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リフォームはどこまでできるのか~中古マンションを購入するなら知っておきたい!リフォームのこと~

人生でも最も大きな買い物とも称されることもある不動産の購入。そんな大きな決断となる不動産の購入・売却において「自分たちの知識は十分なのであろうか…」。そんな不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。 そこでIESHILコラムでは、国内で唯一ともいわれている不動産学部がある明海大学の不動産学部学部長である中城教授にご協力いただき、「生活者として知っておいて欲しい不動産学」をシリーズにしてお届けしていきます。

更新日:2018年10月25日

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イエシルコラム編集部

IESHIL編集部

はじめに

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マンションを購入後、自分好みにリフォームを行う予定で物件購入を検討している方も多いと思います。しかし、リフォームが認められない可能性がある箇所があるのをご存知ですか?


分譲マンションは建物の区分所有等に関する法律(以下、「区分所有法」)の適用を受けます。1棟の建物内に複数の建物所有権が存在する点が通常の建物との相違点です。


この場合の建物所有権を「区分所有権」といい、その対象範囲を専有部分といいます。分譲マンションでは専有部分の区分所有権のほかに、共用部分の共有持分と敷地部分の敷地利用権が密接不可分のものとして、これらを分離して処分(売買等)することができないと規定しています。


購入した分譲マンションの専有部分をリフォームする場合、どの範囲までリフォームが認められるのか、共用部分との関係で実際には工事できない計画になっていないかなど、法的な側面と建築の側面から検討する必要があります。

§1 リフォームが可能な範囲

区分所有権の対象となる専有部分の範囲は一般に図1の「専有部分の範囲」で示す部分と考えられています。この範囲はリフォームすることが可能ですが、以下の点に注意する必要があります。なお、以下はラーメン構造(※1)の鉄筋コンクリート造を前提に記述しています。


〇戸境壁・床スラブ

専有部分を囲う住戸間の鉄筋コンクリート造の界壁、および、上下の床スラブは共用部分です。これらを変更することはできません。隣の住戸を購入し、戸境壁にドアをつけて行き来できるようにするリフォームや、上下の住戸を購入し、床に穴を空けて階段で昇降できるようにするリフォームは原則として不可です。


もっとも、構造耐力上問題がなく、管理組合が認める場合などはそのようなリフォームも可能といえます。また、外壁面、最下階や最上階の床スラブに断熱材が固定されているような場合は、その断熱材の帰属について管理組合に確認します。


戸境壁や床スラブには専用部分の内装のための下地を取り付けることも少なくありません。接着剤で貼り付ける場合は問題ありませんが、釘やボルトを打ち込む工事を行う場合は管理組合に確認することを忘れないようにします。


※1 RC構造、鉄骨構造等で柱と梁の一体化した構造のこと。マンションや公共建築物など多く採用され、一般的な構造形式である。

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図1 専有部分の範囲  ※最下階のみ範囲を表示。上階も範囲は共通

〇専用使用部分

区分所有法は、専有部分以外は共用部分と規定しますので、べランダは共用部分です。実際にはベランダに面する住戸の所有者が使用しますが、法的には、「共用部分に専用使用権を設定して独占的に利用する」ことになります。共用部分であるベランダを改変するリフォームは不可です。ベランダに類似のものに1階の専用庭やルーフバルコニーがありますが、扱いは同じです(※2)。


共用部分に専用使用権を設定して特定の住戸の所有者が独占的に利用する他の例として、玄関扉、窓枠、窓ガラスがあります。防犯のために玄関ドアを2重ロックにする、断熱性を高めるために外壁のサッシュを二重サッシュやペアガラスにするなども勝手にすることができません。専用使用部分の取り決めは管理規約で定めることが通常ですので、事前に確認することが大切です。


共用部分の性能を向上させる改修工事を長期修繕計画に位置づけ、マンション全体で取り組むこともありますので、併せて確認します。


※2ベランダの専用使用料は一般に無料である一方、専用庭やルーフバルコニーは有料のこともある。

§2 間取りの変更~居室の採光~

住宅の居室には採光に有効な開口部が必要です(建築基準法28条)。開口部は窓のほかトップライトなどもありますが、マンションの場合は窓と考えてよいでしょう。

必要な窓の大きさは居室の床面積の7分の1以上です。リビング、ダイニング、寝室が居室に該当します。子供室、客間、書斎など、部屋の名称にかかわらず常時生活する部屋であれば居室に該当し、トイレ、浴室、洗面所、納戸、専用のキッチンは該当しません。


3LDKの住戸では、3寝室とリビングダイニングの4室に採光が必要となります。リビングとダイニングが独立している場合は、5室に採光が必要です。採光とは「明かり」がとれることで、「日照」つまり「太陽があたる」ことではありません。採光に有効な窓は、向きは関係なく中庭に面していてもかまいません。採光がない部屋は、居室に利用できると誤認されない部屋名や用途を表示することになっています。


不動産の広告で「納戸」や「サービスルーム」などの表示を見ますが、採光が確保できていないことが理由のことが少なくありません。購入後、これらの部屋を子供の寝室に使うことは用法違反となります。


