資産価値に直結する「マンション・コミュニティ」の要点と動向について

マンションの価値を決める要素である管理状況の鍵を握るマンション・コミュニティについて、確認すべきポイントを押さえ、最近の動向と今後の方向性についてお伝えします。

更新日:2016年03月16日

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イエシルコラム編集部

株式会社リブセンス

IESHIL編集部

東京・神奈川・千葉・埼玉の中古マンション価格査定サイトIESHIL(イエシル)が運営。 イエシルには宅建士、FPなど有資格者のイエシルアドバイザーが所属。ネットで調べてわからないことも質問できるイエシル査定サービスを展開しています。

この記事の要点
  • マンションは管理を買えと言われるけれど・・・
  • 管理組合が健全で活発に機能していることの重要性
  • マンションのコミュニティは近所付き合いのようなもの
  • コミュニティ形成をサポートするデベロッパーや支援サービス
  • 災害時の備えとしても有用なマンション・コミュニティ
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マンション・コミュニティという言葉をご存知でしょうか。その名のとおり、マンションのコミュニティを指す言葉で、「コミュニティ」とは「共同体」を意味しますが、今マンション業界ではこの「コミュニティ」が大きなテーマのひとつになっています。

マンションは管理を買えと言われるけれど・・・

「マンションは管理を買え」という言葉を耳にします。現在マンションの9割近くが、その管理を管理会社に全部委託していますが、「管理を買え」とはどういう意味を指すのでしょうか。

一般住宅としての最初のマンションブームから約半世紀経過し、老朽化マンションの建て替え問題が徐々に深刻化する中、サラリーマン投資家によるマンション投資ブームもあり、マンションの寿命を改めて見直す考え方とその資産価値について注目と関心が高まっています。

長期に渡り資産価値を維持する上で、マンションの管理状態はとても重要です。

清掃が行き届き、適切な修繕をきちんと施している「管理状態のよいマンション」は、その寿命も長くなりやすく、資産価値を長く維持することができます。「管理を買え」とは、「よい管理会社にお金を払え」と言うことではなく、「管理状態のよいマンションを買いなさい」と言うことなのです。

管理組合が健全で活発に機能していることの重要性

「管理状態のよいマンション」においては管理組合が健全に機能しています。区分所有者は全員が自動的に管理組合の一員となります。管理組合は共有の財産であるマンションの資産価値が失われないように、所有者が共同で管理するために存在します。

修繕工事を行うときや管理会社に管理を委託する際には、管理組合の合意が必要です。

管理会社に不満な点があれば、話し合って、変えなければなりません。しかし、意思疎通が取れず、無関心で総会に出席しない所有者や、維持管理に対する姿勢や関心に温度差があれば、話し合いが進行せず採決が遅れ、適切な修繕ができないという事態も起こります。そうしたことが頻繁にあると、資産価値にも悪影響が及ぶのです。

つまり、「管理状態のよいマンションを買う」というのは「よい管理をしてくれる管理会社の管理を選んで買おう」、ということではなく、「管理組合が健全で活発に機能しているマンションを買おう」と言い換えられます。

マンションのコミュニティは近所付き合いのようなもの

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若い家族から年配のご夫婦まで、幅広い世代が集まり暮らしている大きなマンションは、まるで1つの町や地域のようなものです。都市型生活の代名詞であるマンション住まいは、一見近所付き合いの煩わしさがなさそうに見えますが、意外にそんなこともありません。管理組合が活発に機能するためには、居住者同士の交流が活発で、お互いが顔見知りで話しかけやすいというような、良好なコミュニティ形成、いわば近所付き合いが円滑であることが大切です。

また、マンションというひとつの共有財産の維持管理を協力して行わなければならない者同士と考えると、ある意味、郊外の一戸建てに暮らすよりもさらに近所付き合いが重要と言えます。

コミュニティ形成をサポートするデベロッパーや支援サービス

現代社会においては、近所付き合いや人とのつながり、縁といったものが希薄になりつつあります。マンションの歴史もまた、プライバシーの確保ばかりに力をいれ、コミュニティ形成を軽視してきた歩みがあり、専門家の間でも警鐘を鳴らす声が多く、コミュニティの重要性が以前から指摘されてきました。

こうした状況に対し、最近、マンションを分譲した大手デベロッパーの中には、マンション内のコミュニティ形成をサポートする動きが見られ、民間のマンション・コミュニティ形成支援サービスが増えています。

サポート内容としては、下記のような居住者交流のきっかけとなる行事の企画が挙げられます。

  • 従来の「管理合同説明会に」加えて、
    入居者同士の自己紹介や親睦を深める仕掛けを盛り込んだ「入居挨拶会」や「懇親会」
  • 「クリスマス会」や「餅つき」など季節の行事を開催
  • 定期的な「清掃・美化・資源回収」や「草花の手入れ」などの活動
  • 他にも外部の企業と連携して開催するカルチャー講座やサークル活動などのサポート など

災害時の備えとしても有用なマンション・コミュニティ

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2011年の東日本大震災を機に、近所付き合いの大切さが浮き彫りになりました。マンションでも防災力への関心が高まり、防災対策の要となるマンション・コミュニティの重要性が改めて見直されています。

災害時の安否確認や声掛けなどの助け合いが円滑に行われるためには、普段から居住者同士が顔見知りであることが必要です。

マンションごとの震災マニュアルや、管理会社による防災ガイドブックの配布をはじめ、年に1回以上居住者が顔を合わせて交流をするイベントを設け、定期的に防災避難訓練や清掃などの共同作業を行うようにすることも、お互いを認識し知り合うきっかけになり、災害時の備えとして有効です。

コミュニティが良好かどうかは、管理組合の議事録を閲覧したり、行事などの活動の内容や頻度を確認することで推測できます。

マンション管理とは、そもそも本来は人にしてもらうものではなく、所有者自らが行うものであるという意識を失わないことが、コミュニティ形成の重要性を確認するために大切なことです。何より自分自身が管理組合員のひとりであり、コミュニティを形成するひとりであうという自覚と意識を忘れずにいれば、おのずと良好なコミュニティを築いていくことができるでしょう。

住まいを修繕しながら長く使い続けていくという考えにシフトしていくと考えられている今後、良好なマンション・コミュニティが存在していることが、マンションの資産価値に対してもプラスとなるでしょう。

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