
マンションを売却する際、まずは査定を依頼します。いま住んでいるマンションがどのくらいの金額で売れるのかを把握するためです。
しかし、査定額は不動産会社によって異なります。数百万円の差が出ることもあるため、マンションの査定は複数の業者へ依頼することが大切です。
いくつも不動産会社を探すのは大変という方は、「不動産一括査定サイト」を利用すると、インターネット上でマンションの情報を入力するだけで、複数の不動産会社へ査定を依頼することができます。
しかし、簡単で便利である一方、複数社からの営業電話の対応に追われて苦労することがあります。そしてどの不動産会社を選んだら良いかわからず、結局高い査定額の会社を選びたくなってしまいがちです。査定額が高いという理由で決めてしまうと、思わぬ失敗をしてしまうことがあります。
関連記事:【体験談】「60秒で一括査定」をやってみた。初心者が知るべき注意点と不動産会社の選び方
そこで、不動産会社ではない専門家「イエシルアドバイザー」へ相談するのも有効です。
イエシルでは、不動産営業経験10年以上の経験をもつ「イエシルアドバイザー」が、さまざまなデータをもとに個別にマンションを査定して、実際に売れるであろう妥当な価格をお伝えします。
不動産会社ではない立場から査定をするので、中立な価格・適正な価格を知ることができます。また、年間約1,000組の売買相談にのっているアドバイザーたちが、より高く売るためのコツを個別で解説します。
「相場やニーズに合った価格設定はいくらなのか」「マンションの売却はどのように進めていくのか分からない」など、疑問や不安を解消したい方はイエシルへご相談ください。
マンションの売却を依頼するために、売主と不動産会社が結ぶ契約を「媒介契約」といいます。どの不動産会社と媒介契約を結ぶかで、マンションの売却を成功させられるかどうかが決まるといっても過言ではありません。
マンションの売却には、「マンション売却を得意としている不動産会社」を選ぶとよいでしょう。
不動産会社には得意・不得意の分野があります。たとえば、「一戸建ての売買は得意でもマンションの売買は苦手」などです。
マンションの売却を得意としているかどうかは、不動産会社のHPなどで公表されている実績で確認できます。なお、得意・不得意は同じ会社内でも担当者によって異なります。飛び込みで訪れたり一括査定で問い合わせた場合、こちらから担当者を選ぶことは難しいでしょう。
イエシルのアドバイザーにご相談いただくと、ご状況をヒアリングした上で、提携企業の中から最適な不動産会社の営業担当者を「人」単位でご紹介しています。なかなか出会えないようなマネージャークラスの人など、実際に不動産売買を行なったお客様のアンケート等で評価の高い営業担当者をご紹介することが可能です。
2月~3月は、1年のうちでマンションの市場が最も活発になります。春からの進学や転勤に向けてマンションを購入し、引っ越しまで済ませたいと考える方が多いからです。
マンションが売れやすい2月~3月をねらえば、希望の売り出し価格で売却できる可能性が高くなります。
そのためには、遅くとも12月~1月までに媒介契約を結んでおきましょう。マンションの売り時をのがさないことも、利益を出すためのポイントです。
印紙税を購入したり、手数料などを支払ったときに受け取る領収書は、捨てずにとっておきましょう。確定申告の際に、マンション売却の経費として認められるからです。
経費として計上できれば、課税される金額も少なくなりますので節税につながります。
たとえ数百円でも「ちりも積もれば山となる」です。マンション売却にかかるすべての領収書は必ず保管しておきましょう。
内覧時に良い印象を与えることは、買主による値下げ交渉の要因を減らすことにもつながります。マンションの値下げ交渉は、決してめずらしいことではありません。
内覧のときには、誠実で丁寧な対応を心がけましょう。また、Webや広告には載っていない「住んでいるからこそ分かる情報」を伝えることも良い印象につながります。
室内は明るく・広く・清潔にしておくことが大切です。とくに水回りは念入りに掃除しておきましょう。
内覧時の印象はマンションの購入意欲を大きく左右します。とはいえ、過度なおもてなしはいりません。大切なのは、買主が気持ちよく内覧を終えられるようにすること、「このマンションに住みたい」と思わせることです。
事前の知識と余裕のある計画がマンション売却の成功につながります。少しでも手取り額が多く残るように、今から準備をしておきましょう。
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