マンション買い替え時の税金と利用できる特例をわかりやすく解説!

結婚や出産、転勤、退職などライフスタイルの変化でマンションの買い替えを検討している方もいるでしょう。 マンションの買い替えでは、現在お住まいのマンションを売却する際と新たな住居を購入する際に税金が発生します。 しかし具体的にどんな税金がかかるのか、いくらくらいかかるのかを知っている方は少ないかもしれません。 この記事では買い替えに伴って発生する税金の種類や税額の計算方法、節税できる特例や具体例を用いたシミュレーションを紹介します。

更新日:2022年12月05日

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東京・神奈川・千葉・埼玉の中古マンション価格査定サイトIESHIL(イエシル)が運営。 イエシルには宅建士、FPなど有資格者のイエシルアドバイザーが所属。ネットで調べてわからないことも質問できるイエシル査定サービスを展開しています。

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マンション買い替え時には税金がかかる

マンションの買い替えでは新しいマンションの購入費用はもちろん、引っ越し費用や不動産会社への仲介手数料など様々な費用が必要です。
さらにそのような諸費用とは別に、売却時と購入時にそれぞれ税金もかかってきます。
ここではマンション買い替えに伴う税金について売却時と購入時に分けて紹介します。


売却時にかかる3つの税金

売却時にかかる税金は「譲渡所得税」「抵当権抹消登記にかかる登録免許税」「印紙税」の3つです。
それぞれの税金の内容と税率を紹介します。


譲渡所得税

譲渡所得税とはマンションを売却した際に発生した利益にかかる税金です。
マンションの所有期間によって税率が変わります。

所有期間 所得税 住民税 復興特別所得税 合計
5年以下(短期譲渡所得) 30% 9% 0.63% 39.63%
5年超(長期譲渡所得)
15% 5%
0.315% 20.315%
【譲渡所得の計算方法】

譲渡所得とはマンションの売却価格ではなく、売却した際に出た利益のことです。
譲渡所得は以下の計算式で求めることができます。


譲渡所得=譲渡収入-取得費-譲渡費用


取得費とは売却するマンションを購入した際の金額、譲渡費用はマンションの売却にかかった諸費用です。取得費が不明の場合は売却価格×5%で算出した額で計算します。

抵当権抹消登記にかかる登録免許税

売却時に支払う登録免許税は、マンションの抵当権を抹消する際にかかってくる税金です。
住宅ローンを返済中で抵当権が残っている物件は勝手に売却できないので、売却する場合はローンを完済し抵当権を抹消する必要があります。

抵当権抹消登記にかかる登録免許税は不動産1個につき1000円です。
マンションの場合は、部屋1,000円+敷地権1,000円=2,000円のケースが多いでしょう。


印紙税

印紙税とは、売買契約書に貼り付ける印紙にかかる税金です。
税額は売却価格に応じて変動し、令和6年3月31日までは軽減税率が適用されます。
軽減後の税額を以下の表にまとめました。

売却価格 税額
50万円超~100万円以下 500円
100万円超~500万円以下
1,000円
500万円超~1,000万円以下
5,000円
1,000万円超~5,000万円以下
1万円
5,000万円超~1憶円以下 3万円


購入時にかかる3つの税金

購入時にかかる税金は「不動産取得税」「所有権移転にかかる登録免許税」「印紙税」の3つです。
それぞれの税金の内容と税率を紹介します。


不動産取得税

不動産取得税とは、マンションや土地などの不動産を取得した際にかかる税金です。
以下の計算式で求めることができます。

不動産取得税=固定資産税評価額×3%

税率は原則4%ですが、令和6年3月31日まで特例で3%とされています。

所有権移転にかかる登録免許税

購入時に支払う登録免許税は、マンションの所有権を売主から買主に移す際にかかる税金です。
土地は固定資産税評価額×1.5%、建物は固定資産税評価額×0.3%で求めることができます。
上記の税率は令和6年3月31日まで適用される軽減税率のものです。
購入に際して新たに住宅ローンを組む場合は、抵当権を設定するための登録免許税もかかります。


印紙税

売却時と同じく、購入時にも売買契約書に貼り付けるための印紙税がかかります。



マンション買い替え時の節税方法とシミュレーション

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マンションの買い替え時にかかる税金は、国が用意している特例を利用することで節約することが可能です。
ここではパターン別の節税方法と具体的なシミュレーションを紹介します。
自分に合った特例を活用し、賢く節約していきましょう。


売却益が出た場合

上述した通り、マンションの売却で売却益が出た場合は譲渡所得税が課せられます。
しかし「3000万円の特別控除」「10年超の軽減税率」「買い換え特例」を利用することで負担を軽くすることが可能です。
ここでは3つの節税方法について紹介します。


譲渡所得から3000万円の特別控除

マンションを売った際に、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から3000万円まで控除できる特例があります。この特例を利用するには「自分が住んでいた住居であること」「住まなくなってから3年後の12月31日までに売却すること」「売却した年から前々年までにこの特例や譲渡損失の特例を受けていないこと」などの要件を満たす必要があります。
特別難しい条件はないので、譲渡益が出た方は利用できるかどうかを確認してみましょう。


