日本の経済史上初のマイナス金利の導入から約4ヶ月。国債の金利低下に連動して住宅ローン金利も変動・固定問わず低下しています。間近にマンション等の購入を検討している方や既に住宅ローンを組んでいる方にとって、今年が借り時?繰り上げ時?なのかは非常に気になるテーマですよね。
もし今後も金利低下が進んでいくなら固定金利での住宅ローンは見送ったほうが良さそうですし、その逆も然りです。結局いつがベストタイミングかは永遠のテーマとも思えますが、今回は、これからの住宅ローン金利と中古マンション事情を検討しつつ、今年が住宅ローンの借り時のピークなのか解説していきます。
5月27日に、三菱東京UFJ銀行は、6月適用の住宅ローン金利(10年固定)を0.05%引き下げる旨発表。同様に三井住友信託銀行も10年固定物の金利を0.05%引き下げ、過去最低0.5%としました。これら大手銀行で相次ぐ住宅ローン金利引き下げを受けて、ネット専業銀行や地銀等も同様の動きを取るものと考えられます。
現在進行中の低金利トレンドは、2016年2月に発表された日銀によるマイナス金利が大きく影響しています。そして、この流れは6月も引き続き継続されるものといえるでしょう。
ただし、本年7月・8月以降も同様の低金利が続くものとは言い切れません。発動から約4ヶ月が経過したマイナス金利政策ですが、その経済効果や政策の妥当性等について、6月15日・16日に開催される金融政策決定会合において、どの様な総括がなされるか注視が必要です。
次なる金融緩和がいかなる内容になるのか次第で、7月以降の市場金利は大きく動く可能性があります。又、非常にセンシティブになっている現在の市場においては、日銀によるアナウンスが市場の望まない内容だと、大きなショックを走らせてしまう危険性も孕んでいるといえるでしょう。
日銀の黒田総裁は、マイナス金利政策の効果について、実体経済への影響や物価への寄与に対して自信を深める発言を繰り返していますが、市場からの評価は必ずしも高いとはいえません。マイナス金利の導入発表時の市場サプライズは大きかったものの、肝心の実体経済への効果については、十分とはいえないのが現状です。実際のところ、金利は低下しているものの、貸出需要は伸びていません。日銀の切れるカードは既に使い果たしてしまったのではないかとの声すら聞こえてきています。
併せて、マイナス金利の副作用ともいうべき金融機関の収益低下という事象も無視できないレベルとなってきました。
昨年度までは過去最高益を叩き出すなど好調な業績を記録したメガバンクですが、三菱東京UFJ銀行の小山田隆頭取が「やや想定外。収益にかなりの影響が出ている」などと述べるなど、今年度以降マイナス金利による収益低下は確実に起きる模様です。又、その様な経営環境が長期的に続く場合、金融機関利用者への負担転嫁が実施される恐れもあります。
そして、どこかのタイミングで各行一斉に金利の引き上げに動く可能性も無いとは言い切れません。
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