「取引するマンションの持ち主は誰なのか」
「どのようなマンションなのか」
「管理はどのようにされているのか」
「税金はきちんと支払われてきたのか」
このように、買い主が知りたい情報は少なくありません。
買い主は内見したり不動産会社から話を聞いたりするだけではわからない情報を、書面によって得たいと考えます。あなたがマンションを売るときに準備する数々の必要書類は、そのような買い主の要望に応えることになります。売り主が準備する数々の必要書類は3種類に分類されます。
・売り主についての書類
・権利や金銭についての書類
・建物についての書類
次項からそれぞれについて説明していきます。
売り主が必ず用意しないといけないものには★マークをつけています。すべてを丁寧に読むのは手間がかかるので目を通す程度をオススメします。
固定資産税評価証明書
マンションの所有権の移転登記をするときに必要な書類であり、不動産会社にマンションの売却を申し込むときから必要です。有効期間は3ヶ月であり、土地と建物でそれぞれ取得する必要があります。
また、建物が複数の土地にまたがっている場合は、すべての土地の固定資産税評価証明書が必要です。都税事務所や県税事務所などで取得できます。委任状があれば不動産会社の担当者に取得を代行してもらうことができます。マンションの売買を行う場合の売買価格を決める目安にしたり、登録免許税の算定のために用います。相続や売買などで不動産の名義を変更する登記申請では、この評価証明書が必須です。
公課証明書
土地や建物の所有者の氏名や住所、評価額のほかにさらに課税標準額や税相当額が記載されたものです。
役所に出向き、固定資産税評価証明書と同一の用紙にて取得できます。委任状を用意すれば、不動産会社の担当者に代理取得を依頼できます。
固定資産税納付書
固定資産税や都市計画税など、納税額の確認のために必要な書類です。
またマンション売買にともなう移転登記に必要な登録免許税の算出にも必要となります。最新のものを準備しましょう。
マンションを売却するときに売り主と買い主の間で固定資産税の精算をしますが、そのためにも必要です。固定資産税は、1月1日時点のマンションの所有者に年間の固定資産税が課税されます。その年の途中で売ってしまった場合、その年買い主は納税する義務がありません。そのため売買のタイミングに応じて負担額を調整し、買い主から売り主にいくらか払い戻して精算するのが一般的です。固定資産税納付書は、毎年4〜6月ごろに税務署から郵送されるので、きちんと保管しておきましょう。
登記済権利書(登記識別情報)
登記済権利書は、法務局から登記名義人へ渡される書類で、登記名義人がそのマンションの正しい所有者であることを証明する重要なものです。マンション取得時に法務局から公布された登記済権利書を買い主に渡します。
そして移転登記が行われることで、所有権が売り主から買い主に移ります。この書類はマンション売却のときの必携品なので、紛失してしまった場合は別途手続きが必要です。もし見つからない場合は早めに不動産会社に相談しましょう。売却するマンションが2005年より前に購入されたものの場合は、登記済権利書という名前ですが、それ以降は簡略化された登記識別情報という書類が権利書にあたります。
建物についての書類
土地測量図・境界確認書
戸建てや土地の売買の場合、売却範囲の確認のため一戸建てや土地の売買において必要となる書類です。
土地の場合、坪単価と面積によって売買価格を決めることもあります。どこからどこまでが売却の対象か、対象面積は何坪か、など面積や境界線が物をいいます。逆に、境界線がはっきりしていないと、購入した後のトラブルにもなりかねません。万が一境界線がはっきりしない場合は、となり合った土地の所有者とあらかじめ話しあい、合意を得てから測量図を作成しておきます。
建築設計図書、工事記録書
そのマンションが過去どのように設計されたのか、またどのような工事が行われたかを確認する書類です。
設計や工事についての情報は、いずれリフォームをするときに役立ちます。
建築確認済証、検査済証
不動産が建築基準法に適合しているかどうかを確認するため、一戸建ての売買などにおいて必要です。原則として現地で行われる検査によって適合が確認された後に、検査済証は発行されます。構造などが法律の基準に沿っていることの証明は、売り主にとっても買い主にとっても大切な情報です。さきほどの建築設計図書や工事記録書は、建築確認済証のように建築にあたっての法的手続きに関する書類ではありません。
