【人生最大の売り物―内覧時の対策編】プロが教える「居住中のマンションをできるだけ高く売るコツ」(2)

マンション売却に向けた内覧の際しての事前準備と当日の対応について解説します。

更新日:2016年02月22日

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イエシルコラム編集部

株式会社リブセンス

IESHIL編集部

東京・神奈川・千葉・埼玉の中古マンション価格査定サイトIESHIL(イエシル)が運営。 イエシルには宅建士、FPなど有資格者のイエシルアドバイザーが所属。ネットで調べてわからないことも質問できるイエシル査定サービスを展開しています。

この記事の要点
  • 内覧の事前準備はぬかりなく、プロの手も借りて
  • 内覧の当日は、購入検討者が心地よい空間づくり・空気づくりに徹する
  • 購入者にとっては売主の印象も大事―成約に関わってくる重要な要素
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前回は売却に際しての基本的な心構えとして、売却するマンションは「商品である」と認識すること、また購入する「お客様」の立場を内覧の準備をいただくことをお伝えしました。前回の基礎編を踏まえ、今回はどうしたらより高く早期に売却できるか、売主にできる内覧時の対策について説明します。

マンション売却の内覧時の対策編

高く売るには、販売に向けた準備をして、買主には誠実な対応で適切な情報をお伝えすることが大切です。私どもで売主に内覧時までにお勧めしている対策をお知らせします。実行されたほとんどの方が相場よりも高く売却されています。

室内清掃

  • 水回り設備の清掃(キッチン・バスルーム・トイレ・洗面台は、特に手入れの程度をチェックされます。)
  • 室内の拭き掃除/掃き掃除
  • クロスの汚れ拭き


内覧の際、購入検討者が必ず見る場所は、キッチン、お風呂、トイレ等の「水回り」です。「水回り」はきれいに整理整頓され、あまりゴチャゴチャと物を置いておかない方が、内覧に来られる方には好印象を与えるようです。

また、「水回り」をきちんと清掃していないと、排水口の匂いなどの悪臭の元にもなります。いくら見た目がきれいでも、悪臭のある家をあなたなら買いたいと思いますか? 日頃から水回りだけは清潔にしておきましょう。また、香りのよい芳香剤を置くのもよいでしょう。

過去に高く売却できた売主は、売却の期間だけ玄関から入ってすぐのところにお花を飾り、カードを付けていました。花があると殺風景な部屋が明るく見え、手書きのカードによって他の売主よりも身近に感じてもらえるようです。また、トイレにポプリを置くなどの方法も有効です。

室内はまずは見た目の第一印象が重要なポイントです。


荷物の整理整頓

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家族の荷物が多すぎる場合は、実際の広さがわかりにくく、物が置いてあって室内をしっかり見ることができないことがあります。まずは整理整頓を心がけ、家具の再配置や見映えの工夫を施しましょう。

購入検討者は、その家の使われ方や売主の人柄を見て、どのくらい大切にその家を使っていたのか、家に対する思い入れを確認しています。

ハウスクリーニング

自身で室内清掃や荷物の整理整頓したものの、どうしても満足できない方や不安な方には、一段上の見映えを演出するために、私どもではプロによるハウスクリーニングをお勧めしています。整理整頓された室内に、さらにハウスクリーニングを実施することで部屋が見違えるようにきれいになって見映えが変わってきます。

内覧当日

必ず室内のすべての照明を点灯してください。時間帯や天候にもよりますが、内覧者が室内に入った瞬間、少しでも明るい印象を与えたいものです。建物の間取りにもよりますが、日光が入らない暗い部屋は必ず明るい状態にします。

窓開け換気

部屋の空気を時間をかけて入れ替え、生活臭のない状態にしてください。中古住宅を探しているお客様にとって「匂い」は、夢のマイホームから一気に現実に引き戻されます。夢と希望に満ち溢れながら内覧に来たのに、生活臭により興ざめしてしまい、購買意欲が一気になくなります。

