マンションの売却は、人生の中でも一度あるかないかの大きな出来事です。金額も大きいので、できるだけ失敗のないように慎重に進める必要があります。そこで、今回はマンションの売却で失敗しないためのポイントについて、5つの失敗例を取り上げながら詳しく解説していきます。マンション売却の流れの基本と代表的な失敗例とその改善策などを通じて、マンション売却に必要な基礎知識をしっかり押さえておきましょう。
更新日:2019年10月29日
イエシルコラム編集部
株式会社リブセンス
IESHIL編集部東京・神奈川・千葉・埼玉の中古マンション価格査定サイトIESHIL(イエシル)が運営。 イエシルには宅建士、FPなど有資格者のイエシルアドバイザーが所属。ネットで調べてわからないことも質問できるイエシル査定サービスを展開しています。
売却へ向けて具体的に動き出し、適正な価格で広告活動を行っていると、だいたい月に2件から5件ほどの内覧希望の申し込みが入ります。内覧に関しては売買契約を結んだ不動産会社の担当者が立ち会うのが普通ですが、売主も直接立ち会うことが多いです。内覧は15分程度で、水回りや収納スペース、クローゼットなど隅々まで見られます。
内覧希望者は売主に対して「住んでいる人にしかわからないことを聞きたい」と考えているので、質問に対しては嘘なく率直に、ポジティブに対応しましょう。
売却するマンションにまだ住んでいるという場合は清潔感のあるように保ち、住んでいない場合はハウスクリーニングなどの清掃を行って、管理を行っておく必要があります。
購入希望者が現れたら、購入申し込みを受けることになります。
購入申込書には「買い取り希望額」「手付金の額」「引き渡し希望日」「ローン利用の有無」等が記載されているので、全てチェックします。いずれも非常に重要な項目です。交渉では値下げ交渉をされることもありますが、ここは担当者と打ち合わせて、買主の希望に沿えるギリギリのラインはどこかを詰めておかなければいけません。スピーディーに事が進む場合は、「内覧、購入申し込み、売買契約」が1日で行われることもあります。
ただ、最も多いパターンは、内覧した翌週末に購入の申し込みがあり、その時点で売買契約が行われるというものです。売買契約では担当者が必要な手続きや書類について指南してくれますので、不慣れでも十分対応できるでしょう。売買契約当日は、署名、押印をして手付金を受け取るという流れになります。
売買契約が成立すると、約23日後に「融資承認取得期日」があります。
ここで住宅ローンの実施が決まるので、そのさらにその約7日後に「手付解除期日」が設けられる事が多いです。手付解除期日の後に「引き渡し」の日を決めます。引き渡しまでの期日は任意なので、引き渡し前にやるべきことを全て済ませられるように余裕を持ったスケジュールを組んでいきましょう。
引き渡し期日には引き渡しだけでなく、決済と移転登記手続きが行われます。
したがって、引っ越しと住民票等の移動だけでなく、ローンの残金決済も必ず済ませておかなければなりません。決済と引き渡しは時間厳守のため、遅刻や忘れ物がくれぐれもないように注意しましょう。
全てが済めば、これで売却は終了です。
失敗例の2つ目は「価格設定が相場とズレている」ということです。
不動産の査定が甘く、近隣の同スペックのマンション相場より高く価格設定してしまっていることから、結果的になかなか物件が売れないという事態に陥ります。物件の買い手がつかないまま時間が経過していくので、あせって実際の価値よりも低い査定額で売買してしまい、大損をしてしまう事例が後を絶ちません。
この失敗パターンに陥る人は、一社のみの査定しか受けていないことが多いのがそもそもの失敗要因です。一社に偏ってしまう原因の1つは、最も高い査定額を出してきた会社に飛びついてしまうということにあります。不動産会社が出してきた査定額は、高いからといって必ずしもそれが適正価格という訳ではありません。契約を取るために甘い査定を出すところもあるからです。したがって、自分自身でも相場をよく調べて、必ず複数の不動産業者に査定依頼をすることが重要になります。
では、さらに具体的な対策をあげていきましょう。
査定額がそもそもおかしいということもあります。特に気をつけたいのが高額の査定が出たときです。
このような場合はすぐにその査定額に飛びつくのではなく、その査定額の根拠をよく聞く必要があります。なかには根拠のない高額な査定をして、仲介手数料を得ようとする不動産業社もいるからです。査定額の根拠を聞くことには何ら問題ありません。「宅地建物取引業法」では、不動産業者は物件を売り出す時の価格について意見を述べる際に、その根拠を明らかにする義務があるとされています。