しかし、どのように設計・工事が行われたかの情報は、物件の維持管理や将来のリフォームにおいて非常に有用です。この書類はマンションの購入時に売り主から交付されています。紛失した場合は、役所の建築課などで代わりの書類を発行してもらうことが可能です。この書類がないと買い主が銀行から融資を受けられない場合もあるので、大切に保管しておきましょう。
マンションの管理規約、自治会の議事録、長期修繕計画書など
マンションの管理内容や使用ルールが書かれている書類です。よく「マンションは管理を買え」と言われますが、中古マンションではとくに、「どのように維持管理がされているか」「ペットを飼ってよいのか」など住むにあたってのルールは重要項目です。売買契約時より前のタイミングで提示することが望ましいです。
また買い主にとっては、管理費、修繕積立金など入居した後の生活で負担するランニングコストの確認にもなります。マンションの場合は、管理規約、直近の自治会の議事録、長期修繕計画書の3つが必要となります。管理規約はマンションの購入時に売り主や管理会社より渡されています。議事録と長期修繕計画書は、管理会社から郵送されているはずなので確認しましょう。手元にないときは、どちらも管理会社に連絡すれば発行してもらえます。
なお、管理規約の再発行は有料となることがあります。マンションの売却を進めるために必ず準備する書類ではありませんが、用意されていると買い主は助かります。この書類には、マンションに住むときのルールなど、買い主にとってとくに気になる情報が載っています。できる限り早めに提示できるようにしましょう。
マンションの維持費などの書類
入居後、マンションの購入者が負担すべき費用を確認できる書類です。管理費、修繕積立金、管理組合費、町内会費などについて記載された書類です。
耐震診断報告書、アスベスト使用調査報告書など
耐震診断などを行っている場合は、関連書類を提出しましょう。建築基準法で耐震基準が定められていますが、1981年の新耐震基準が導入される前のマンションを売却するときは、耐震診断報告書などの提出が求められることがあります。アスベストに関する調査を受けている場合も同様に提出しましょう。なお、これらの書類がないと売却できないというものではありません。
重要事項説明書
その名のとおり、マンション購入時の契約条件など重要事項についての説明が記載された書類です。宅地建物取引主任者による説明内容を記したものです。売買契約を締結するまでの間に、売り主が買い主に対してマンションについて重要事項を説明するために必要な書類です。
マンションのパンフレットや広告資料など
マンション購入時に入手したパンフレットなどがあれば、買い主に渡すとよいでしょう。
またマンションの販売活動に必要な、買い主を募集するための制作物の材料になり得ます。不動産会社がそういった広告物を作成するのにも役立ちます。そこにはマンションの構造や築年数、設備の詳細や間取りなどが書かれているため、募集図面をスムーズに作成できます。もともとマンションを購入したときに、まえの売り主から受け取っているはずです。もしも紛失している場合は、施工会社や管理会社などに問い合せると、有料で再発行してくれることもあります。
以下の必要書類を不動産会社の担当者の方と一緒に揃えましょう。
・身分証明書類一式(実印、印鑑証明書)
・銀行口座書類(銀行振り込み先の情報)
・公課証明書
・固定資産税納付書
公課証明書と固定資産税納付書は、委任状があれば不動産会社の担当者が代理で用意してくれます。
買い主の住宅ローンの審査が終わり段階、残債の決済を行います。
そして登記手続きも同時に行います。このプロセスでは売り主、買い主、不動産会社の担当者、司法書士が銀行などに集合する必要があります。法務局や銀行は、平日の日中しか窓口が開いていないため手続きは平日の昼間に決済を済ませなくてはいけません。登記関連の手続きだけでなく、残金決済、仲介手数料の支払い、書類やカギの引き渡しなども行います。これらの手続きが無事に完了すれば、その日のうちにマンションの引渡しを終えられます。(マンションの売却代金で残債を完済できないときは、不足分を現金で用意しておく必要があります。)
この決済で必要となる書類は以下の通りです。
・身分証明書
・実印
・印鑑証明書
・登記済権利書、または登記識別情報
・新居の住民票
・マンション規約などの書類全般
・不足分の現金(マンションの売却代金で住宅ローンが完済できない場合のみ)
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