住宅を購入するとどんな控除制度を利用できるの?実際にシミュレーションしてみた

住宅を購入するときに利用できるお得な公的制度と、受けられるメリットを住宅購入者の年収パターン別に元不動産仲介歴16年のKさんがわかりやすく紹介します。代表的な制度である住宅ローン控除を受けるのに必要な確定申告の手順も説明します。

更新日:2024年08月05日

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イエシルコラム編集部

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東京・神奈川・千葉・埼玉の中古マンション価格査定サイトIESHIL(イエシル)が運営。 イエシルには宅建士、FPなど有資格者のイエシルアドバイザーが所属。ネットで調べてわからないことも質問できるイエシル査定サービスを展開しています。

この記事の要点
  • 住宅ローン控除では最大5,000万円を上限に、ローン残額の0.7%の控除を最大13年間受けられる
  • 住宅ローン控除は借入額、金利に加え、建物タイプによって金額が変わる
  • 住宅ローン控除を受けるため、購入した翌年の1月〜3月半ばの間に還付申告(確定申告)をする
  • 会社員の場合、翌年以降は還付申告をする必要はない
住宅を購入するとどんな控除制度を利用できるの?実際にシミュレーションしてみたの画像
「住宅を購入するときに利用できる制度が多くてわからない」
「住宅ローン控除って計算が難しくて、いくらお得なのかがわからない」
「そもそもだけど、住宅購入をすると控除が受けれられるってどういうこと?」

住宅を購入するとき、さまざまな制度を知ることになると思いますが、みなさんこうした疑問をまずは持たれるのではないでしょうか?ただでさえ住宅購入ははじめての経験なのに、こうしたことまで理解するのは一筋縄ではいきませんよね。

今回は住宅を購入するときに利用できる制度と、さらにこれだけは知っておきたい制度についての条件と年収シミュレーションを、不動産営業歴16年のアドバイザーKさんに教えてもらいました。
また住宅を購入すると確定申告をする必要がでてくると思います。「会社員だから確定申告なんてわからないよ…」という方もご安心ください。そちらについても記載しております。住宅ローン控除のほかにも、受けられる公的な制度は大なり小なり多くあります。暮らしている地域の自治体によって状況は違うので、税務署などでも相談してみるとよいでしょう。住宅を購入するときのこうした制度について、不動産会社の担当者に相談するのもよいですが、忙しそうで連絡しづらかったり「公的な制度のことまでは詳しく知ってるのかな?」と不安に思われるかもしれません。

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そもそも住宅を購入すると控除が受けれられるってどういうこと?

”住宅の購入をした場合に、一定額税金の支払いを免除されるということです”(Kさん)

国税庁「No.1100 所得控除のあらまし」によると控除とは以下のように説明されています。
所得税法では所得控除の制度を設けています。 これは、所得税額を計算するときに各納税者の個人的事情を加味しようとするためです。 それぞれの所得控除の要件に当てはまる場合には、各種所得の金額の合計額から各種所得控除の額の合計額を差し引きます。 所得税額は、その残りの金額を基礎として計算されます。出典:国税庁 所得控除のあらまし
わかりづらいですよね。
わかりやすくいうと、控除とは「納税者の事情によっては税金を免除しますよ」ということです。
具体的には、病院に行ったとき、社会保険料や生命保険料を払ったとき、地震保険料を払ったとき、寄附をしたとき、家族を養っているときなどに税金が免除されます。
会社員や公務員の場合、毎月一定の所得税と住民税が会社によって給与から徴収されており、会社は社員から徴収した税金をまとめて社員に代わって国に納税します。さきほど挙げたような免除項目がある社員は、納税前に税の金額を調整(年末調整)し、免除分だけ払い戻しを受けられます。
種類

控除を受けられる場合

雑損控除

災害や盗難、横領により住宅や家財などに損害を受けた

医療費控除

一定額以上の医療費等の支払がある

セルフメディケーション税制

一定額以上の医療費等の支払がある

社会保険料控除

健康保険料や国民健康保険料(税)、後期高齢者医療保険料、介護保険料、国民年金保険料などの支払がある

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済法の共済契約に係る掛金、確定拠出年金法の企業型年金加入者掛金及び個人型年金加入者掛金、心身障害者扶養共済制度に係る掛金の支払がある

