不動産譲渡にかかる税金とは?譲渡所得や税額の計算方法を解説

不動産を譲渡する際、特に土地を譲渡する場合には多額の税金が発生するケースが多いです。 いざ売却した時に手元に少しの金額しか残らなかったなんてこともありえます。ここでは税金の種類・税額の計算方法・節税方法について詳しく解説していきますので、事前に少しでも知識を蓄えておき、ご自身がなるべく損をしないようにしましょう。

更新日:2019年10月09日

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イエシルコラム編集部

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1)不動産譲渡でかかる税金の種類

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不動産の譲渡でかかる税金の種類にもいくつかあります。具体的には譲渡所得税・住民税・登録免許税・印紙税とありますが、それぞれいくらかかるのか、項目ごとに分けて解説します。

譲渡所得税・住民税

譲渡取得税と住民税の2つは、売却により利益が発生した場合(譲渡所得)にのみかかります。
売却価格が購入価格よりも安くなってしまう時など、売却をして損をしてしまう場合には適用されません。不動産売却に絡む税金の中でも高額で、理解しづらいものになりますので注意が必要です。当然利益額により税額も変わってきます。
もう1つの大事なポイントは所有期間が何年間かということです。所有期間が5年を超えると「長期譲渡所得」となり、5年以下ならば「短期譲渡所得」となります。
それぞれ所得税と住民税の税率が異なりますが、詳しい数値は後ほど記載します。
また、長期譲渡所得の「5年を超える」の解釈を非常に間違えやすいのですが、不動産の所有日から譲渡した年の1月1日までというカウント方法なのです。これにより5年を超えていたつもりが実際は5年以下の高い税率が適用されてしまうというケースもありえます。

登録免許税

こちらは利益に関わらず必ず発生する税金になります。
物件の所有者が変わる、つまり名義変更される際にかかるものです。法律上では売買する(される)双方が連帯して納税義務があるとなっています。単純な所有権の移転や、抵当権設定時の登記費用は買い主が負担し、の抵当権抹消登記費用は買い主が納めるのが一般的です。
ちなみに抵当権抹消時の費用は不動産1つに対して1,000円と決まっています。抹消に関しては司法書士に依頼することが多く、実際は手数料込みで1、2万円程度かかるでしょう。

印紙税

こちらも利益に関わらず発生する税金です。契約書に収入印紙を貼付して納税します。
お互いに契約書を所有する場合には2枚、どちらかが原本を所有し、片方がコピーを所有する場合には1枚の収入印紙が必要です。
印紙税には2020年3月31日まで軽減税率が適用されていて、それを過ぎると額が高くなる可能性があることを気にかけておいたほうがいいでしょう。10万円から50億円までいくつかの区分に分かれており、本則税率と軽減税率で変わってきますので、正確な数値を調べたい場合には国税庁のホームページに記載されています。
ちなみに契約書の記載金額が10万円以下のものは軽減措置の対象にはならず、1万円未満のものは非課税という扱いです。
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2)不動産譲渡でかかる税金はいつ払うのか?

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印紙税・登録免許税に関してはそれぞれ、契約書を作る・司法書士に依頼をするといった分かりやすいタイミングなのですが、残る譲渡所得税・住民税は支払いの時期が決まっています。
まず譲渡所得税の方ですが、「所得税」と「住民税」に上乗せされるので、この2つの税金を納めた場合に自動的に払っていることになります。ただし忘れてはならないのが、利益が発生した翌年の3月15日までに確定申告をおこなう必要があるということです。期限内に済ませておかないと、遅延金が発生してしまうので注意が必要です。
対して住民税の方はというと、利益が発生した翌年の6月から税を上乗せされた分を含めて払うことになります。こちらは不動産に関わらず毎年払っているはずのものですので、特別何か変わったことをするわけではありません。

3)不動産譲渡に対する譲渡所得と税額の計算方法

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不動産譲渡に対する譲渡所得と税額の計算方法を紹介するのですが、経理などの職に就いている人など税金に詳しくない限り、聞き慣れない単語も出てきてしまうかもしれません。なるべく1つ1つ噛み砕いて説明します。

