ワンルームマンションの売却は慎重に行わないと、思わぬ損をしてしまうこともあります。本記事では、ワンルームマンションを高く売却するためのポイントや注意点を解説します。損をしにくいタイミングもわかるため、売却を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
更新日:2023年05月25日
イエシルコラム編集部
株式会社リブセンス
IESHIL編集部東京・神奈川・千葉・埼玉の中古マンション価格査定サイトIESHIL(イエシル)が運営。 イエシルには宅建士、FPなど有資格者のイエシルアドバイザーが所属。ネットで調べてわからないことも質問できるイエシル査定サービスを展開しています。
マンションの売却をスムーズに進めるためには、前もって必要な書類を把握し、準備しておくことが大切です。 しかし、マンション売却に必要な書類はたくさんあるため「結局いつ、何がいるの?」「揃えるのがめんどくさそう」と感じている方も多いかもしれません。
この記事では査定時、媒介契約時、売買契約時・引き渡し時、売却の確定申告とそれぞれの段階ごとに必要な書類と入手方法を解説します。 自分は今どの書類が必要なのか、タイミングごとに見直して確認してみてください。
マンションの売却では、どのタイミングでどんな必要な書類なのかを把握しておくことが大切です。
マンションの売却の流れと必要な書類を、以下の表にまとめました。
必要書類 | ||
ステップ1 価格査定 |
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ステップ2 媒介契約 |
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ステップ3 売買契約、引き渡し |
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ステップ4 確定申告 |
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ここからは、各ステップごとに必要な書類を詳しく見ていきます。
自分の売却ステップに合った項目を確認して、書類の準備を進めていきましょう。
マンションの売却では、まず不動産会社に価格査定を依頼します。
マンションの査定時に必要な書類を、以下の表にまとめました。
必要書類 |
必要度(必須◎、推奨△) |
登記謄本 |
◎ |
マンション維持費などの書類 |
◎ |
マンションの管理規約・長期修繕計画書・総会議事録 |
◎ |
ローン残高証明書またはローン返済予定表 |
◎(住宅ローンが残っている場合) |
購入時のパンフレット |
△ |
リフォーム時の見積書・契約書 |
△ |
各書類の内容や入手方法について詳しく解説します。
登記簿謄本には、過去から現在までの登記と抹消の履歴が記録されています。また地目変更の経緯や他に所有権を持つ人がいないかどうかなども記載されており、買い主がマンションを購入するにあたって、重要な判断材料となります。世の中には数え切れないほどの不動産が存在しており、いずれにも所有権や抵当権などさまざまな権利情報がひもづいています。それらを一元的に法務局にて集約、記録しようというのが不動産登記という制度なのです。法務局だけでなく、オンラインでも入手できます。詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
参考:【2019年度8月版】誰でも取れる不動産登記簿・登記簿謄本の閲覧や取得方法。具体的な4つの確認方法
入居後、マンションの購入者が負担すべき費用を確認できる書類です。管理費、修繕積立金、管理組合費、町内会費などについて記載された書類です。
マンションの管理内容や使用ルールが書かれている書類です。よく「マンションは管理を買え」と言われますが、中古マンションではとくに、「どのように維持管理がされているか」「ペットを飼ってよいのか」など住むにあたってのルールは重要項目です。売買契約時より前のタイミングで提示することが望ましいです。
また買い主にとっては、管理費、修繕積立金など入居した後の生活で負担するランニングコストの確認にもなります。マンションの場合は、管理規約、直近の自治会の議事録、長期修繕計画書の3つが必要となります。管理規約はマンションの購入時に売り主や管理会社より渡されています。議事録と長期修繕計画書は、管理会社から郵送されているはずなので確認しましょう。手元にないときは、どちらも管理会社に連絡すれば発行してもらえます。
なお、管理規約の再発行は有料となることがあります。マンションの売却を進めるために必ず準備する書類ではありませんが、用意されていると買い主は助かります。この書類には、マンションに住むときのルールなど、買い主にとってとくに気になる情報が載っています。できる限り早めに提示できるようにしましょう。
マンション購入時に入手したパンフレットなどがあれば、買い主に渡すとよいでしょう。
またマンションの販売活動に必要な、買い主を募集するための制作物の材料になり得ます。不動産会社がそういった広告物を作成するのにも役立ちます。そこにはマンションの構造や築年数、設備の詳細や間取りなどが書かれているため、募集図面をスムーズに作成できます。もともとマンションを購入したときに、まえの売り主から受け取っているはずです。もしも紛失している場合は、施工会社や管理会社などに問い合せると、有料で再発行してくれることもあります。
