自己資本比率
また住宅の購入資金も両者で異なっていますが、自己資金比率も二次取得者のほうが20〜30%ほど高いというのもポイントです。これは、年齢が上がると長期ローンを組みにくくなることや、年齢が高い方が年収が高く貯金も多いことが原因だと予想できます。
「ローンが残っている若いうちは買い替えられないな」
「買い替えるにはまずは自己資金を蓄えないと」
この調査をみると、こんな風に感じてしまうかもしれません。
しかし、前のマンションのローンを残したままで買い替えを実現している人も実際にいます。「ローンが残っているから」という理由だけで、買い替えを諦める必要はないです。その場合、いまのマンションを売った代金でローンの残債を一括返済することで抵当権を外し、次のマンションを購入することになります。次の章でもう少し詳しくみてみましょう。
「住み替えローン」とは、前のマンションを売却するときに、貯蓄などの自己資金を使っても住宅ローンの残債を一括返済できないときのためのローンです。さきに今のマンションを売ってから次のマンションを購入する場合に利用されます。「現在のローン残債と新居購入のローンを一本化できる住宅ローン」のことです。
これを使えば、残債と次のマンションの購入資金を合わせて借り入れできます。
たとえば、住宅ローン残債が3,000万円の家が2,000万円で売れたとき、一括返済するには1,000万円足りません。次のマンションの価格が3,500万円なら、残債の1,000万円も加えた合計4,500万円の住宅ローンを借り入れできます。これによって、二重のローン(ダブルローン)を避けられます。
しかし残債も加えて借り入れをするため、ローンの総額が多くなります。その分、金融機関の審査は厳しいです。ローンの総額が増えた分だけ毎月の支払いを楽にしようと、返済期間を長く設定してしまうと、近い将来や老後にしわ寄せがきてしまいます。買い替えローンを使う場合は、「本当に返済できるのか?」をあらためて慎重に検討しましょう。
マンションを買い替える理由
1. 結婚、出産、こどもの独立で間取りが合わなくなった
結婚や出産などでそれまでの立地条件や間取りが合わなくなるパターンです。
出産で家族が増える(逆に進学や独立でいなくなり)、マンションが手狭に(手広)になるから、マンションを買い換えたいというのはよくある例です。また子どもが生まれてから手狭であっても引っ越さずにいた世帯も、小学校に進学する前に買い替えをする話はよくあります。子どもが転校しなくてもいいようにするためです。
2. 転勤や転職、進学で職場や学校が遠くなった
通勤や通学は数年間毎日続くことなので、万が一遠くなってしまった場合はかなりのストレスです。自分や家族のそんな負担を減らすためというのは買い替えの大きなきっかけになります。共働き夫婦の場合は、旦那様よりも奥様の職場に近い住まいを選ばれることがやや多いと思います。
3. 両親の近くために引っ越すことになった
お年寄りの両親の面倒を見やすいようにと引っ越しをするパターンです。
4. マンションの価格が上がっており利益を確定したい
運よくマンションの価格が上がった場合、下がってしまう前にそのマンションを一旦売却した後、住まいを改めるパターンもあります。
5. 資金計画を改善したい
マンション購入のときに予想していなかった事態に対応するための資金を調達するするために、マンションを買い換えるパターンです。たとえば子どもの学費に思ったよりも多くお金が必要になったため、などです。
マンションを買い替える場合、いまのマンションを売ってから次のマンションを購入する「売り先行」、さきに購入してから売却する「買い先行」、そして業者買取です。
理想の新居に夢がふくらみ、ついつい次のマンション探しを先に始めてしまいがちですが、まずは売却の準備を始める売り先行が堅実です。なぜなら潤沢な資金が手元にない限りは、いまのマンションがいくらで売れるのか?資金繰りはどうする?ということを先に解決しなければ、マンションの買い替えが難航してしまうからです。
それぞれのメリット、デメリット、向いている人を説明します。
売り先行型:現在のマンションの売却代金を次のマンション購入にあてる方法・メリットさきに売却代金を確保できるため次のマンションの価格目安がわかり、購入の資金計画を立てやすいのがメリットです。
また、はやくマンションを売却することに焦る必要がないので、買い手との価格交渉を有利に進めやすいです。
