2025年12月の首都圏中古マンション市場は、成約件数がすべての地域で増加を続ける一方で、成約価格と在庫価格の乖離は過去最大級に拡大しています。日銀の追加利上げ決定と、2026年度税制改正大綱が相次いで発表された今、市場では一体何が起きているのでしょうか?今、知っておくべき、不動産の最新情報を解説します。
更新日:2026年02月10日
イエシルコラム編集部
株式会社リブセンス
IESHIL編集部東京・神奈川・千葉・埼玉の中古マンション価格査定サイトIESHIL(イエシル)。 イエシルには宅建士、FPなど有資格者のイエシルアドバイザーが所属。ネットで調べてわからないことも質問できるイエシル査定サービスを展開しています。イエシルは東証上場企業である株式会社リブセンスが運営しています。
2025年12月の首都圏中古マンション成約件数は3,975件となり、前年同月比で25.9%の増加を記録しました。
秋口の爆発的な伸び(9月46.9%増、11月38.3%増など)と比較すると、伸び率の数字自体は少し落ち着いたようにも見えます。
しかし、例年12月は年末年始の休暇の影響で取引が鈍化する月です。その中で、前年(3,158件)から大幅に上積みし、14ヶ月連続の前年比増を維持している点は、市況の勢いが依然として極めて強いことを示しています。
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「REINS TOWER」
特筆すべきは、この増加が一時的なものではなく、首都圏のすべての地域において、1年以上にわたる長期的なトレンドとして定着している点です。
東京都区部が24.5%増、埼玉県にいたっては45.3%増、横浜・川崎市も26.3%増と、首都圏のどこを見ても取引が活発に行われています。この勢いの背景にあるのは、以下の2点です。
新築からの流入: 23区の新築価格が平均1億円の大台を超え続けた結果、妥協ではなく「現実的な賢い選択」として中古マンションを選ぶ層が、エリアを問わず広がっています。
駆け込み心理: 2025年12月の日銀による政策金利引き上げ(0.75%へ)決定を受け、「さらに金利が上がる前に」という心理的なバイアスが、年末の駆け込み需要を後押ししたと考えられます。
成約件数が伸びる一方で、市場には危うい側面も見え隠れしています。
それが、売り手側の提示する「在庫価格」と、実際に取引される「成約価格」の極端な乖離です。
2025年12月のデータでは、首都圏全体の成約㎡単価が85.08万円であるのに対し、在庫㎡単価は102.45万円に達しています 。約17万円もの溝が生まれており、これは過去最大級の拡大と言えます。
この乖離がなぜ起きているのか、その背景を紐解くと、売り手と買い手の心理的なギャップが見えてきます。
さらに注意すべきなのが、不動産会社に査定を依頼した際、媒介を取るために実態よりも高い金額を提示する、いわゆる「高値取り」が一部で横行している点です。
市況に合わない高値で売り出してしまうと、売却が長期化し、結果的に価格を下げざるを得なくなるケースも少なくありません。
その結果、市場では「高すぎて売れ残る物件」と「適正価格で成約する物件」の二極化が進んでいます。
買い手にとっては交渉の余地が生まれやすい一方で、売り手にとっては慎重な価格判断がより重要な局面と言えるでしょう。
首都圏全体としては好調なデータが並びますが、エリアごとに解像度を高めると、市場の質的な変化が見えてきます。特に東京都区部(23区)と、それを取り巻く各県の動きには、明確な温度差が生じています。
東京都区部:バブル期水準を超えた「プレミアム化」
東京都区部の成約件数は1,695件で、前年比24.5%増と12ヶ月連続の増加となりました。驚くべきはその成約㎡単価です。135.61万円/㎡に達し、前年同月比で15.1%という二桁成長を遂げています。23区においても68ヶ月連続の上昇となっており、もはや一般的な給与所得者が独力で購入できる水準を大きく逸脱しつつあります。
神奈川県・千葉県:安定感の中にある「選別の波」
神奈川県(横浜・川崎市)の成約単価は67.60万円/㎡で前年比3.9%増、千葉県は40.40万円/㎡で同2.0%増と、比較的安定した推移を見せています。しかし、神奈川県他(横浜・川崎以外)では単価が1.3%下落しており、郊外の中でも「駅の魅力度」や「生活利便性」による選別が進んでいることが浮き彫りになっています。
埼玉県:取引件数45%増の裏側にある「価格の下落」
一方で、埼玉県のデータは興味深い数値となっています。成約件数は484件で、前年同月比で45.3%という首都圏最大の伸び率を記録しました。これだけを見れば埼玉市場は絶好調に見えますが、成約㎡単価を見ると43.43万円/㎡で、前年同月比マイナス4.2%と下落しています。
件数が激増している一方で単価が下がっている背景には、購入者の予算が限界に達し、「高額な都心物件を諦め、価格の落ち着いた郊外の広めの物件を選ぶ」という行動変容が影響していると考えられます。加えて、郊外では築古マンションの流通比率が高まり、平均単価を押し下げている側面もあります。これは、無理をして都心を買うのではなく、現実的な負担感の中で住宅を確保しようとする堅実な検討者が増えているという、ポジティブな動きとも言えるでしょう。
2025年12月から2026年1月にかけて、不動産市場を揺るがす重要な動きがありました。
日銀の利上げと住宅ローンへの波及
2025年12月19日、日本銀行は金融政策決定会合において、政策金利を0.5%から0.75%へと引き上げる決定を下しました 。これは市場の予測よりも早いペースでの利上げと受け止められ、債券市場では10年国債利回りが一時2.1%台に達するなど、約27年ぶりの高水準を記録しました。
これを受け、2026年1月の住宅ローン金利は、固定金利を中心に大幅な引き上げが行われました。
変動金利については、多くの銀行が1月時点では据え置いていますが、基準となる短期プライムレートの引き上げが2026年春頃に各行で予定されており、変動金利ユーザーにとっても「金利上昇」が具体的な返済額の増加として迫っています。
「金利上昇」や「価格高騰」という言葉に不安を感じるかもしれませんが、市場は決して「暴落」しているわけではありません。むしろ取引は活発です。しかし、売り手と買い手の価格目線には大きな隔たりが生まれており、金利上昇という新たな変数が加わったことで、2026年の市場はより複雑化することが予想されます。
このような市場において、後悔しないための唯一の方法は「自分自身の現在地を正確に知ること」です。 「自分の今の家はいくらで売れるのか?」「今の年収で、金利上昇後も無理なく返済できる額はいくらか?」 まずは、客観的なデータに基づく査定を受け、専門家のアドバイスを仰ぐことから始めてみてください。
イエシルアドバイザーは、不動産仲介経験10年以上、宅地宅地建物取引士などの有資格者のみで構成されたプロフェッショナル集団です。特定の不動産会社に偏ることなく、中立な立場でお客様一人ひとりの状況に合わせたアドバイスを行います。
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