築年数のほかには?中古マンション購入時の注意点をまとめました。

中古マンションを購入するときに後悔しないコツやチェックポイント、オススメの築年数などを不動産業界15年のプロが紹介します。

更新日:2020年01月10日

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イエシルコラム編集部

株式会社リブセンス

IESHIL編集部

東京・神奈川・千葉・埼玉の中古マンション価格査定サイトIESHIL(イエシル)が運営。 イエシルには宅建士、FPなど有資格者のイエシルアドバイザーが所属。ネットで調べてわからないことも質問できるイエシル査定サービスを展開しています。

この記事の要点
  • 価格がほぼ底値に落ち着いた築21〜25年の中古マンションがオススメ
  • 目に見える部分のほかに耐震基準と修繕積立金のプランをチェックする
  • 中古マンションでも築25年以内、床面積が50㎡以上であれば住宅ローン減税制度を利用できる
  • リノベーションによって新築マンションのようなキレイな見た目に変えることができる
「なるべく安くマンションを購入したいけど、中古マンションは老朽化が不安」
「築年数が長くてもいいマンションはあると思うけど、どうやってチェックすればいいの?」
「築年数以外にも見るべき点はあるの?」
中古マンションの魅力はなんといっても新築マンションに比べて安いことでしょう。
また市場への供給量も多く、自分により合った選択をできるのもいいですね。ただ選択肢が多い分だけ築年数や規模などさまざまな条件のマンションがあり、中古といっても2〜3年経っただけで新築のようにきれいなものもあれば、築40年を超えるような「これ大丈夫か…」というものまであります。

今回は中古マンションを購入するときに注意すべきことについて、不動産営業歴15年の小池に聞いてみました。
築年数に限らない中古マンションのチェックポイントや価格の見方など、ズバリ教えていただきましょう。
マンションの築年数による違いについての知識がどれだけあるかは、不動産会社によって差が出るポイントです。関連会社にディベロッパーがあるかどうかなど様々な理由によって変わってきます。そのため、自分の欲しい物件を紹介してくれる不動産会社を見つけるには手間と運が必要です。

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築年数がどれくらいのマンションがお買い得なの?

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築年数を気にせず、資産価値が下がりにくいことを重視するならば、築21〜25年のマンションがオススメです。25年経てばおおよそ底値に落ちつくことが多いからです。また新築マンションは人が住むと2~3割価格が下がると言われているので、築浅がいい方には築浅中古マンションもオススメです。

中古マンションを購入するなら、なるべく価格がそれ以上落ちないものがいいですよね。
東日本不動産流通機構の「築年数から見た首都圏の不動産流通市場」のデータを見てみましょう。
このグラフは、中古マンションの築年数ごとの平均価格を表しています。
築21〜25年を境にして、以降は価格が横ばいになっていることがわかります。あくまで目安としてですが、このことから築21〜25年より築古のマンションなら、その先大きく価格が崩れる心配は少ないと考えられます。
実際のマンションの例を見てみましょう。近隣エリア、同じ間取り、そして異なる築年数の中古マンションと新築マンションの価格をそれぞれ比べてみます。

  • 新築マンションA
 住所:東京都世田谷区成城
 間取り:1LDK価格:5,490万円

  • 中古マンションA
 住所:東京都世田谷区三軒茶屋
 間取り:1LDK
 築年数:12年
 価格:4,280万円

  • 中古マンションB
 住所:東京都世田谷区若林
 間取り:1LDK
 築年数:22年
 価格:3,290万円

  • 中古マンションC
 住所:東京都世田谷区玉川
 間取り:1LDK
 築年数:38年
 価格:2,999万円
 
マンションが建設され人が住んでから始めの10年〜20年で大幅に価格が落ちていくの対し、20年〜30年以降にかけては価格がそこまで急激には落ちないことが、この事例からわかっていただけると思います。
また、新築マンションAに比べて中古マンションBやCは40%以上も価格が安くなっています。中古マンションが購入価格のうえではお得だとおわかりいただけるでしょう。
もちろんこういった傾向は、立地などほかの要因の影響も受けます。駅に近く、生活のしやすい場所にある都市部のマンションは人気が高く、より価値が落ちにくいです。

最近では、住む人を意図的に集中させて地域の過疎化を防ぐ「コンパクトシティ」の計画をすすめている自治体もあります。価格の落ちにくいマンションを購入するにはこういった施策に目を向けてみるのもよいでしょう。
しかし一方で、価格だけ見ていては十分ではありません。繰り返しますが築21〜25年で底値になるということは、あくまでひとつの目安として見る程度にしましょう。
また築年数が40年以上になると、価格はかなり安いでしょうが今度は耐久性の不安があります。
築年数と価格やそのほかのポイントもバランスよく検討しましょう。
ほかにチェックすべきポイントも引き続き説明していきます。


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築年数が経っているマンションを購入するときにチェックするポイントは?