生命保険料控除

新(旧)生命保険料や介護医療保険料、新(旧)個人年金保険料の支払がある

地震保険料控除

地震保険料や旧長期損害保険料の支払がある

寄附金控除

国に対する寄附金やふるさと納税(都道府県・市区町村に対する寄附金)、特定の政治献金などがある

寡婦・寡夫控除

あなたが寡婦又は寡夫である

勤労学生控除

あなたが勤労学生である

障害者控除

あなたや控除対象配偶者、扶養親族が障害者である

配偶者控除

控除対象配偶者がいる

配偶者特別控除

あなたの合計所得金額が1,000万円以下で、配偶者の合計所得金額が38万円を超え、76万円未満である

扶養控除

控除対象扶養親族がいる

基礎控除

38万円の控除

出典:www.nta.go.jp

そして住宅を購入した方にもこの免除があてはまります。
住宅ローン控除にはじまり、ほかにも贈与税非課税措置(家族から住宅のための資金をもらった場合に一定額非課税になる)という制度もあります。令和元年10月1日に消費税率が引上げられたため、このように住宅購入が有利になる制度が用意されています。これらを利用すれば、年間で何十万円もお得になることがあります。

住宅を購入するときに知っておきたい税制度と給付金一覧

”住宅ローン控除をはじめとして、数多くあります。政府としては住宅購入市場という大きな内需を維持拡大させる目的があり、これらを利用すればローンの期間中で最大数百万円もの控除を受けられます”(Kさん)

たとえば具体的には以下のような制度があります。
しかし、これらの控除制度の活用を目的にすると本末転倒です。 あくまであなたの資金計画に沿った住宅を購入し、もし当てはまる制度があれば積極的に活用しましょう。

住宅ローン控除
住宅ローンを借り入れて住宅の新築・取得又は増改築等をした場合、年末のローン残高の0.7%を所得税(一部、翌年の住民税)から最大13年間控除し、無理のない負担で居住ニーズに応じた住宅を確保することを促進するための制度となります。

すまい給付金(※2024年12月編集部追記:本制度は終了しています)
消費税率10%が適用される住宅を取得するとき、最大50万円が現金給付される制度です。住宅ローン控除で十分な恩恵を受けられない収入層をおもにカバーします。令和3年12月31日までに引渡され入居が完了した住宅を対象としていますが、一定の期間内(注文住宅の新築の場合は令和2年10月1日から令和3年9月30日まで、分譲住宅・中古住宅の取得の場合は令和2年12月1日から令和3年11月30日まで)に契約した場合は、令和4年12月31日までに引渡され入居が完了した住宅が対象となります。

贈与税非課税措置
家族から住宅購入のための資金贈与を受けたとき、一定金額までは贈与税が非課税となります。非課税限度額は300万円〜3,000万円です。

不動産取得税の減税
都道府県税事務所へ書類を提出することで、都道府県税である不動産取得税が軽減されます。(例:東京都主税局

固定資産税の減税
毎年、土地や建物を所有している人に課税される市町村税である固定資産税が減額されます。たとえば東京都の場合、新築された住宅が、要件をみたすとき、新たに課税される年度から3年度分の固定資産税が2分の1に減額されます。(例:東京都主税局

登録免許税の減税
不動産の所有権が移ったときなど、法務局で登記をするのに納める登録免許税が軽減されます。一定の要件を満たす住宅や土地の場合、登録免許税の軽減特例を受けられます。



住宅ローン控除ってなに?控除の期間が13年間に延長される?

”最大5,000万円を上限にローン残額の0.7%の控除を、最大13年間受けられます”(Kさん)

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅を購入するとき、購入者の金利負担を軽くすることを目的とした制度です。
住宅ローンを利用した場合、毎年末のローン残高(最大5,000万円を上限)の0.7%が、10〜13年間に渡って所得税の額から控除されます。所得税から控除しきれない場合は住民税からも控除されます。
住宅ローン控除は、以下のような要件を満たすと利用できます。


  • 自ら居住すること
  • 床面積が50㎡以上であること
  • 合計書録金額が2,000 万円以下
  • 住宅ローンの借入期間が10年以上
  • 引渡し又は工事完了から6ヶ月以内に入居
  • 昭和57年以降に建築又は原稿の耐震基準に適合 等

出典:国土交通省 住宅ローン減税

令和4年度の税制改正により住宅ローン控除の適用期限が4年間(令和4年~令和7年)延長されました。

控除を受けるのであれば、令和7年(2025年)のうちに入居する必要があります。

このチャンスをいかしてお得に住宅を購入したいですね。

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