売主の印象も売却の成否に関わってくる

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売主であるあなたや家族の印象も、成約の要因になります。ここで質問です。内覧者が来ました。さて、あなたがまだマンションに居住中の場合、下記のうち、どのような対応で内覧者を迎えるとよいのか、考えてみてください。

① 不動産業者任せにしてその場から退席する。

② ただそこにいるだけで、すべてを不動産業者任せにする。

③ 不動産業者と事前に打ち合わせしたように振る舞う。(想定される質問内容、見せる箇所の選定、その他の情報など)

④ 自分から内覧者に付き添い、全部ご案内する。


ここで伝えたいのは、物件案内の際、売主の印象もマンション売却の成約につながる大切なポイントになり得るということです。実は、内覧者はマンション室内のようすだけでなく、そこに住むマンション住人の人となりも観察しています。

私が良いと考える行動は③です。


居住中の物件の場合、内覧者はそこに住む売主がどういう人かということも、購入するかどうかの判断材料にしている場合が多くあります。住人が誠実そうで好印象だったという理由で、購入に踏み切ったという購入者は意外と多いのです。

②はなんとなく無視されているようで、ゆっくり室内を見ることができなくなります。
④のような営業マンを差し置いての過剰なセールスは、逆効果になることが多いです。

場合によっては売り急いでいると勘ぐられ、値引き交渉につながる要因にもなりかねません。

無視もダメ、行き過ぎもダメ、しかしながら売主の丁寧な対応は、大切にされてきた家という印象につながりますから、内覧前に不動産会社の担当者と十分に打ち合わせをして内覧対応することが望ましいと言えます。

また、なんといってもその家の長所は、営業マンより住人が一番知っているのですから、買物の利便性や周辺環境などのアピールポイントを整理して、質問には丁寧に答えられるよう準備しておきましょう。住人が好印象だと、物件自体もよく見えてくるのは、心理面からも言えることです。家族の写真をさりげなく飾っておくのも良いかもしれません。好印象を持ってもらえるよう、丁寧な対応を心がけ、身なりにも注意を払いましょう。

事例ピックアップ

最後に今回お伝えしたような内覧時の対策をした成約事例をご紹介します。

リビング・ダイニングに大きなソファーとベビーベットがあるために、部屋が狭く感じられてしまう売却希望マンション物件がありました。この物件では、内覧のときだけソファーの位置をずらし、ベビーベットを別の部屋に移動しておきました。

可能な限りリビングの床を見えるようにし、内覧のお客様の視線が行きそうな場所に物を置かないようにすると、お部屋が広く感じられるようになりました。その結果、内覧のお客様に気に入られ、高額の成約をした事例がありました。

他の事例では、全室の壁紙を張り替えて、売主様が希望する価格で成約をした事例がありました。お部屋の壁紙は、買主が好きなものに張り替えするから、そのままで売り出しましょうとアドバイスする不動産会社が多いようですが、タバコのヤニや経年劣化などで汚れがひどい場合には、張り替えることをお勧めします。

売出価格もさることながら、内覧のお客様が汚いと感じれば、当然購入申込金額は下がってしまいます。この売主様から聞いた話では、張り替えずそのまま売り出すことを提案した不動産会社の査定価格は、実際の売却価格よりも数百万円も低かったようです。すべてのお部屋の壁紙を張り替えたとしても、そこまでの費用はかかりません。

また、他の不動産販売会社で3ヶ月間販売したものの成約せず、私どもに売却の仲介をご依頼をいただいたタワーマンション物件では、今回お伝えした内容を含む数々の販売戦術を駆使した結果、約1ヶ月で成約しました。2007年に竣工した豊島区の駅近の物件でしたが、購入時の価格よりも大幅にアップしました。私どもでも直接の購入希望者がありましたが、購入条件がよい大手不動産仲介会社からのお客様と成約に至りました。

<執筆者>

井上由徳(コーラル株式会社 売却戦略アドバイザー)

1965年生まれ。神奈川大学卒業後、司法書士事務所、弁護士事務所に勤務。その後、25才の時に神奈川県川崎市で不動産会社を共同設立。現在はコーラル株式会社の売却戦略アドバイザーとして多くの売買取引に従事。宅地建物取引士。

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