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中古マンションを購入するときは、共有部分の管理と耐震基準を確認しましょう。

共有部分の管理はきちんとなされているか、設備は経年劣化していないか

マンションの共有部分は管理組合の管轄であり、管理組合は定期的な大規模修繕のほかに、都度の不具合にも対応します。
内見などのときに、現地でチェックしておくべき共有部分はたとえば以下のような点です。

  • 窓ガラス
  • ゴミ捨て場
  • 駐輪場や駐車場
  • バルコニーや階段の踊り場
  • 壁や廊下のヒビ割れや塗装

こうした小規模の修繕にも、その費用は修繕積立金から支払われますので、修繕積立金が充分にたくわえられているのかどうかがとても大事です。

耐震基準が旧式のものではないか

マンションなどの住宅の寿命を判断する指標のひとつが「耐震基準」です。
これは建築物が最低限の耐震能力を持っていることを保証するもので、建築基準法に基づく現行の耐震基準は1981年6月に導入されました。これに準拠した建物は、震度6~7でも壊れない程度の耐久度があるとされています。
国土交通省:住宅・建築物の耐震化に関する現状と課題

現行の耐震基準が設定されたのが1981年とはいえ、単純にこの年に完成したマンションがすべて基準を満たしているとは限りません。マンションの建設には数年を要するからです。
近年は、東日本大震災、熊本地震、北海道地震と大きな地震が相次いでおり不安が高まっています。築年数が経っているマンションを購入するときには必ず、不動産会社の担当の方を通して耐震基準を確認するようにしましょう。

過去に大規模修繕が行われているか、修繕積立金は計画的に蓄えられているか

修繕積立金を使ったマンションの大規模な工事は、およそ12年目ごとに実施されます。そしてそれにはとても巨大な資金が必要です。築年数が経ったマンションを購入されるのであれば、過去およそ12年ごとに工事が実施されてきたか、築浅のマンションであれば、何年か先に工事を行うための資金が計画的に蓄えられているかを確認しましょう。
きちんと計画的に修繕され、管理が行き届いているマンションは高い入居率や高い家賃水準を維持できます。
そういったマンションは、次回の修繕のための資金も確保できるという好循環になっていることが多いのです。過去の工事の履歴やいまの修繕積立金の蓄え、今後の計画は管理組合が記録しています。不動産会社を経由して確認しましょう。(多くの場合、不動産会社を通さないと閲覧できません。)


住宅ローン減税など公的制度はどんな中古マンションなら受けられるの?

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中古マンションであれば築年数は少なくとも25年以内、床面積は50㎡以上、そして自分で住むことが要件です。

住宅ローン減税制度

住宅ローン減税制度とは、住宅ローンを利用してマンションなどの住宅を購入するとき、購入者の金利負担を軽くすることを目的とした制度です。住宅ローンを利用した場合、毎年末のローン残高の1%が10年間に渡って所得税の額から控除されます。所得税から控除しきれない場合は住民税からも控除されます。
たとえば年収500万円の人が、3,500万円のマンションを頭金なし、35年ローン、固定金利1%で購入した場合、10年間の控除額の合計は270万円以上にもなり、支払った税金から毎年27万円ほど還付を受けられます。
年収500万円の場合、年間の所得税と住民税は合わせておよそ40万円ほどです。住宅ローン減税制度のインパクトはとても大きいです。マンションをお得に購入するために、できれば住宅ローン減税制度を利用したいですね。
もちろん中古マンションを購入するときにも住宅ローン減税制度を利用することはできます。
すまい給付金サイトによれば、住宅ローン減税制度の利用要件は以下のようになっています。

  • 自ら居住すること
  • 床面積が50㎡以上であること
  • 中古住宅の場合、耐震性能を有していること
出典:国土交通省すまい給付金事務局

ここで「中古住宅の場合、耐震性能を有していること」という項目に少し注意が必要です。
同サイトによると、中古住宅の耐震性能については以下のように説明されています。

耐火建築物以外の場合(木造など):20年以内に建築された住宅であること
耐火建築物※の場合:25年以内に建築された住宅であること
※鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造など
出典:国土交通省すまい給付金事務局

