不動産は大きな資産であるため、売却すれば多額の利益が見込めます。しかしその反面、利益の大きさに伴って支払わなければならない税金も多くなります。そこで税金対策として利用できるのが特別控除です。不動産売却時に利用できる特別控除にはいくつか種類があります。不動産売却時に税金で損をしないよう、利用できる特別控除について理解を深めておきましょう。
更新日:2019年11月26日
イエシルコラム編集部
株式会社リブセンス
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譲渡所得税の特別控除の中でも特に代表的なものが、3000万円特別控除です。
この控除の内容はその名の通り、譲渡所得の金額から最大3000万円を控除することができます。3000万円という高額な控除を受けられるため、一般的な住宅の売却であれば納税額を大きく減らすことにつながります。
例えば、取得費が1500万円の不動産を100万円の売却費用をかけて、4000万円で売却したとしましょう。これにこの3000万円特別控除を適用させると、譲渡所得は実質0円ということになります。
したがって譲渡所得税も0円ということになるのです。
また、次に紹介する「長期譲渡所得の軽減税率」とセットで適用することも可能なので、この控除を適用後の譲渡所得がプラスであっても、さらに税金を安く抑えることができます。
実際にどれくらい節税になるかを見ていきましょう。
15年にわたって所有し続けた居住用財産を売却し、3000万円の譲渡所得を得た場合を考えます。長期譲渡所得の軽減税率が適用されない場合の税率は、20.315%(所得税15.315%、住民税5%)となるため、納める税金は約609万円となります。
しかし、長期譲渡所得の軽減税率が適用されれば納める税金が約426万円となり、183万円の節税となるわけです。
この特例を適用するには、売却した年の1月1日時点で、土地と建物両方の所有期間が10年を超えていなければなりません。
また、対象物件が居住用財産の定義に当てはまらなければならないため注意が必要です。
また、売却した年の1月1日時点で売却した不動産の所有期間が10年を超えて、居住期間が通算で10年以上である条件となります。この特例を受けることができると、売却価格のうち新しく購入した不動産の価格と同額分の課税が繰り延べられます。
すなわち、所有していた不動産を3500万円で売り、新居用に4000万円で不動産を購入したならば、不動産売却による譲渡所得税が0円ということになります。
ただし、あくまでも課税が次回に繰り延べられただけなので、この特例で譲渡所得税を0円にするためだけに高額な不動産を購入してしまうと、次回売却時の譲渡所得税が高額になることも考えられます。この特例を利用する場合は、どうするのが最適かよく考える必要があるでしょう。
1つ目は「居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」です。
この特例では、譲渡損を給与所得などのプラスの所得と相殺できるうえ、相殺してもなお損失が残る場合はさらに損失を3年間まで繰り越すことができます。
例として、1500万円の譲渡損が生じた場合を考えてみましょう。
毎年500万円の給与所得があった場合、給与所得よりも譲渡損の方が多いのでその年の所得税は0円ということになります。
また、損失がまだ1000万円も残っているので、その次の年とさらにその次の年まで申告する所得が0円ということになるのです。この特例を受けるには、「売却した不動産が居住用財産の定義を満たすこと」「所有期間が売却する年の1月1日時点で5年を超えていること」「要件を満たしたマイホームを購入すること」の条件を満たす必要があります。
もう1つの特例は「居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」というものです。
基本的な内容は上記の「居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」とほぼ同じですが、特例を受けるための条件が若干異なります。こちらの特例ではマイホームを新しく購入する必要がありませんが、売却する不動産に一定額以上の住宅ローンが残っていることが条件に加えられます。
不動産売却時に受けることができる代表的な特例である3000万円特別控除を受けるには、いくつかの条件をパスする必要があります。どうすれば3000万円特別控除を受けられるのか、適用条件について詳しく見ていきましょう。
また、売却した年の前年や前々年にこの特例や、特定居住用財産の買換え・交換の特例などを受けていた場合もこの特例を利用することはできなくなります。
さらに、対象物件が居住用財産の定義に当てはまるかどうかもこの特例を受ける条件となるため、事前にしっかりと確認しておくことが必要となります。
また、「相続時から相続開始日以後3年を経過する日の年の12月31日までの譲渡が対象」となるため、約3年以内に売却できなければこの特例が利用できないことになります。
さらに、「譲渡金額の合計が1億円以下」「相続時から譲渡時までの間に事業用・貸付用・居住用として使用していないこと」「相続開始の直前まで被相続人以外に居住していないこと」「譲渡時には一定の耐震基準をクリアすること」などの条件もあります。ただし最後の耐震基準の条件をクリアするのが難しい場合には、建物を解体して更地にすることでも条件クリアとみなされます。
確定申告とは、年間を通していくらの所得があり、いくら税金を納めますという旨を税務署に申告するものです。
給与所得であれば務めている会社側がやってくれますが、譲渡所得を含む給与所得以外の所得は各自で確定申告を行わなければなりません。特別控除を利用する場合は、譲渡所得税の申告と同時に、特別控除を利用するための必要書類を提出します。
譲渡所得を申告する際には、確定申告書とは別に譲渡所得の内訳書など、必要に応じた書類を加えて申告を行います。ただし特例を適用する場合には、売却した不動産が条件に当てはまるという行政発行の証明書がさらに必要となります。確定申告は基本的に1カ月間しかないので、証明書は余裕を持って用意しておくようにしましょう。
特例を利用することで納税額が0円となる場合、一見すると申告の必要がないように見えますが決してそのようなことはありません。申告がない限り、税務署が勝手に特例を適用するかどうか判断することはないため、所得があるにもかかわらず申告していないということになります。譲渡所得があるにもかかわらず未申告だと、脱税を疑われることになるので忘れずに申告するようにしましょう。
また、e-tax(国税電子申告・納税システム)を利用すれば、自宅にいながらインターネットで電子申告することも可能です。電子申告する場合は電子証明書内蔵のマイナンバーカードとカードを読み込むためのカードリーダーが別途必要になります。マイナンバーカードは発行に約1ヶ月と時間がかかるため、電子申告を希望する場合は早めに準備しておくようにしましょう。
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