相場よりも高額で売れるという自信のある不動産業者は、既にそのスペックの物件を探している顧客のアテがあるなど明確な根拠を持つ場合が多いので、問い合わせば必ず説明するはずです。
したがって、査定額についてはしっかり売り手側が理由や根拠を確かめておきましょう。
マンション売却の際は、少しでも高く売りたいと思うでしょう。
価格設定のコツとしては、相場の1割を上乗せして価格設定しておくことがおすすめです。中古マンションは値引き交渉が盛んなので、値引きされることを最初から予測しておいた方が得策というのが理由です。大手不動産会社の調査データによれば、中古マンションの多くは売主の売却希望価格から約1割安く買われているという結果が出ています。
したがって、あらかじめ1割程度価格をあげておくことは、希望価格で売却するために必要なテクニックといえるでしょう。
もっとも、あまり高額な価格設定をし過ぎると売れ残ってしまうおそれがあるので、そのあたりの価格の見極めは大切です。
マンション売却に強い不動産会社はどうすれば見つかるのでしょうか。
まず、その見極めポイントとなるのは不動産会社の出している広告に注目するという事です。
例えば、チラシに中古マンションの分譲情報を大きく掲載している不動産会社は、マンション売買に強い可能性があります(ただし、賃貸の情報は別物です)。広告などで目立つところに掲載している物件は、その会社が得意としていたり、目玉だと考えていたりする物件だからです。店頭の広告やホームページも同様です。見やすいところに何を掲載しているかで、その会社が主力としている分野は何かを読み取っておきましょう。
売買契約のうち「専任専属媒介契約」や「専属媒介契約」などでは囲い込みの可能性も高くなります。
ただ、この契約では売主に報告義務があるので、この報告義務をちゃんとやっているかどうかで囲い込みをやっている業者化の見極めがつくはずです。囲い込みをする業者の特徴としては、1ヶ月経っても問い合わせが一件もない、しきりに値下げを持ちかけてくるといったものがあります。こうした業者なら囲い込みを疑うべきでしょう。確認の方法としては、他社に依頼して自分の物件への問い合わせをしてもらうという対策があります。
そこで、なかなか買い手のつかない物件にもかかわらず「商談中です」などと返答してくるようだと、囲い込みを行っている可能性が高いといえます。その場合は契約を切るなどの対応策を考えなければなりません。
4つ目の失敗要因は「売り出す時期が悪い」という点です。
社会情勢などによる影響もなかにはありますが、そもそも不動産にはマンションに限らず売りにくい時期があります。
具体的には、年末年始、盆休み、GWなどの連休がある時期です。このような長期連休中は不動産会社も休みになるので、内覧希望者が少なく売りにくくなる傾向にあります。物件探し自体を一旦休止する人も多いことから、不動産の売却には向かない時期といえるでしょう。
さらに近隣のライバル物件の相場の動きなどによって売れなくなることもありますし、年度末などに引き渡しができない物件などは、選ばれにくい傾向にあります。
したがって、売却の時期は長期休暇を避け、引き渡しは年度末などの希望が多い時期に設定しておくなどの工夫が必要です。
内覧で物件を魅力的に見せるために、最近注目されている方法が「ホームステージング」です。
ホームステージングとは「ホームステンジャー」などのプロに依頼して部屋の中をコーディネートしてもらい、物件を魅力的に見せるために行われるサービスのことです。売却物件をショールームのように見せるためのサービスと考えてもらえばいいでしょう。価格相場は15万~30万程度と高めですが、その効果は抜群と言われています。ある会社によるとホームステージングを行った物件は、平均45日で売却されたそうです。
売却までの安定したスピードの速さだけでなく、相場より高額で入れる例も数多いのが特徴で、すでに欧米では常識的に行われている手法となっています。日本ではまだまだ普及していませんが、これから確実に広がっていくサービスなので、資金的に余裕があるならやっておいた方が得策といえるでしょう。
内覧対応では、物件そのものの情報と周辺情報についてしっかり話せるように準備しておくといいでしょう。
住んでいる人にしかわからない情報を率直に話すと好印象となります。話をする時は「ここで生活するとどんな生活が送れるか?」という話し方を意識しておくことがポイントです。嘘はついてはいけませんが、ネガティブな要素でもプラスの印象を与えられる言い回しを考えておき、全体的にポジティブな雰囲気で対応するように心がけましょう。
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