マンションを売却するときには税金が発生します。税金が高くなるのはどのような条件か、実際にマンションの売却時にかかる税金の種類と意味、金額について解説します。 「投資用のマンションの税金」「控除・特例の扱い方」、具体的にかかる金額を把握するための方法を解説します。
更新日:2023年10月25日
イエシルコラム編集部
株式会社リブセンス
IESHIL編集部東京・神奈川・千葉・埼玉の中古マンション価格査定サイトIESHIL(イエシル)が運営。 イエシルには宅建士、FPなど有資格者のイエシルアドバイザーが所属。ネットで調べてわからないことも質問できるイエシル査定サービスを展開しています。
マンションの売却を行う場合は、「譲渡所得税」「印紙税」「登録免許税」という税金が課せられます。また、投資目的の場合は、これに加えて消費税もかかる上、実際に住んでいるマンションと違い、控除・特例が受けられないという注意点もあります。
本記事では、マンション売却時にかかる税金の種類とその計算式、概算の税金額を知る方法、投資用マンションの売却時の注意点を解説します。
「なぜ、財産(=マンション)を手放すときにまで税金がかかるの?」と思う人もいるかもしれません。これは、日本の税制の考え方に原因があります。
日本では所得が多い人がその額に応じて税金を収めるべき、という考え方の下、税金の制度がつくられています。そのため、マンションの売却で「所得」を得た人は、その売却額に応じて税金を支払わなければならないのです。
それでは、マンションを売却するときにかかる税金はどのようなものがあるのでしょうか。その計算式と併せて解説します。
マンションを売るときには「譲渡所得税」がかかります。これが、マンション売却時にかかるもっとも代表的な税金です。
「譲渡所得税」は、所得税・住民税・復興特別所得税の合算です。
「譲渡所得」とは、「マンション売却時に得られた金額」から、「そのマンションを購入するときにかかった費用」と「売却時にかかった費用」を差し引いた金額を指します。
例えば、マンションの売却金額が5,000万円で、マンションの取得にかかった費用が4,000万円、譲渡にかかった費用が150万円だった場合、譲渡所得額は、850万円。計算は下記の通りです。
5,000万円(売却金額)ー 4,000万円(取得費用)ー 150万円(譲渡費用)=850万円(譲渡所得)
なお、各税率はマンション保有期間により異なります。
所有期間が5年以下(短期譲渡所得) |
所有期間が5年超(長期譲渡所得) |
|
所得税 |
30% |
15% |
住民税 |
9% |
5% |
復興特別所得税※ |
0.63% |
0.315% |
合計(譲渡所得税) |
39.63% |
20.315% |
※2037年まで。税率:所得税の2.1%
マンションの所有期間が5年以内だった場合、所得税率は39.63%であるのに対し、所有期間が5年を超えていた場合は20.315%と、所有期間によって税率の差が大きいので、マンション売却時は所有期間についても確認しておきましょう。
印紙税とは、不動産売買の契約書などに代表される「課税文書」を作るときに必要となるものです。
この印紙税は、契約書に書かれている金額(=マンションの売却価格)によって異なります。
令和5年(2023年)現在、租税特別措置法により、令和6年3月31日までの不動産売買契約書について、印紙税の軽減措置により税率が引き下げられています。
当然、売却価格が大きければ大きいほど印紙税も高くなっていきます。1億円超の物件の場合、10万円以上となります。契約時点の税率を事前に確認しておきましょう。
契約金額 | 本則税率 |
軽減税率 |
10万円を超え 50万円以下のもの |
400円 |
200円 |
50万円を超え 100万円以下のもの |
1千円 |
500円 |
100万円を超え 500万円以下のもの |
2千円 |
1千円 |
500万円を超え1千万円以下のもの |
1万円 |
5千円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの |
2万円 |
1万円 |
5千万円を超え 1億円以下のもの |
6万円 |
3万円 |
1億円を超え 5億円以下のもの |
10万円 |
6万円 |
5億円を超え 10億円以下のもの |
20万円 |
16万円 |
10億円を超え 50億円以下のもの |
40万円 |
32万円 |
50億円を超えるもの |
60万円 |
48万円 |
出典:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」
マンション売買における登録免許税とは、抵当権を抹消する際や、登記内容、つまりマンション所有者の名義を変更する際に国に対して支払う税金です。
抵当権とは、住宅ローンを借りるときに、購入する住宅の土地と建物に金融機関が設定する権利のことです。住宅ローンが残っている場合、売却時にローン完済が必須となりますが、完済したら抵当権の抹消登記が必要となります。
