マンションを一括で購入するメリットとデメリットをはっきりさせてみた 。マンションを一括購入すべき人はどんな人?

お金があるならできればローンは避けたいし、マンションを一括で購入してもいいのか。どんなメリットがあるのか。どんな人が一括購入すべきなのか。元不動産仲介歴10年の不動産アドバイザーに教えてもらいました。

更新日:2024年08月05日

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イエシルコラム編集部

株式会社リブセンス

IESHIL編集部

東京・神奈川・千葉・埼玉の中古マンション価格査定サイトIESHIL(イエシル)が運営。 イエシルには宅建士、FPなど有資格者のイエシルアドバイザーが所属。ネットで調べてわからないことも質問できるイエシル査定サービスを展開しています。

この記事の要点
  • マンションを一括で購入したほうがよい場合はほとんどない
  • 一括購入できる資金があるならば、頭金を多めに支払い金利を下げるのはよい
  • 低金利のおかげでローンを組むための諸費用は安くなっており、一括購入のメリットは小さくなっている
  • 一括購入をすると、ローンを組むことで利用できる公的制度のメリットを享受できない
  • 低金利のおかげで、ローンを組んで手元資金を残すメリットが大きくなっている

税制上の優遇、公的制度について

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一括購入だと住宅ローン減税の恩恵は受けられず、デメリットが大きいです。 住宅ローン減税制度とは、住宅ローンを借りてマンションなどの住宅を購入するときに、購入者の金利負担をへらすための制度です。

サラリーマンの方は源泉徴収で所得税を一度支払い、後に確定申告をすることで減税分の還付を受け取ることができます。

では実際に、4,500万円のローンを35年で組むときの10年間の控除額を計算してみましょう。

  • 210万円


さきほどのローンを組むことでかかるコスト、とくに低金利の状況下でのコスト(426.7万円)と比べると、その約半分を住宅ローン減税でカバーできてしまうということです。一括購入の場合は、もちろんこの恩恵は享受できません。


契約の自由度について

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一括購入だと契約の手続きがシンプルであり、時間と労力を節約できることはメリットです。

一括購入だともちろんローンの審査はなく、それに伴う金銭消費貸借契約、印紙手続き、抵当権の登記や団体信用生命保険の手続きもないので、スピーディに契約を進められます。何度も金融機関に来なくてよいですし、多くの書類に記入したり、集めたりしなくてもよいのです。このように契約の制限の少なさとスピードはメリットの1つです。契約するとなると早いに越したことはないですし、段取りがうまくいかず遅くなることで、物件自体を最悪あきらめなければならない場合もないとはいえません。


また売主が早く物件を売りたいと考えている場合、一括購入は時間がかからないので喜ばれることもゼロではありません。

これを材料に値引き交渉ができる可能性もありますが、ローン審査が通っている人であれば売り主からみて、条件は大きく変わりません。


手元資金について

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手元資金を大きく減らすことになるのは大きなデメリットです

マンションの購入に限らず、資金を確保するのは人生全体においてとても重要なことです。

いくら一括でマンションを購入できても、購入後に手元の余裕資金がなくなってしまうと、病気や怪我などの予期しない事態や、車の購入や子どもの教育などのライフスタイルの変化に対応できなくなってしまいます。


マンションなどの住宅は購入した後も、固定資産税や火災保険料、マンションの維持費(管理費や修繕積立金・駐車場代)など多くのお金がかかります。また株式や債権などの投資をおこなう場合は、手元の資金を失うのはとても危ういことです。

もしも将来、いい投資機会があったときに資金不足で投資を実行できない場合、それは実損を出してしまったのと同じことだからです。元本が大きければ大きいほど有利な投資の世界では、資金を確保しておくのはとても重要です。

また住宅ローンを1%で借りて金利を支払うことになったとしても、それによって確保することのできた資金で1%以上の運用利回りを出せれば、借りたほうが得ということになりますし、近年の低金利の状況下ではそれが容易くはなっているというのも事実です。現金を手元に確保しておく必要性はどんな人にでもあるのです。


税務署からお尋ねがくるかもしれません

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一括で購入すると税務署から調査が来ることがあります。しかし正しく税務手続きしていれば恐れる必要はありません。

一括で購入すると税務署から調査が来ることがあります。しかし正しく税務手続きしていれば恐れる必要はありません。

マンションや土地を購入すると不動産登記によって税務署が購入を知ることができます。

そのときに一括購入など大きな金額を扱うと、税務署が資金の調達方法などをヒアリングしてくることがあります。

普通は数千万円もの現金を個人で準備するのは簡単ではありません。税務署の目的は、住宅などの不動産の購入資金がだれかから贈与されたものでないかどうかを確認し、場合によっては贈与税を課税することです。事前に税金の申告が正しく行われていない場合はもちろん納めなければなりませんが、きちんと手続きしていれば何も問題はありません。


ちなみに住宅購入資金として親などから援助を受けるなら非課税枠の制度があり、最大で3,000万円ほど課税が免除されます。詳しくはこちらをご覧ください。

国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」


まとめ

結論は、冒頭にお伝えした通りマンションなどの物件を一括で購入した方がよい場合はほぼありません。

ただ一括購入にさほどのメリットがないとはいえ、住宅ローンで大金を借りることに抵抗はあるかもしれません。

いうまでもなく住宅ローンとは借金であるため、そこに危うさを感じ、できれば借りたくないと考えるのもムリはないと思います。

この記事にあったようなシミュレーションを一度、ご自身のシチュエーションで計算してみることをオススメします。

不安とは未来が不明瞭がゆえに感じるものです。一度ご自身で考え、将来のライフスタイルをある程度クリアにすれば、きっと自信をもってマンションなどの住宅購入に踏み切れると思います。


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