譲渡所得

譲渡所得の計算は売却価格から所得費・譲渡費用・特別控除を全て差し引いたものです。
ざっくり言ってしまえば売値から諸々の手数料を引いた純利益です。売却価格は名のとおり不動産を売却した時の価格で、契約書で値を確認することができます。
次に所得費は不動産を購入する際にかかる、購入代金・仲介手数料・登記費用などです。ここで気をつけたいのは購入代金は購入時の額そのままではなく、減価償却が必要ということです。減価償却については後ほど詳しく解説します。次に譲渡費用になりますが不動産を売却する時にかかる諸費用で、仲介手数料・印紙税・登記費用などが該当します。
最後に特別控除とは一定の要件を満たし、特例として控除を受けることです。特例に関してもいくつか種類がありますので、後ほど記載します。

税額

譲渡所得に税率を掛けたものが最終的な税額になります。
先ほど譲渡所得は5年を境に長期と短期に分かれると触れました。長期の場合は所得税15%、住民税5%になるのですが、短期の場合は所得税30%、住民税9%とほぼ倍になってしまいます。
また、確定申告の際には所得税と併せて「復興特別所得税」の納付も必要です。算出方法は基準所得税額に2.1%を掛けたものになります。

4)譲渡所得の算出で利用する減価償却費の求め方

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減価償却とは例えば、自動車の新車を100万円で買ったとしても、経過年数・走行距離などの劣化の概念で売る時には同じ値段では売れません。同じように不動産も、減価償却費=建物の取得価格×0.9×償却率×経過年数という式で計算できるのです。償却率を決めるのに耐用年数を参照するのですが、事業用と非事業用で分かれ、非事業用の方は事業用で定められる年数の1.5倍で計算されます。
さらに、非事業用の場合は6ヶ月以上の端数は1年とみなし、6ヶ月未満は切り捨ての扱いということも覚えておくといいでしょう。また、木造・鉄骨・石造などの建物の構造・用途ごとに耐用年数と償却率の数値が細かく定められています。耐用年数を国税庁のホームページで確認し、それに対応する償却率を「減価償却資産の償却率表」で確認するといいでしょう。

5)不動産譲渡において節税に使える特例について

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先で少し触れましたが、不動産譲渡で節税できる特例についてそれぞれ詳しく紹介します。
特例にもいくつか種類があり、併用できる・できないも含めて知っておいたほうがいいでしょう。適用できたはずのものを知らずにおくと、かなりの額の損につながる可能性もあるからです。

3000万円の特別控除

特例を受けるための前提としてマイホーム(居住用財産)であるということが必要です。
この場合のマイホームの定義として4つの項目があり、いずれかに該当すれば特例を受けることができます。
1つめは売却時に住んでいることです。
2つめは住まなくなっても、その日から数えて3年後の年末までに売却することです。
3つめは建物を解体した場合で、2つめの期間内かつ解体から1年以内に売却することが条件になります。
4つめは単身赴任のケースで、配偶者が住んでいる不動産を売却した場合になります。

3000万円の特別控除というものは上記のマイホームの定義を満たせば受けられるものです。
売却価格に対して取得費・譲渡費用と併せて3000万円の控除を受けられれば、かなりの額の節税になる、もしくは利益がマイナスになれば課税対象にならなくなるので必須の知識と言えるでしょう。
ただし、ここでも注意点がありまして、住まなくなった家屋や土地を事業として使った場合には適用されないという点です。平たく言いますと、貸家として家賃を取り誰かを住まわせたり、空き地を駐車場にして利益を得ていた場合などです。

軽減税率の特例

先ほどのマイホームの定義を満たしたうえで、所有期間が10年を超えていれば軽減税率の特例を受けることができます。
具体的には課税譲渡所得が6000万円以下の部分に適用され、税率が14.21%に下がるというものです。
この数字の内訳は所得税10%・住民税4%・復興特別所得税0.21%となっています。ちなみに6000万円を超える部分には20.315%の税率が適用されます。