売り主がいまだ住宅ローンを返済中の場合に必要です。残債の総額と毎月の返済額が書かれた書類を準備しましょう。住宅ローンが残っている場合は、不動産会社と買い主がいくら住宅ローンが残っているのかをあらかじめ正確に把握するため、償還表が必要です。
また買い主も、これを見れば自分にあといくら住宅ローンが残っているのかがわかるため、売却価格を決めるときに参考になります。不動産会社から提示を求められるので、ローンを組んでいる金融機関から定期的に送られてくる償還表を保管しておきましょう。紛失した場合は金融機関に確認してみましょう。
過去に室内のリフォームを行った場合は、見積書や契約書などリフォームしたことを確認できる書類を用意しておきましょう。
査定時にリフォームした箇所や時期を伝えることで、より正確な査定額を算出できます。
確認できる書類が見つからない場合は、査定時に「いつ、どんなリフォームをしたのか」を伝えるようにしましょう。
他にも住宅性能評価やインスペクション、耐震診断などを受けた場合も確認できる書類があれば用意しておくと良いでしょう。
価格査定を受けた後は、売却を依頼する不動産会社を選び、媒介契約を結びます。
不動産会社との媒介契約時に必要な書類を、以下の表にまとめました。
必要書類 |
必要度(必須◎、推奨△) |
身分証明書 |
◎ |
登記済権利証(登記識別情報) |
◎ |
固定資産税・都市計画税納税通知書 |
◎ |
マンションの管理規約・長期修繕計画書・総会議事録 |
◎ |
重要事項調査報告書 |
◎ |
間取り図 |
◎ |
ローン残高証明書またはローン返済予定表 |
◎(住宅ローンが残っている場合) |
耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書 |
△ |
契約を結ぶ前に本人確認ができる書類が必要となります。
本人特定事項である名前、住所、生年月日が記載されている運転免許証やパスポート、各種健康保険証などが有効です。本人であると証明できるものを準備しておきましょう。不動産会社からすれば、目の前にいる商談の相手が売買の権限を持つ本人に間違いないかを身分証明書で確認します。マンションが親子や兄弟などで共有名義となっている場合、共有者全員のものが必要となります。
登記済権利書は、法務局から登記名義人へ渡される書類で、登記名義人がそのマンションの正しい所有者であることを証明する重要なものです。マンション取得時に法務局から公布された登記済権利書を買い主に渡します。
そして移転登記が行われることで、所有権が売り主から買い主に移ります。この書類はマンション売却のときの必携品なので、紛失してしまった場合は別途手続きが必要です。もし見つからない場合は早めに不動産会社に相談しましょう。売却するマンションが2005年より前に購入されたものの場合は、登記済権利書という名前ですが、それ以降は簡略化された登記識別情報という書類が権利書にあたります。
固定資産税・都市計画税納税通知書は、マンションの持ち主に固定資産税や都市計画税の納税額を通知する書類です。
マンションの引き渡し時期に応じて売主と買主でその年の納税額を按分するので、それぞれの負担額を算出するために必要になります。
原則再発行はできませんが、紛失してしまった場合は市役所で納税通知書の代わりに固定資産税評価証明書を発行してもらうことができます。
固定資産税評価証明書の発行には300〜400円かかり、本人確認できる書類が必要です。
査定時に用意したマンションの管理規約・長期修繕計画書・総会議事録は媒介契約時にも必要です。不動産会社がマンションの管理状況やルールなどを把握し、購入希望者からの質問に的確に答えるために使用します。書類の詳細については、「マンションの査定時に必要な書類」の章で記載している内容をご覧ください。
重要事項調査報告書には、買主がマンションを購入する際に知っておきたい情報が記載されています。毎月の管理費や修繕積立費、駐車場の使用方法、トランクルームの専用使用権、ペットの飼育や楽器の使用についてなどです。
マンションの管理会社が発行する書類で、一般的には不動産会社の担当者が入手してくれます。
間取り図は面積を計算して販売価格を算出したり、販売活動でwebサイトやチラシ広告に掲載する際に使います。
マンションを購入した際に取得しているはずですが、紛失した場合は不動産会社に相談してみましょう。管理会社が所有しているため、不動産会社の担当者が入手の手配をしてくれます。
査定時に用意したローン残高証明書またはローン返済予定表は媒介契約時にも必要です。
住宅ローンが残っている場合、売却代金で一括返済できるかどうかを確認しないといけません。
書類の詳細については、「マンションの査定時に必要な書類」の章で記載している内容をご覧ください。
必須ではありませんが、管理会社から耐震診断報告書やアスベスト使用調査報告書をもらっている場合は用意しておきましょう。
1981年の新耐震基準が導入される前のマンションを売却する際は、耐震診断報告書の提出が求められることがあります。
アスベスト使用調査報告書も、買主がマンションの安全性を確認するための大切な情報です。
両者とも管理会社から配布されていない場合は特に用意する必要はありません。
無事に買主が見つかれば、売買契約を結んでいよいよ物件の引き渡しです。
