【第1回】弁護士からのアドバイス!不動産売却で「囲い込み」被害に遭わない方法

不動産業界に詳しいみずほ中央法律事務所の代表弁護士・三平聡史氏に「囲い込み」被害に遭わない方法を伺った。

更新日:2015年12月10日

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この記事の要点
  • 両手の手数料を得ようとする不動産業界の商慣習が“囲い込み”を生む
  • “囲い込み”は、一刻も早く物件を売りたい、より高い価格で売りたいという売主の希望を裏切る行為
  • “囲い込み”に遭わないようにするには、不動産会社の選択が重要となってくる
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弁護士・三平聡史氏に「囲い込み」被害に遭わない方法を伺った

不動産業界で悪しき習慣といわれる “囲い込み”。不動産を売却しようとする売主に損害を与えるだけでなく、買主にとってもデメリットが生まれる不適切な慣行だという。一体どんな問題なのか、その対処法を含めて、不動産業界に詳しいみずほ中央法律事務所の代表弁護士・三平聡史氏に伺った。(インタビュー実施:2015年)

大手不動産会社も行う“囲い込み”行為

ㅡㅡ最近、「あなたの不動産を高く売るお手伝いをします」といった広告をよく目にします。不動産の売却の際に注意すべき点は何でしょうか。

三平氏:注意すべき問題として、不動産会社による“囲い込み”が挙げられます。

ㅡㅡ“囲い込み”とは、どういう問題なのでしょうか。

三平氏:お客様(売主)から不動産売却の依頼を受けた仲介業者が、情報を公開せず、直接自社に問い合わせたお客様(買主)に販売してしまうことです。本来、不動産売却の依頼を受けた不動産会社は、その物件を自社だけで販売せず、不動産業界全体で情報を共有し、多くの会社で販売できるようにしなければなりません。

基本的に売買契約には売主と買主の2つの立場があり、それぞれが依頼した不動産の仲介業者(以下、「不動産会社」と記載)があるわけですが、囲い込みとは、売主側の不動産会社が、買主側の不動産会社に、故意に情報を伏せてしまうことです。なぜ情報を伏せたり、独占したりするかというと、仲介手数料の収入を増やしたいためです。不動産会社の基本的な収入源は、仲介手数料です。売却依頼を受けた不動産会社Aは売主から仲介手数料を受け取り、購入依頼を受けた不動産会社Bは買主から仲介手数料を受け取ります。

ですが、もしAがBの介入を阻止し、自分で買主も見つけることができれば、双方から仲介手数料を受け取れます。これを「両方の手数料=両手」といいます。Aは手数料が2倍になるので、Bの介入は好まないわけです。こうした顧客の利益を無視して、両手の手数料を得ようとする不動産業界の悪しき商慣習が、“囲い込み”が拡がることにつながっています。

ㅡㅡ大手の不動産会社でも “囲い込み”が行われているのでしょうか。

三平氏:
公表されている不動産会社での売買仲介の手数料収入を見ると、1件の取引当たりでの平均仲介手数率は5%程度になっています。本来、仲介業者が得られる仲介手数料は、宅建業法で上限は3%に規制されています。にもかかわらず、平均でこのような数値になるのは、仲介の8割以上を両手取引(=6%)で行わない限り、辻褄が合いません。何もせずに自然に8割以上が「両手取引になった」というのは考えにくく、囲い込み的なことをやっている可能性が高いと考えられるでしょう。

売主と買主のデメリット

ㅡㅡ大手でも行われているのですね。 “囲い込み”は法律違反とはならないのでしょうか。

三平氏:“囲い込み”は、一刻も早く物件を売りたい、より高い価格で売りたいという売主の希望を裏切る行為です。そして、仲介手数料という現金も実際に発生していますので、詐欺罪に当たります。また、そもそも宅地建物取引業法でも禁じられていることなので、最も重い処分としては宅地建物取引業免許の停止になります。