採光の確保の方法で3LDKを分類すると、3タイプに区分できます(図2)。タイプ1は、4部屋とも窓が取れる位置にあり、現在最も一般的です。タイプ2はリビングダイニングの快適性を重視するもので、近年多くなっています。このタイプは寝室3が外壁に面しておらず窓がとれていませんが、2室採光の例外規定(※3)を利用しています。


2室採光の例外規定を適用する場合、リビングダイニングとの間の間仕切をふすま、障子その他随時開放できるもとすることが必要です。タイプ3は南面2室タイプですが、ダイニングについて2室採光に合致させる必要があります。今日ではこのタイプが新規に供給されることは稀で、3タイプの中で「古いタイプ」の間取りです。このような住戸を購入し、タイプ2の間取りにリフォームすることが考えられます。


タイプ2で和室とリビングダイニングの間の壁を固定の壁にするリフォームは要注意です。和室に採光が取れない(2室採光の例外規定が適用できない)ために、この部分が「納戸」になります。

実際に納戸として利用するのであれば問題ありませんが、寝室や子供部屋にする、つまり、居室として利用することを前提とするリフォームは「違反」です。マンションの間取りの変更では居室に採光が確保できているか、チェックポイントです。


※3ふすま、障子、その他随時開放することができるもので仕切られた2室(中略)は1室とみなす(建築基準法28条4項)。

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図2 3LDKの間取りの類型(採光を確保する方法)

§3 設備を更新する

図1の下から2つ目の階は冷暖房・換気設備、3つ目の階は電気設備、一番上の階は給排水衛生設備の概要を示しています。冷暖房・換気設備については、専有部分内で比較的自由にリフォームできますが、①室外機と室内機を結ぶ冷媒管および配水管のために外壁(共用部分)に穴を開ける②室内や屋外の機器の取り付けのために構造躯体(共用部分)にボルトを挿入する、などの場合は事前に管理組合に確認することが必要となります。


電気設備についても、③照明機器等の構造躯体(共用部分)への取り付けに同様の留意点です。図1では電気配線を入れるための配管が床スラブ内に設置されている場合があることを示していますが、リフォーム時に新規に配管を埋設することはできません。


給排水衛生設備のうち、排水管には注意が必要です。排水のためには勾配が必要で、必要な勾配が確保できないと漏水などのトラブルに直結します。横引きする配水管の長さに応じた水勾配を確実に確保します。台所や風呂をパイプスペースから遠く離れた南側にもってくるなど、思い切ったリフォームが制約を受ける可能性があります。

§4 使用資材や工事の制約

騒音による上下階のトラブルを予防するためにフローリングを禁止にするケースがあります。フローリングが可能でも床衝撃音の遮音等級L値を定め、これに合致したものに使用を制限することもあります。


リフォームを行う場合は事前に工事内容がわかる図面をつけて管理組合に提出し、理事会が承認するなど、工事のルールを定めていることがあります。理事会の承認には一定の時間が必要なことや、マンション内の工事に制約があることなど、完成までに必要となる時間についても適切に予想します。

おわりに

いかがでしたか。自身が購入したマンションであれば自分の所有物にあるため、賃貸とは違い自由自在にリフォーム・リノベーションができるものだと思われていた方も少なくないのかもしれません。 リフォーム・リノベーションをする場合は、共用専有部分かどうかだけでなく、採光面の確保や建築構造等にも配慮しなくてはなりません。


また、何よりマンションは共同生活であり配慮が必要です。工事に関するトラブルを避けるためにも、事前に近隣住宅への承諾はもちろん、マンションの場合、管理組合等への工事内容の提出や理事会での承認等が必要なケースなどもあります。


事前にリフォーム・リノベーションの構想を膨らませるだけでなく、内容が合法的で適切な否か、必要な手続き等は何なのかを確認しておくことも大切です。


[引用文献]

・中城康彦「住まいを住み替える~リフォームってどこまでできるの?」『生活者のための不動産学への招待』放送大学教育振興会 2018年3月pp181~184

この記事の執筆者

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明海大学 不動産学部 教授 

学部長 中城 康彦氏

【専攻分野】

不動産企画経営管理、不動産鑑定評価、建築設計、不動産流通

【経歴】

1979年 福手健夫建築都市計画事務所

1983年 財団法人 日本不動産研究所

1988年 VARNZ AMERICA, Inc.

1992年 株式会社 スペースフロンティア 代表取締役

1996年 明海大学 不動産学部 専任講師

2003年 明海大学 不動産学部 教授

2004年 ケンブリッジ大学土地経済学部客員研究員(2005年3月まで)

2012年4月 明海大学 不動産学部長 不動産学研究科長

【主な受賞歴】

2015年 都市住宅学会論文賞

2015年 資産評価政策学会論説賞

2016年・2014年・2013年 日本不動産学会論説賞

この記事の問い合わせ: nakajo@meikai.ac.jp

明海大学HP: http://www.meikai.ac.jp/

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