買主との売買契約時・引き渡し時に必要な書類を、以下の表にまとめました。
必要書類 |
必要度(必須◎、推奨△) |
身分証明書 |
◎ |
登記済権利証(登記識別情報) |
◎ |
印鑑証明書と実印 |
◎ |
付帯設備表・物件状況報告書 |
◎ |
預金通帳 |
◎ |
媒介契約時に用意した身分証明書は、売買契約時・引き渡し時にも必要です。
売買契約時には買主に売主本人であることを証明するために、引き渡し時は司法書士に登記を依頼する際の本人確認のために使用します。
書類の詳細については、「マンションの媒介契約時に必要な書類」の章で記載している内容をご覧ください。
媒介契約時に用意した登記済権利証(登記識別情報)は売買契約時・引き渡し時にも必要です。
売買契約時にはマンションの所有者であることを証明するために、引き渡し時には登記を依頼する司法書士に渡すために使用します。
書類の詳細については、「マンションの媒介契約時に必要な書類」の章で記載している内容をご覧ください。
実印は売買契約書や引き渡し時の登記書類に押印する際に使用します。
印鑑証明書は、使用する実印が役所で登録された本物の印鑑であることを証明するために必要になります。
印鑑証明書は役所や証明サービスコーナーの窓口で発行することができ、一通あたり390〜450円です。印鑑証明書は有効期限が3ヵ月なので、必要時期に合わせて発行するようにしましょう。
付帯設備表・物件状況報告書は、売主にしかわからない情報を買主に提供するために記載するための書類です。設備の故障や不具合、建物の腐食や傾き、リフォーム履歴など、売主が把握している物件の具体的な状態を正確に記入します。
売却後に「言った・言わない」のトラブルを防ぐためにも非常に重要な書類なので、不動産会社の担当者と相談しながら丁寧に作成します。
マンションの売却代金のやり取りは高額なので、銀行振込で行うことが一般的です。
買主に振込先を伝えるために、口座番号がわかる預金通帳が必要です。
銀行名や口座番号、氏名が確認できる部分をコピーしておきましょう。
必要書類 | 必要度(必須◎、推奨△) |
除票住民票 |
◎ |
売買契約書の写し |
◎ |
特例で必要な資料 |
◎(特例を利用する場合) |
各書類の内容や入手方法について詳しく解説します。
除票住民票とは、他の市区町村に引っ越した方が、かつてそこに住んでいたことを証明する書類です。
確定申告では、自分が住んでいたマンションを売却したということを証明するために、自分がそのマンションに住んでいたことを証明する必要があります。
除票住民票は元々住んでいた市区町村の役所で発行できます。
引っ越し先が同じ市区町村内の場合は現住所の住民票に前の住所が記載されているので、そちらを提出します。
譲渡価額(売却価格)を証明するため、売買契約書の写しが必要です。
不動産会社へ支払った仲介手数料など、譲渡にかかった費用が分かる書類も用意しておくと良いでしょう。
また、もし手元にあれば購入した当時に作成した売買契約書写しも準備しておきましょう。
購入時の売買契約書がなくても確定申告はできますが、支払う税金が増えてしまう可能性があります。
マンションの売却で売却益が出た場合は、以下の特例が利用できます。
反対に売却損が出た場合は「居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」の特例が利用できます。譲渡所得の内訳書や登記事項証明書、買い替え資産の登記事項証明書、新しい住民票など、利用する特例によって必要な書類は異なります。利用する特例に必要な書類を確認し、早めに準備しておきましょう。
必要書類のなかには不動産会社が取り寄せてくれるものもあるので、不動産会社の担当者に相談しながら揃えていくようにしましょう。印鑑証明書など有効期限のある書類を取得するタイミングも伝えてくれるはずです。また、上記で紹介した書類は必要最低限のものなので、個別にケースに応じて他に必要な書類が出てくるかもしれません。
不備のないよう、不動産会社に確認しながら準備を進めていくことが大切です。
多くの人にとって、マンションはとても大きな買い物です。
購入希望者は、自分の希望に合った物件か、設備や管理はしっかりしているか、不安な点はないかなど慎重に判断します。
安心して購入を決断できるように、買主にとって役立ちそうな情報は積極的に提供しましょう。購入した当時のパンフレットや実際に住んでいるからこそ分かることなど、用意できる情報は多い方が、購入希望者は意思決定をしやすくなります。
マンションを売却するには様々な書類が必要ですが、一度に全ての書類を準備する必要はありません。査定時、媒介契約時、売買契約時・引き渡し時、確定申告のタイミングごとに必要な書類を確かめ、計画的に揃えていきましょう。
また実際に売却する際は、不動産会社の担当者がその都度必要な書類を教えてくれることが一般的です。分からないことは担当者に質問したり相談したりしながら、準備を進めていきましょう。
マンションの売却では信頼できる不動産会社と担当者を見つけることが一番大切です。
イエシルでは、不動産のプロが中立的な立場でマンション売却のサポートを行っています。
ご状況に合わせて、信頼できる不動産会社のご紹介も可能ですので、ぜひ一度イエシルのアドバイザーにご相談ください。
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