・デメリット次のマンションをタイミングよく購入できない場合、住むところがなくなり、賃貸などで仮住まいをしなければならなくなります。その場合、次のマンションを購入したときも含めると、2回の引っ越しが必要になりコストがかかってしまいます。
・向いている人いまのマンションの売却を妥協せずに、しっかりと資金計画を立てたい人。
買い先行型:現在のマンションの売却代金に頼らずに次のマンションを買う方法・メリット売却よりも購入を優先するので、次のマンションを納得いくまで選べるのがメリットです。
また、前のマンションを売ったときには新居がすでに用意されているので、仮住まいも必要ありません。
・デメリット次のマンションを購入したあとは、前のマンションを売るのに焦ることになるので、思った通りの価格で売却できない可能性があります。売り先行型に比べると資金計画は堅実ではありません。
・向いている人次のマンション購入で妥協したくない人。
前のマンションのローンがあっても、新居購入の費用を準備できる資金に余裕のある人。
・買替え特約とつなぎ融資「買替え特約」とは「いまのマンションを売却できなければ新居購入の契約を破棄できる」という特約です。
もしマンションを売れなかったときは、新居購入の契約を白紙にもどせます。
「つなぎ融資」とは「マンションの売却価格に相当する額を、新居購入のために一時的に借りる」ことです。前のマンションを売却したあとに借入金を一括返済します。
買い先行型で進めるときは、不動産会社にこうしたサービスがないかを相談してみることをオススメします。
業者買取:マンションを個人に売るのではなく不動産会社に買い取ってもらう方法・メリット買い手の内覧などの工程がなく、速く確実にマンションを売却できるのがメリットです。
・デメリット
確実に売却できる分、売却価格は相場の70~80%程度になることが多いです。
・向いている人なんらかの問題でマンションの買い手が見つからなかったり、売却に時間的リミットがある人。
次のマンションをじっくり選びつつ、確実に前のマンションを売却したい人。
買い替えをスムーズに進めるためには、いまのマンションをなるべく高く売り、さらに理想のマンションをすばやく見つけてくれる不動産会社との協力が必要です。『
IESHILの個別相談会』(費用:無料、所要時間45分程度、オンライン面談可)であれば、信頼できる不動産会社を最大3社までご紹介できます。ぜひご利用ください。
1. いまのマンションへの愛着から過度に高い評価をしてしまい、なかなか成約しなかった。
マンションの売却価格を最終的に決定するのは所有者になります。
愛着から過大評価してしまい、立地条件などの客観的指標とかけ離れた値付けになってしまうことがあります。思い入れで価格はあがりません。不動産会社の担当者の意見を聞きつつ、適切な価格設定をしましょう。
2. 利益ほしさに売却を先送りにしたことで、結局不利な条件で売ることになってしまった
せっかく買い手が現れたのに、もっと高く売れるのではと考え、売却を先延ばしてしまうこともあります。
広告を出してすぐに買い手が現れて欲が出るのはわかりますが、マンションはいつ値崩れするかわかりません。ほかにも、マンションの売却が遅れることで目をつけていた新居の購入のチャンスを逃すリスクもあります。チャンスを逃すまいとムリして新居を購入すると、今度はダブルローンがのしかかってきます。
はじめに想定していた価格で売却できるタイミングがきたら「迷わず売り」が鉄則です。
「まず買取業者に買取価格を決めてもらい、それ以上であれば売る」「2ヶ月以内に買い手が見つからないなら業者に売却する」などのルールを決めるのも有効です。
3. ダブルローンで金銭的に苦しくなった
ダブルローンとは、新旧のマンションの住宅ローンをそれぞれ別々で借りることです。
買い手が見つかる前に、次のマンションを購入したときなどにダブルローンを組みます。資金に余裕のある人でない限り、ダブルローンを組むのはオススメしません。はじめてマンションを購入したときから大幅に昇給しているのでない限り、ダブルローンは身の丈を越えた借り入れとなってしまうことがほとんどです。「買い手が見つかるまでの期間だけだから」と考えていても、売却はいつになるのかわかりません。決してムリをせずに、将来のライフイベントも考慮して資金計画を立てましょう。
ご意見、ご要望はこちら
定量的にみると、はじめてマンションを購入する方に比べてマンションを買い換える人は年齢が高く、購入資金も多いようです。しかしその理由を考えてみると、年齢が高くない、購入資金が多くないという理由で買い替えを諦める必要はなさそうです。