住宅ローン減税制度を中古マンションで利用するには、少なくとも25年以内に建築されたマンションである必要があります。先ほど、築21〜25年のマンションは価格が底値に落ちつき始めているため、購入のタイミングとしてオススメだという説明をしました。
しかし、あまり築年の経っているマンションを購入すると住宅ローン減税制度を利用できなくなってしまうので注意しましょう。ほかにも細かな要件があるので、詳しくはこちらをご覧ください。

すまい給付金

また住宅ローン減税制度のほかに、すまい給付金という制度もあります。
すまい給付金も同じく、住宅購入者の負担を軽くするための制度ですが、住宅ローン減税制度は収入の低い購入者の場合は比較的メリットが小さいという側面があります。
すまい給付金は、住宅ローン減税制度の恩恵を十分に受けられない収入層の負担をも軽減するために作られています。すまい給付金サイトによれば、すまい給付金の対象者の要件は以下のようになっています。

  • 住宅の所有者:不動産登記上の持分保有者
  • 住宅の居住者:住民票において、取得した住宅への居住が確認できる者
  • 収入が一定以下の者[8%時]収入額の目安が510万円以下[10%時]収入額の目安が775万円以下(住宅ローンを利用しない場合のみ)年齢が50才以上の者
出典:国土交通省すまい給付金事務局

400万円の会社員で扶養家族が2人いる場合、給付額は50万円にもなります。(住宅取得時の適用消費税率10%)
一方で、こういった公的制度は収入や消費税などの条件によって利用可否が複雑で判断が難しいものです。
身近で不動産に詳しい方に相談することをオススメします。周りに詳しい方がいない場合は、「イエシルの個別相談会」(完全無料、所要時間45分程度)で弊社の不動産専門家に相談することも可能です。


専有部分はリノベーションできるの?

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専有部分はリノベーションで理想の間取りや内装を実現できます。リノベーションによって新築マンションと遜色のない見た目に変えることができます。

築年数の経ったマンションを購入するとき、内装や設備、間取りの使い勝手の悪さなどが心配な点ですよね。
しかし、リノベーションによって自分の好みに合わせて改装することを前提に中古マンションを購入すれば、新築マンションよりも低コストで理想の間取りやデザインのマンションを実現できるかもしれません。
また最近では個人のリノベーションは増えています。好みの空間を作れるため、中古マンションのほうがよいという人も意見も少なくありません。費用についてリノベーションのコストは広さだけでなく、設備やデザイン料など、凝り具合によっても異なるため予算を立てるのが難しいです。
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の「平成27年度第13回住宅リフォーム実例調査報告書」によれば、中古マンションをリノベーションするときの平均費用のはおよそ500万円のようです。

リフォームの金額は、100万円以下から1,000万円超まで幅広く分布している。平均金額は全体では、626.2万円(中央値369万円)、戸建てが648.8万円(中央値369万円)、マンションが504.3 万円(中央値336万円)
平均値が500万円というのは高く感じるかもしれませんが、これは1,000万円以上の高額なリノベーションも含まれているからです。実際は、300万円以下のリノベーションも近年は増えてきているようです。
一方で、リノベーション費用の坪単価はおよそ40万円ほどだとも言われています。
つまり、マンション全体をフルリノベーションする場合、コストの目安は以下です。

  • 12坪(約40㎡):およそ490万円
  • 15坪(約50㎡):およそ615万円
  • 20坪(約65㎡):およそ800万円

もちろん、フルでリノベーションせずともトイレだけ、キッチンだけなど気になる部分のみのリノベーションもできます。
そういった場合は、予算は100万円未満でも事足ります。

  • トイレや洗面台:10~40万円
  • キッチンまわり:50~180万円
  • バスルーム:50~200万円
  • 全壁紙の張り替え(1LDK、40~50㎡):20~40万円

リノベーションの費用をなかなか用意できない場合は、購入のタイミングで住宅ローンに組み込める金融機関もあるため、一度尋ねてみましょう。

リノベーションを行うときに注意する点は?

以下のポイントに注意しましょう。
  • 騒音などの理由からリノベーション工事には他の住民の承諾が必要
  • バルコニーや玄関ドアなどの共用部分には手を加えられないことが多い
  • 耐久性の観点からマンション本体の基礎部分(天井や柱など)には手を加えることはできない

まとめ

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中古マンションは市場への供給量が多く、正しくリサーチをすれば自分に合ったものが必ず見つかるはずです。
しかし、その分自分にとってベストなマンションを絞りこむのが難しいです。老朽化や耐震基準、リノベーションや公的な制度まで加味すると知っておくべきことは多く、自分だけの判断では失敗してしまうかもしれません。
中古マンションの知識を身につけて、不動産会社や営業担当者を判断できるようになることをオススメします。

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