ㅡㅡ“囲い込み”が売主にとって不利益になることは分かりました。では、買主側のデメリットは、どのようなことが考えられるでしょうか。

三平氏:一番の問題は、中古物件の円滑な流通が阻害されてしまうことです。買主が、買いたいと思う物件を見つけても、売主側の不動産会社が何らかの理由をつけて売り渋り、申し込みを行っても、購入ができないといったことが起こります。結局、売主側の不動産会社が自社で別の買主が見つかるまで、他社の顧客は購入できないことになると、売主、買主にとっても機会損失となります。また、新築物件は買付の仲介業者を通さないことが通常とされ、不正手段を実行しなくても「両手」を獲得できるため、新築物件が優先される傾向にあります。結果的に、空き家問題にもつながっていると考えられます。

“囲い込み”に遭わないようにするには

ㅡㅡ不動産を売却する際に“囲い込み”に遭わないようにするには、どのような点に注意をすれば良いのでしょうか。

三平氏:大きく分けて3点あると思います。1点目は「囲い込みはしていませんよ」とうたっている不動産会社を選ぶことです。囲い込みは、最近ニュースなどでも取り上げられている社会的な問題ですから、「囲い込みをしないこと」を掲げている不動産会社も出てきています。

2点目は、売却を依頼する際に、不動産会社に「御社は囲い込みなんかしないでしょうね」と念を押すことです。営業担当としては、売主に念押しされて事前に注意を受けるようなことがあれば、緊張感を持って売却の仲介を行うことになるでしょう。

3点目は、不動産会社との契約形態にも注意することです。「専任媒介契約」は、1社に全てを任せますから一見やり取りがシンプルで楽ですが、その分、自社で情報を囲い込むケースが多い。ですから、複数業者に依頼ができる「一般媒介契約」を選択するのが良いかもしれません。大手の不動産会社と地元の不動産会社というように、物件によっては依頼先を分けることも有効でしょう。

ㅡㅡ媒介契約してしまってから、“囲い込み”が発覚することもあるかもしれません。

三平氏:
そうならないために、仲介業者との媒介契約に「囲い込みはしません」というような一文を記載しておくことも有効です。また、イタンジ株式会社が今年5月からサービスを開始した「囲い込みチェッカー」を利用するのも1つの方法です。物件情報を入力するだけで不動産のデータベースで情報をきちんと開示しているかを確認でき、売却側の不動産会社への募集状況の確認を代行してくれるので便利です。
※2015年インタビュー当時

ㅡㅡ最後に、 “囲い込み”行為に遭わないようにする上でのアドバイスをお願いします。

三平氏:はっきりと意思表示することが大切だと思います。「こんなことを聞いたら気を悪くするかな」などと考えず「“囲い込み”をしていますか?」と口にするだけで、相手の仲介業者は思い留まることもあるでしょう。少なくとも“囲い込み”という行為を知っているのだとアピールする効果はあるのではないでしょうか。不動産の売却・購買は、人生に1度か2度あるかないかの大きなライフイベントです。納得のゆく成果が得られるよう、伝えたいことは遠慮なく申し出ることが大切です。

第2回へ続く)

イエシルでは評判と実績をもとに、300以上の店舗から厳選してお客様に不動産会社をご紹介しています。囲い込みを事前に防ぐ方法として直接不動産会社を紹介もらうことも有効的です。
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三平聡史氏(弁護士法人 みずほ中央法律事務所 代表弁護士)

1973年生まれ。早稲田大学理工学部資源工学科卒業後、学習塾で講師をしながら法律学を学び、2000年司法試験合格。2007年弁護士みずほ中央法律事務所・司法書士法人みずほ中央事務所開設。現在は同事務所代表弁護士。著書に『Q&A 事業承継に成功する法務と税務46の知識』『会社法対応 株主代表訴訟の実務相談』などがある。

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