一見お得な「仲介手数料無料」のデメリットと注意点を解説

不動産を購入するときには物件の費用以外に様々な経費が必要になります。その中でも特に高額なのが仲介手数料です。例えば3,200万円のマンションだったとしたら、最高で税別102万円もの仲介手数料が必要になります。 ですから仲介手数料は安いに越したことはないのですが、時々見かける仲介手数料無料というのは大丈夫なのでしょうか。一見お得に見えますがデメリットはないのか、ここでしっかりチェックしてみましょう。

更新日:2024年08月05日

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イエシルコラム編集部

株式会社リブセンス

IESHIL編集部

東京・神奈川・千葉・埼玉の中古マンション価格査定サイトIESHIL(イエシル)が運営。 イエシルには宅建士、FPなど有資格者のイエシルアドバイザーが所属。ネットで調べてわからないことも質問できるイエシル査定サービスを展開しています。

この記事の要点
  • 仲介手数料は仲介業務に対して支払う成功報酬として必要な費用
  • 仲介手数料が無料になるケースもある
  • 仲介手数料無料の場合、デメリットもあるので要注意

2)仲介手数料が無料になるケースとは?

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このように、仲介手数料は仲介業者にとって大切な収入源です。それなのになぜ無料にすることができるのでしょう。その仕組みについて見てみます。


売主が不動産会社

売主が不動産会社であった場合、仲介ではありませんから仲介手数料は発生しません。
つまり新築を買う時と同じパターンになるわけです。これは魅力的に感じるかもしれませんが、実は思わぬデメリットがあるのです。

仲介で依頼した場合、どの売主の物件であっても仲介会社は仲介手数料という利益が発生します。しかし、不動産会社自身が売主の場合、その物件が売れなければ利益が出ないのです。
そのためどうしても不動産会社はその物件を売ろうと強くプッシュしてくることになります。場合によっては他の物件との比較ができないことさえありうるのです。

こうした売買の場合、買主は素人ですが売主は不動産のプロということになりますから、価格においても売買条件においても交渉が難しくなるでしょう。運良く自分の求めている条件で欲しい物件に出会えたとしたら手数料の分お得ですが、なかなかそういうラッキーは少ないでしょう。
そうしたリスクがある取引については慎重に考えなければいけません。場合によっては手数料を払ってでも別の仲介会社に入ってもらって、価格交渉などを依頼してもいいでしょう。


両手取引で売主からのみ仲介手数料を受け取る

一つの仲介業者が売主と買主の両方から依頼を受けていた場合、両方から仲介手数料を受け取ることができます。

上で計算例として出した1,000万円の物件であった場合、売主から税別36万円、買主からも税別36万円の合計税別72万円の収入があるので大変「美味しい」ビジネスになると言えるのです。

売主または買主だけと仲介取引を行うものを片手取引と言い、両方と仲介取引を行うものを両手取引と言います。

このうちの片手をあえて離してしまう(買主側の手数料を無料にする)ことで、物件の売買を早期にまとめてしまえる可能性が高まるため、それを狙って買主の仲介手数料無料を実現していることがあります。

そうすればネット上の口コミなどで買主側からは「手数料が無料だった」、売主側からも「早く売ってくれた」という評価を得ることができて、次のビジネスに繋がる可能性が高まるというわけです。


3)仲介手数料無料のデメリットや注意点は?

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広告に仲介手数料無料とうたってあると、とてもお得な仲介業者のように見えますがデメリットはないのでしょうか。こうした業者を利用する際の注意点と合わせて説明します。


すべての物件が手数料無料とは限らない

先にも少し触れたように、売主または買主とだけ取引するものを片手取引と言い、仲介取引の場合手数料を請求できるのは片方だけになります。つまり片手取引の場合に仲介手数料を無料にしてしまうと、仲介業者はタダ働きになってしまうのです。これはありえません。もしそんなケースがあったとしたら、必ず裏にはからくりがあります。

比較的良心的なものとしては先に紹介した「売主がその不動産業者である」というケースです。利益は売却益から出るので仲介手数料は必要ありません。しかし、説明したようにデメリットも大きいので十分な注意が必要です。

いずれにせよごく特殊な例外を除いて、本当に手数料無料で仲介してもらえることはないと考えておきましょう。

そうでなければ、思わぬところで足元をすくわれるかもしれません。場合によっては本来なら受けられていたはずの、サービスの質が低下してしまったなどという面に現れてくるかもしれません。



物件価格に上乗せされているかもしれない

これは仮の話ですが、売却の仲介を頼まれていたのに一向に買手がつかないという物件があったとします。
購入希望者が手数料を値切ってきた時に、仲介業者はこうした物件の売手に売却価格の値下げを提案することがあります。
売手も売れないのでは仕方ないのでその提案を受け入れたとしましょう。そして仲介業者はこの物件の値下げ前の価格で買い手に仲介し、差額を仲介手数料として受け取ってしまうのです。
つまり、買手は値切ったつもりだったのに、しっかり手数料を負担させられているというわけです。
こうしたトリックに引っかからないためには、まず相場を知ることです。
相場を知っていれば、物件価格に手数料を上乗せされるようなトリックを避けやすくなります。相場を調べるには不動産流通機構(国土交通大臣指定)が運営しているレインズマーケットインフォメーションや、国土交通省が運営しているデータベースの土地総合情報システムで検索して調べると良いでしょう。


別の名目で手数料が請求されることがある

先にも触れたとおり、仲介手数料には仲介業者の業務に関する費用が含まれています。
しかも成功報酬ですから、利用者にとっては契約が成立しない限り支払う必要のない費用です。
ですから、宅建業法の定めにある範囲の手数料であれば、むしろ支払っておいたほうが確実かもしれません。
その手数料には一般的な手数料が含まれていますので、それ以上請求すると違法行為になってしまいます。仲介手数料無料を宣伝している業者に別の名目で高い手数料を請求されたりしないよう、宅建業法の定めにある仲介手数料を支払っておいたほうが安全な場合もあるのです。


賢くマンションを購入するために、知識を身につけよう

仲介手数料は仲介業者にとって貴重な収入源ですから、よほど特殊な事情がない限り無料になることはありません。
不動産取引を行う場合には、買主もしっかりとした知識を身につけて取引に望むことが求められます。
IESHILの「個別相談会」では無料の不動産講座を定期的に行っていますので、それに参加して知識を身に付けてみてはどうでしょう。
「気になるあのマンション、この価格で買って大丈夫?」「安心なマンションの選び方って?」など、あなたの疑問を専門家に無料で相談できます。

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