高層タワーマンションは選ぶ住戸によって大きな差があります。その中で、お買い得物件とはどのような物件なのか、値付けの仕組みから住戸選びのポイントを紹介します。
更新日:2016年03月11日
イエシルコラム編集部
株式会社リブセンス
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高層タワーマンションの値付けの仕組みを知り、最近の人気や評価の動向を押さえることで、住戸選びのポイントを確認します。
新築マンションは、売れ残りを出さないように、人気の高そうな住戸は高めの価格で、人気があまりなさそうな住戸は安めの価格で売り出すことで、どの住戸も均等に売れるように値付けの設定がされています。
値付けを行う際には、中層階の中住戸を「標準住戸」として、基準価格を設定し、それを100%として、階数や、位置、向き、占有面積の広さやバルコニー広さなど、それぞれマイナスかプラスか、加点したり減点したりしながらパーセンテージを付け、各住戸の価格を決めていきます。
プラス・マイナスの基準は、過去の分譲での人気に基づき、以下のように設けています。
○階数・・・・・高層階>低層階
○位置・・・・・角住戸>中住戸
○向き・・・・・南>東>西>北
さらに、個別に減価あるいは増価要因があれば、それも加味して価格を設定します。
例えば、専用庭のある1階住戸や、高層住戸のルーフバルコニーはプラス要因です。
眺望が最大の魅力であるタワーマンションには物件ごとに人気の向きがあります。
例えば、東京湾の湾岸エリアの海とレインボーブリッジなどのランドマーク的な景色を一望できる物件は、その方角が最も人気であるため、価格にプラス設定がなされます。
こうした値付けは、過去のマンション分譲の販売実績や、緻密なマーケティングによる人気倍率に裏打ちされた「一般的な価値観」に基づいて設定されており、たくさんの戸数が売り出されるタワーマンションでは、住戸ごとの細かいメリットとデメリットが必ずしも値付け評価と連動しない場合があります。
一般的な人気はなくても、知識や価値観に基づいた自分にとっての価値を見出すことができる物件は、満足感に対して低い価格で「お買い得」にを購入することが可能です。
日本では昔から南向きが人気で、価格も高く設定されますが、日を遮るもののないタワーマンションの南向き住戸は、日当たりがよすぎることが原因で、人気が低下してきています。
夏はとにかく暑く、エアコン代がかさみ、日中は遮光カーテンを閉めたまま、といった状態に懲りた南向き住戸の居住者が、売りに出た北向き住戸への住み替えをするケースもあるのだそうです。強い日差しで窓際の家具が焼けてしまうこともあり、こうなると日当たりのよさも、マイナスになってしまいます。
また、南向き住戸の眺望は、景色が太陽を背にして逆光になり、暗く見えてしまうデメリットもあります。これに対して北向き住戸は順光で景色が穏やかに見え、周囲に光を遮るもののないタワーマンションでは、直接光が差しこまなくても昼間の採光に問題がなく、その上価格も安いため、実際の暮らしやすさに対してお買い得と言われます。
眺望は、階数が高くなるほど景色が開けて開放感があるため、高層階ほど価格が高く設定されますが、居間で椅子やソファに腰掛けて日常生活をしているときの目線からは、街並みや夜景などの景色が隠れてしまい、空しか見えなくなることがあります。
バルコニーに出ているときや、部屋の中で立って眺めれば素晴らしい眺望なのですが、ゆったりとソファに腰掛けてのんびりしているときに、せっかくの眺望を楽しめないのは少々考え物です。高層階のもうひとつの難点は、天気の悪い日に雲に覆われてしまい、地上のようすすら確認できないため、雨や雪が降っているのか、判断に困ることがあるという点です。
マンションの住環境に愛着を持って、非常に気に入っている居住者が多いと、同じマンション内で住み替えをするケースも少なくありません。
実際にタワーマンションに住む高層階の居住者は眺望にとても満足していることが多く、「子どもがまだ小さいから」等の理由で低層階を購入した居住者や、購入価格を抑えるために中層階を選択した居住者も、マンションを気に入ってなじんでいると、「次は高層階に」とか「ゆくゆくは一回り大きい部屋に」と住み替えを考えることがあります。
そのため比較的広い面積の取れる最上階や、眺望のよい高層階、角住戸などは、売却に出したときに「売りやすい」と言えます。しかし、それらの住戸は、新築分譲時の価格も高いため、高く売れるかと言うとそうでもないようです。
売りやすさでは高層住戸に負けてしまいますが、実際の売却益が出やすいのは低層住戸です。眺望が売りのタワーマンションの低層住戸は、新築分譲時の目玉物件としてかなり低い価格で購入できることが多いため、そのエリアでマンション自体の人気が定着していれば、売れたときに最も売却益が出る可能性が高いと言われています。
富裕層の間で、相続税対策として、高層住戸を購入することが人気です。タワーマンションの低層階と高層階ではかなり大きな価格差がありますが、マンションの相続税評価額は、土地の持分と建物の面積で決まるため、同じ物件で同じ広さであれば、低層階でも高層階でも同じ評価になるのです。
そのため、高層階ほど節税効果が高く、2015年はこうしたタワーマンション節税が大流行しましたが、それを受けて、国税庁がこの節税対策に待ったをかける課税強化の検討を表明しました。今後は階数に応じた評価がされる可能性があり、価格設定にも影響が出てくると考えられます。
総戸数の多いタワーマンションには、注意深くチェックして実際に住んでみないとわからないようなポイントがたくさん隠れています。その住戸の価格がなぜ高いのか、あるいは安いのか、その理由が読めるようになれば、自分にとってのお買い得な住戸を見つけることも可能です。以上のポイントを踏まえて、探してみてください。
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