抵当権抹消の登録免許税は、不動産(土地、建物)1個につき1,000円です。例えばマンション一部屋を売却する際、建物と土地1筆に抵当権が設定されていた場合、2000円となります。
また、通常の売買による名義変更の場合の登録免許税は不動産の価格の1,000分の20(2%)です。条件によって税率が異なったり計算が複雑な面もありますので、税理士に相談することがおすすめです。
マイホーム(居住用財産)のマンション売却の場合、「3,000万円の特別控除の特例」が受けられます。最大3,000万円まで譲渡所得を控除する制度です。
例えば、上記で挙げた「850万円の譲渡所得」が発生した場合は、この3,000万円の特別控除によって、税金の支払いが免除されます。
つまり、マンションの売却額によってはこの特例により譲渡所得税が課せられないケースがあるのです。
しかし、下記の場合はこの控除を受けることができません。
売却時にかかる税金はマンションごとに異なります。
「築○○年のマンションであるのなら、かかる金額は××円です」などのように、端的に伝えることができません。
そこで、マンション売却時にかかる税金の概算額を把握する方法を紹介します。
パソコンやスマートフォンなどで検索するだけで、マンション売却時にかかる税金をシミュレーションすることができるのが「不動産(マンション)売却税金計算シミュレーション」などのツールです。検索するだけで複数の計算ツールが出てくるので、気軽に試してみると良いでしょう。
こういったツールを使用するためには、マンションの売却金額や取得時の金額、また、それらにかかる手数料などを入力する必要があります。必要な金額が入力できないと、シミュレーションツールは使えないので注意しましょう。
より具体的に、より正確に売却時の税金を知りたい方は、税理士に相談しましょう。税理士は、節税の方法をより具体的に提示してくれるというメリットがありますが、相談には費用が発生します。費用は税理士により異なりますが、1時間で10,000円前後と考えておきましょう。
時間を無駄にしないためにも、必要とする情報と質問事項をまとめておくと良いでしょう。
マンションを売却する理由は人それぞれです。「今まで長く住んでいたマンションだったが、辞令によって転勤することになったので手放す」という方もいれば、投資目的でマンションを購入し、それを売却する方もいるでしょう。
両者は「マンションを売却する」という一点においては同じですが、税制での考え方は大きく異なります。
前述の通り、日本では所得が多い人がその額に応じて税金を収めるべきという考え方の下、税金の制度が作られていますので、住むためのマンションと投資用のマンションでは扱いが異なるわけです。
マイホーム(居住用財産)のマンションの場合は消費税がかからず、控除や特例も受けられますが、投資用のマンションの場合は、消費税がかかりますし、控除や特例も受けられません。
投資用のマンションの場合、10%の消費税が建物に課せられます(土地には加算されません)。
ただし、納める義務があるのは課税事業者と呼ばれる、課税売上高が1,000万円を超える事業者です。課税売上高の基準期間は、法人は前々事業年度、個人事業主なら2年前になります。この期間の課税売上高が1000万円以下であれば課税義務は発生しません。
マンションの売却時に発生するのは利益だけではなく、税金というかたちで支出も発生します。またそれに加えて、取引金額に応じて仲介手数料などもかかります。
また、購入時のローンが残っている場合は、そのローンを完済しなければなりませんし、その一括返済時には、手数料が発生します。この手数料は、銀行あるいは返済時の方法によって変わります。
マンションを売却する場合は、利益だけではなく、このような「発生する費用」にも注目しましょう。
このように、売却時には複雑な支出の費用計算が必要です。スムーズに進めるためにも、下記が重要なポイントになります。
・実際に売れるであろう売却価格を知っておく
・事前に不動産売買に関する知識を知っておく
・頼れる不動産会社の営業担当者に出会う
イエシルに査定をご依頼いただくと、実際に売れるであろう売却価格をデータをもとに算出してお伝えします。
お伝えするのは、不動産業界で実際に仲介営業をしていた現場の知識と経験が豊富な専任アドバイザーです。
アドバイザーはイエシル専任で、不動産会社に属していないため中立的な立場で、ご状況に合った売却プランのアドバイスが可能です。
さらにご希望の方には、イエシルが厳選した不動産会社から営業担当者を人単位でご紹介することができます。一見で不動産会社へ行くと、どんな担当者に当たるかは運次第になってしまいますが、アドバイザーがご紹介するのは過去にお客様の評判がよかったマネージャークラスの営業などです。よりよいパートナーを見つけていただき、スムーズな売却活動をお手伝いします。
イエシルに査定をご依頼いただくと、確実な売却価格や不動産会社を味方につけるテクニックがわかります。
IESHILコラムとは、不動産物件情報に関連してコラム等の関連情報も提供する付随サービスです。
ご利用により、IESHIL利用規約が適用されますので、規約のご確認をお願い致します。