【1500万円の売却益が出たAさん】

1500万円の売却益が出たAさんを例に詳しく見ていきましょう。

マンションの購入費:2000万円
売却費用:500万円
売却価格:4000万円
※売却費用は仲介手数料や印紙税など売却にかかる費用を指します。

売却益=4000万円‐2000万円-300万円=1500万円

1500万円の売却益が出ましたが、ここで3000万円の特別控除を利用し「課税対象となる売却益」を求めます。

課税対象となる売却益=1500万円‐3000万円=-1500万円

控除した結果、課税対象となる売却益はマイナスになったので譲渡所得税は発生しません。


所有期間が10年超なら軽減税率

所有期間が10年超のマンションを売却した場合は軽減税率が適用されます。
この制度は3000万円の特別控除との併用が可能です。
3000万円を控除した後の「課税対象となる売却益」に対して、以下の軽減税率が適用されます。

課税対象となる売却益 所得税(復興特別税を含む) 住民税 合計
6000万円までの部分 10.21% 4% 14.21%
6000万円超の部分
15.315% 5% 20.315%
適用するには所有期間が10年以上であることを除き、3000万円の特別控除の要件とほとんど変わりません。


【譲渡所得の特別控除の計算後300万円の売却益が出たBさん】

譲渡所得の特別控除の計算後300万円の売却益が出たBさんを例に詳しく見ていきましょう。

マンションの購入費:2000万円
売却費用:500万円
売却価格:5800万円

売却益=5800万円‐2000万円‐500万円=3300万円

ここで3000万円の特別控除を利用します。

課税対象となる売却益=3300万円-3000万円=300万円

控除した結果、課税対象となる売却益は300万円になりました。
Bさんのマンション所有期間は10年を超えていたので、軽減税率が適用されます。

譲渡所得税=300万円×14.21%=42万6,300円

よってBさんの譲渡所得税は42万6,300円になります。

課税を将来に繰り延べられる買い換え特例

住んでいたマンションを売却して新たな住宅を購入する場合、一定の要件を満たすことで「特定の居住用財産の買い換えの特例」を利用できます。
買い換え特例を利用すると、売却益に課税される税金を次の売却時に繰り延べることが可能です。

あくまで「繰り延べ」なので、次に売却する際には今回繰り延べた分もまとめて課税されます。
適用するには「自分が住んでいた住居であること」「売却した年から前々年までに3000万円控除や譲渡損失の特例を受けていないこと」「売却代金が1億円以下であること」などの要件を満たす必要があります。

【7500万円の売却益が出たCさん】

7500万円の売却益が出たCさんを例に詳しくみていきましょう。

マンションの購入費:不明のため売却金額×5%で計算、8000万円×5%=400万円

売却費用:100万円
売却価格:8000万円

売却益=8000万円‐400万円‐100万円=7500万円

ここで3000万円控除を利用します。

課税対象となる売却益=7500万円-3000万円=4500万円

通常であれば課税対象となる売却益が4500万円なので、4500万円×14.21%=639万4,500円の譲渡所得税がかかります。
しかし買い換え特例を利用すれば、今回の買い換えではこの税金を払う必要がなくなります。
将来、買い換えた住居を売却する時には今回繰り延べた分を支払わないといけないということに注意しましょう。



売却損が出た場合

買い替えに伴い、購入した金額より売却価格が低かったり諸費用が嵩んだりすることで売却損が出てしまうこともあるでしょう。
そんな時に利用できる節税制度を紹介します。


譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

売却損が出た場合、売却損分を他の所得から控除できる「譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」があります。
この制度を利用すると、給与所得などに課税されるはずだった所得税を抑えることができます。

売却損が出た場合は、給与などの年間所得から売却損分を控除することで払いすぎた税金の還付が受けられます。売却損の金額が所得額を上回り、1年で相殺できない場合は翌年から3年にわたって控除することが可能です。


【200万円の売却損が出たDさん】

200万円の売却損が出たDさんを例に詳しく見ていきましょう。

マンションの購入費:2000万円
売却費用:500万円
売却価格:2300万円

売却益=2300万円‐2000万円‐500万円=‐200万円

売却益がマイナスになり、200万円の売却損が出てしまいました。
Dさんはその年の他の所得から200万円を控除することで、所得税を軽減することができます。


マンション買い替え時の節税の注意点

マンションの買い替え時に特例を利用して節約する際には注意しておきたいポイントもあります。
ここではマンション買い替え時の節税の注意点を紹介します。


住宅ローン控除とは併用できない特例が多い

住宅ローン控除は「3,000万円特別控除」「10年超所有の軽減税率」「買い換え特例」と併用できません。どの特例を利用するのが最もお得になるのかを考え、選択することが大切です。

例えば、売却益が少額の場合は3000万円控除のメリットが小さいので住宅ローン控除を使った方がお得になるかもしれません。
反対に、所得税額が住宅ローン控除額を下回っている場合は住宅ローン控除のメリットが小さいので、他の制度を利用した方が有利になる可能性があります。


売却益が出た場合は確定申告が必要

売却益が出た場合は必ず確定申告をしましょう。
ここで言う売却益とは特例を適用する前の金額のことです。

3000万円の特別控除を適用すれば売却益がマイナスになる場合でも、適用前がプラスであれば確定申告が必要です。
確定申告はマンションを売却した翌年の翌年の2月16日から3月15日までの期間に行います。
税務署だけでなくインターネットでも行うことが可能です。



マンション買い替えにかかる税金を把握して資金計画を立てよう

マンションの買い替えでは、売却時と購入時に必ず税金がかかります。
一定の要件を満たせば利用できるお得な特例もあるので、自分に合った制度を知って賢く節税しましょう。
買い替えの資金計画を立てるにあたっておおよその税額を算出するには、不動産会社の査定を受ける必要があります。

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