今年5月、自民党の中古住宅市場活性化小委員会が中古市場住宅の活性化に向けた提言をまとめた。早ければ来年の通常国会で宅地建物取引業法(以下、宅建法)の改正を目指すとされる提言の内容を踏まえ、今後の不動産業界の動向について、みずほ中央法律事務所の代表弁護士・三平聡史氏に伺った。同事務所は得意分野の不動産を中心に相続、離婚問題など幅広い案件を扱い、年間1,500もの案件を受け付けている。
ㅡㅡ不動産業界での違法な商慣習であった“囲い込み”問題について、2015年の5月に自民党の中古住宅市場活性化小委員会がまとめた8つの提言(※)などがあり、対策が進んでいきそうです。この提言は、宅建法の改正も視野に入れているとされています。宅建法が改正されるとしたら、どのような規制を盛り込めば“囲い込み”の根絶につながると思われますか。
三平氏:まず、レインズに売却物件の全ての情報を掲載し公表することが前提で、登録物件に対して正当な理由もなく紹介を拒否する行為にはペナルティを設けるべきです。もともと不動産各社はレインズを通して売却情報を公平に入手できるようになっているのですが、仲介手数料を不正に受け取ろうとする(売主・買主の双方の仲介手数料を獲得する=両手)不動産会社が、買主への物件紹介を拒否するなど、情報が公開されていない部分もあるのです。今後は紹介の履歴や断った理由なども全て記録として残し、依頼主に対して透明化を図るのが良いでしょう。
(※)自民党の中古住宅市場活性化小委員会がまとめた8つの提言
[8つの提言]
<補足>
○“囲い込み”についてはレインズ(=国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているネットワーク)の物件情報を、売主に一定の条件のもと営業情報などを開示する「ステータス管理」をレインズシステムに導入する。また、違法者への処分・罰則も検討する。
○インスペクションのさらなる普及を図る。またリフォーム履歴の開示や買主がインスペクションを入れて確認できるよう標準契約書を作成するなど、インスペクションを中古取引の一環として位置付ける。
○新築だけでなく中古住宅についても長期優良住宅認定制度を創設し、中古住宅の評価においては、建物性能やリフォームの状況を耐用年数に適切に反映するなど査定の見直しを行う。
IESHILコラムとは、不動産物件情報に関連してコラム等の関連情報も提供する付随サービスです。
ご利用により、IESHIL利用規約が適用されますので、規約のご確認をお願い致します。