なお、この特例は先ほどの3000万円の特別控除と併用できますので、覚えておいて損は無いでしょう。
部分という表現を使うのにも理由がありまして、試しに例を挙げて計算しますと、1億円の売却額から3000万円を先に控除します。(購入費と諸費用の概念は今回無しで)7000万円になるので、6000万円を超える1000万円の部分に20.315%が適用されるのです。

取得費加算の特例

取得費加算の特例とは相続した不動産を売却する場合に、相続から3年以内であれば相続税を取得費に加算できるというものです。このケースに該当する場合は積極的に活用したい制度と言えます。
ちなみに相続税の申告期限は、相続があるということを知った日の翌日から10ヶ月までです。

買い替え特例

買い替え特例とは、先のマイホームの定義を満たしたうえで、建物と土地の双方の所有期間が10年を超えている状態が条件です。この条件のもと新しくマイホームを購入すると適用されて、次回新しい不動産の売却時まで納税を先延ばしにできるというものです。譲渡所得が買い替え代金と同額までは適用され、それを超える分のみ課税対象になります。
例を挙げて見ていきますと、2000万円で購入した不動産を3000万円で売却したとします。2000万円までは今回の適用対象で残り1000万円が課税対象です。
なお、この特例はあくまで先延ばしにしているだけで次回売却時に上乗せされるので、減税されているわけではないことをご注意ください。

損益通算の特例

譲渡所得は売却により利益が出た場合にしか課税されないのですが、逆に利益が出ずにマイナスになってしまうこともあります。その場合に課税されないだけでなく損益通算により税金の還付を受けられるケースがあります。
その際に給与所得に対する税金(所得税・住民税など)から損失分が引かれて安くなります。
考え方としては給与などの所得はあるけれど、不動産で損失を出してしまっているから税金の負担を減らすように考慮しましょうというものです。
通常、譲渡所得は「分離課税」と呼ばれ、給与・事業所得の「総合課税」とは損益通算できません。
ただしマイホームの売買のみ例外として認められています。また、この特例の特徴は売却して新しく家を購入しない場合でも、マイナスが出たら他の所得との損益通算ができます。それでも差し引きできない赤字分がある際には、翌年以降3年間まで繰越控除が可能です。

6)不動産譲渡において節税する際の注意点

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極力損をしないためにも節税を活用したほうがいいのですが、どのようなケースで使用できるのか、他のものと併用できるのかなど、注意点があります。ここで紹介する内容を参考にしてみてください。

取得費に関する書類は可能な限り用意する

購入時の契約書や領収書などが見当たらず所得費が不明な場合には、売却代金の5%を所得費として計上できる概算法と呼ばれるものがあります。しかし売却代金の5%を所得費として引いたところで大した金額にもなりません。
特に取得費を多く払った不動産に関しては、可能な限り購入時の書類を保管しておいたほうが後の節税に大いに役立ちます。

特例は併用できないものがある

特例の中には併用できる・できないが存在しますので、どの組み合わせで使うか、何を使えば1番節税できるかの確認が重要です。例として、買い替え特例は3000万円特別控除や10年以上所有の軽減税率の特例との併用ができません。
上記で紹介してきたものの他に、「空家特例」や「住宅ローン控除」などもあるのですが、住宅ローン控除は原則として空家特例以外と組み合わせられません。

7)不動産譲渡で賢く節税対策をするには?

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ここで書いてきた内容を熟知して、税率を自分で調べて計算するというのも少々無理があります。
賢く節税するのにどの特例を利用すればいいかなど、難しいこともあるでしょう。マンション売却は難しく、一般的に自分が想定した値段よりも売却額が安くなってしまうというケースが多数です。
中には売却を苦手としている不動産屋も存在します。なるべく高い値段で売却し、最良の節税方法を取るには強みを持つ不動産サービスを利用するのがおすすめです。
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不動産譲渡の節税対策は不動産アドバイザーに相談しよう!

不動産譲渡はさまざまな税金がかかりますので、節税対策が何よりも重要です。
しかし、自分で調べるには多大な労力が必要ですし、かなりの時間を費やしてしまいます。税理士を頼るには相応の金額が必要になり、売却を得意とする不動産屋を探すのも一苦労でしょう。
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