契約のためには都合のいいことだけ。嘘をつくのもなんのその。しゃべりを武器に抜群の営業成績を誇る登坂不動産のエース・永瀬が、ある日、アパート建設予定地にあった祠を壊したことから祟りを受け、嘘がつけなくなってしまう。千の言葉のうち真実は三つしかない――。「千三つ」と言われる不動産業界を、正直さで生き抜くことはできるのか。そんな不動産営業を巡る悲喜こもごもを描いた人気漫画『正直不動産』の原案を担当する夏原武先生とイエシル事業責任者の川名正吾が、不動産業界の未来について語った。
更新日:2024年08月07日
イエシルコラム編集部
株式会社リブセンス
IESHIL編集部東京・神奈川・千葉・埼玉の中古マンション価格査定サイトIESHIL(イエシル)。 イエシルには宅建士、FPなど有資格者のイエシルアドバイザーが所属。ネットで調べてわからないことも質問できるイエシル査定サービスを展開しています。イエシルは東証上場企業である株式会社リブセンスが運営しています。
川名:私たちは提携先の不動産業者から広告宣伝費をいただいています。完全中立かというと利害は発生しています。少し違うことといえば、ユーザーにマイナス面を伝えていくことに対して「確かにね。いいかもね」と理解いただいた不動産業者のみ提携へと進みます。中立に近い立場をキープできる所以はこのあたりにあります。
夏原:ビジネスである以上、利害関係は絶対に発生します。でも、そのなかで何割消費者の方を見てくれているかって、すごく大事なところですよ。イエシルさんがやっているのは「業者さんイジメ」ではなくて、消費者の納得感を高めることだから業者にとってもユーザーにとってもウィン-ウィンだと思いますよ。
不動産の売買は額がものすごく大きいので、ユーザーは不安です。そこに間に入ってもらって、「この値段が妥当だと思いますよ」「こういった業者さんは信頼できると思いますよ」とアドバイスをもらえるだけでだいぶ違う。イエシルさんも言う以上はある程度の責任を感じるから、適当なことは言えないじゃないですか。一方、不動産業者だとどうしても自分のノルマ達成が目的になってしまう。買うにしろ、売るにしろ、ユーザーが求めているのはその手前の話だと思うんです。
川名:そう思います。私たちのところに相談に来る方も、そういう方が多いです。でも、まだまだ大半の人は相談したいと思ったときに思い浮かぶのが不動産業者だけなんですよね。イエシルはその手前の段階でありますよということを、私たち自身もっと伝えていかなければいけないと思っています。
夏原:事前に相談するのが当り前になってほしいし、それを期待したいですね。不動産を売りたい人、買いたい人がまずやるべきは、仲介の人と話すことじゃなくて、第三者的な目線を持ったイエシルさんのようなところに相談することです。ハンコ付いたあとにトラブルがあっても、弁護士に駆けこんでもどうにもなりません。不動産トラブルは契約後が多いけれど、結局消費者が泣くしかない。
夏原:不動産を扱っているけれど、営業マンならどんな職種の人でもきっとわかってくれると思っています。みんな、苦しみながらやっている。お客さんを大事にしたいけれど、会社や売上も……という葛藤は常に感じているはずなんです。
川名:正直不動産に描かれている嘘が付けない営業マン・永瀬財地は、夏原先生が見ている不動産業界の未来なのかなとも感じます。今後、不動産業界はどう変わっていけばいいとお考えですか?
夏原:みな葛藤を感じているとはいえ、やっぱり業界はそう簡単に変わりません。どうしたら儲けが大きくなるかばかりに目が向いている。上の世代はそうやって仕事をして、それが成功体験になっているから、変わるのは難しいでしょう。でも、今後世の中が落ち着いたとき、例えば大きな外資が入ってきたりしたら、今の不動産業界は簡単に壊滅します。その危機感を持って、若い、心ある業界人たちが声をあげていかなければなりません。業界団体に任せていても変わらないから、中から、下の方から声をあげていくしかない。
あとは、宅建士のプライドを持ってほしいですね。宅建士は弁護士などと同じ士業です。試験も難しい、ちゃんとした資格なのに、「あぁ、不動産屋が持ってるやつね」と敬意を払われない。公平性がなく、常に業者側の視点で話をするからこう言われるんです。本来、宅建士は不動産取引に欠かせない重要なポジションです。真ん中に立って両側を見るべきで、歪んでしまってはダメなんです。
幸い、意識のある若い人たちは少しずつ増えていると感じます。それから、イエシルさんのような新しい業界サービス周辺からの圧力も突破口になりますよね。内部にいる心ある人たちと周辺でがんばっている人がうまく連携して、それは直接的な連携ではなくて意識の面でもいいから、そうやって本丸を追い詰めて行ってほしいですね。
構成・写真/川口穣
イエシルコラム編集部
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