マンションを一括で購入するメリットとデメリットをはっきりさせてみた 。マンションを一括購入すべき人はどんな人?

お金があるならできればローンは避けたいし、マンションを一括で購入してもいいのか。どんなメリットがあるのか。どんな人が一括購入すべきなのか。元不動産仲介歴10年の不動産アドバイザーに教えてもらいました。

更新日:2023年08月15日

イエシルコラム編集部さんのプロフィール画像

イエシルコラム編集部

株式会社リブセンス

IESHIL編集部

東京・神奈川・千葉・埼玉の中古マンション価格査定サイトIESHIL(イエシル)が運営。 イエシルには宅建士、FPなど有資格者のイエシルアドバイザーが所属。ネットで調べてわからないことも質問できるイエシル査定サービスを展開しています。

この記事の要点
  • マンションを一括で購入したほうがよい場合はほとんどない
  • 一括購入できる資金があるならば、頭金を多めに支払い金利を下げるのはよい
  • 低金利のおかげでローンを組むための諸費用は安くなっており、一括購入のメリットは小さくなっている
  • 一括購入をすると、ローンを組むことで利用できる公的制度のメリットを享受できない
  • 低金利のおかげで、ローンを組んで手元資金を残すメリットが大きくなっている
「マンションを購入するときに、「手元に資金があるならローンを組まずに一括で購入したほうがいいんじゃない?」と考えたことがあるのではないでしょうか。

不動産営業歴10年以上のイエシルアドバイザーに、一括購入のメリットやデメリット、費用や税制などについてまとめて聞いてみました。低金利のため、資金に余裕があってもローンを組む人が増えているとも言われますが、実際のところはどうなのでしょうか。どんなパターンであればマンションを一括で購入してもいいのでしょうか?ズバリ教えていただきましょう。


一括購入だけでなく、マンションの購入で失敗しないためにはフラットな立場かつ信頼できる専門家に相談することが大切です。本来は不動産会社の営業担当がそれにあたります。しかし、自社の利益を重視する人もいるので、必ずしもあなたにメリットがあるアドバイスをしてくれるわけではないのが実情です。できれば友人や知人に専門家(不動産会社や宅建士)がいればベストです。もし、友人や知人で当てはまる人がいない方は、無料で質問や相談ができる「イエシルアドバイザーサービス」をご利用ください。

一括購入をした方がいい場合ってどんな時?

マンションを一括で購入するメリットとデメリットをはっきりさせてみた 。マンションを一括購入すべき人はどんな人?の画像

最初に結論からいうと、一括購入をしたほうがよい場合はほとんどありません。金利は安くなりますが、代わりに住宅ローン控除を受けられなくなります。一括購入に充てられるだけの資金があるならば、別の投資に回すほうがよい場合がほとんどです。

一括購入のメリットは、住宅ローンの金利が発生しないことです。
現在は、金融緩和による低金利のため0.3%〜1.0%程度の年利となっております。それに加えて、住宅ローン控除も利用することができます。つまり一括購入のメリットは小さいといえます。そのためそれだけの現金があるのであれば、ほかの安全性の高い投資の運用資金にする方がよいと言えるでしょう。

仮に、宝くじや相続などで数億円の現金が臨時で手に入り、それが将来の生活貯蓄や不測の事態を加味しても十分すぎるほど大きく、ほかに運用する方法がないのであれば買うこともありえるかもしれません。しかし、こんな極端なことは普通は起こりません。また、住宅を一括購入することそれ自体に節税効果もありません。現在の低金利下であればマンションを一括で購入する理由はほぼないといえます。
一括購入できるだけの現金を持っている場合の活用方法は2点です。

1. 頭金を3割程度入れることで金利を安くできる住宅ローンを利用する   
 (例) ARUHI スーパーフラット7(頭金を3割入れることで低金利になる。2019年6月より取り扱い開始)
2. 住宅ローン控除が終了する期間に合わせて繰り上げ返済を行う

次以降の章では、具体的な住宅ローンにかかる費用や、一括購入による金銭的メリットについて具体例を用いて説明します。


「気になるあのマンション、この価格で買って大丈夫?」「安心なマンションの選び方って?」など、あなたの疑問を専門家に無料で相談できます。

住宅ローンにかかる費用について

マンションを一括で購入するメリットとデメリットをはっきりさせてみた 。マンションを一括購入すべき人はどんな人?の画像

金利、手数料、保証料などを払う必要がないため一括購入にはメリットがあると言えます。」 マンションを住宅ローンを組んで購入すると、一括購入では負担する必要のない費用がかかります。金利、融資手数料、保証料、印紙代、登記費用などです。

住宅ローン金利

借入金額に応じて支払う利息。0.3〜1.0%程度、完済まで支払いが必要。

ローン保証料

住宅ローンの返済がなんらかの理由で滞った場合に、保証会社に立て替えてもらう(代位弁済)ための費用。借入金額の2%程度。完済まで支払いが必要。

団体信用生命保険の保険料

フラット35の場合は保険料がローン金利に含まれている。

事務手数料(融資手数料)

3万円~5万円のケースや借入金額の2.16%としているケースがある。手続き時のみ支払い。

印紙代

住宅ローンの金銭消費貸借契約のために必要。2万円程度。手続き時のみ支払い。

登記費用

銀行や保証会社の抵当権を登記するために必要。登録免許税は不動産価格の1.5%。手続き時のみ支払い。

適合証明書の交付手数料

フラット35を利用する場合、建築基準法にもとづく検査済証がなされているかの証明書を交付する必要がある。5万円程度。
詳しく知りたい方はこちら

ちなみにフラット35を利用すると、上記のうち、ローン保証料と団体信用生命保険の保険料はかかりません。この場合、借りるときの諸費用は、事務手数料、印紙税、登記費用、適合証明書の交付手数料だけです。

一括購入をするとローンを組まないことでいくら節約できるの?

4,800万円のマンションを頭金300万円を支払って、4,500万円のローンを35年で組んで購入するときの実費を計算してみましょう。金利は、変動金利=0.475%の場合と固定金利=1.26%の場合で算出します。ほかの諸費用については、事務手数料97万円、印紙税2万円、登記費用4.5万円、適合証明書は5万円とします。

  • 金利が0.475%の場合金利の支払い総額:378万円諸費用との合計額:487万円
  • 金利が1.26%の場合金利の支払い総額:1,050万円諸費用との合計額:1,159万円

このように一括でマンションを購入することで、35年間で数百万円以上を節約できます。

しかし低金利の状況下では、このメリットがご覧のようにとても小さくなっているのも事実です。


ご意見、ご要望はこちら

IESHIL編集部オススメ記事

IESHILコラムとは、不動産物件情報に関連してコラム等の関連情報も提供する付随サービスです。
ご利用により、IESHIL利用規約が適用されますので、規約のご確認をお願い致します。