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第三回目『リマンショック(離婚×マンション)』の傾向と対策

30%以上のカップルが離婚を経験するといわれる大離婚時代。 離婚時に頭を悩ませるのが、購入したマンションに関するアレコレですが、離婚+マンションにまつわる様々なエピソードをご紹介していく企画シリーズです。

更新日:2017年06月13日

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イエシルコラム編集部

IESHIL編集部

今回の「離婚×マンション」ケース Tさんご夫婦

結婚10年目にして離婚となったTさん夫婦。原因はご主人の浮気だった。
浮気相手は職場の若い女性。最初は遊び半分の軽い気持ちで飲みに誘ったのだが、妙に話が合い、次第にその回数が増えていき、いつのまにか本気になってしまったのだ。

女性のほうも軽い遊びのはずがいつしか本気に。
「奥さんと別れて」と頻繁に口にするようになるほど、二人の仲は深まっていた。

浮気が発覚したとき、修羅場になったのは言うまでもない。
ご主人は、もはや奥さんのもとに戻る気はなかった。どうしても奥さんと別れたかったので、離婚後、慰謝料代わりに自宅マンションを妻に譲り、住宅ローンの残債は自身が払い続けるという好条件を出した。

奥さんは怒りを抑えつつ、この提案に合意することにした。夫名義だった自宅を自分のものにできる上に、引っ越さずにすむし、何よりも、この不愉快な問題を早く解決したかったからだ。

ところがこの選択が、のちに思わぬトラブルを招くのだった――。
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――いやあ、川上先生。たしか前回の話で、住宅ローンは契約者(名義人)がその家に住み続けることを条件としているため、離婚後、ローン契約者のご主人が出ていけば、自宅マンションに住み続けている奥さんへのローンの借り換えが必要ですよね?

川上:お、学習しましたね(笑)。
はい、そうです。夫が出ていけば、夫がローンを組む銀行との契約違反になるので、妻単独での借り換えが必要になります。ただ借り換えができるのは、正社員として就業しているなど安定収入のある方のみ。パート職などで収入が低いと、妻単独の借り換えに応じてもらえないのが現実です。
また、ローンを組んだばかりだったり、返済に滞納があったりするケースの場合、離婚によってローン契約者が家を出て行ったことを銀行に伝えると、ローンの一括返済を迫られることも、可能性としては低いのですが、考えられます。

――そういった事態を恐れてか、ローン契約者が家を出て行ったことを銀行に伝えない人も一定数いるという話でした。

川上:ええ。そういった人たちもいるでしょう。

――今回のケースはご主人の浮気が離婚原因なので奥さんに非はない。パート職などでローンの借り換えが難しいとわかっているなら、ご主人は謝罪の意味もこめて、銀行に内緒で返済を続けるべきでは?

川上:人情的にはそれを認めてあげたいところですけどね。
前回もお伝えしましたが、パート職などでローンの借り換えが不可能だったら、マンションの売却を考えるのもひとつの手です。売却の結果、ローン残額より高値で売れれば、借り換えに悩む必要はなくなります。
事前にイエシルなどでマンションの価値を調べて、売却するかどうか判断すればいいでしょう。
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――では本題。浮気の代償とはいえ、マンションをもらえて、ローンも支払ってもらえる。妻にとって一見得しそうなケースが、のちにどんなトラブルにつながるのでしょうか?

川上:一番の問題は、途中でローンの返済が滞った時です。
「ローンは自分が払うから」と約束した夫の気持ちにウソはないでしょう。
しかし、いざ離婚して家を出たら夫自身が住む家の住居費が発生します。また新たな妻と再婚して子どもができた場合などは、さらに経済的な負担が重くのしかかります。となると、元妻のローン返済まで手が回らなくなる可能性は否定できません。

――でも、それは奥さんにしたら約束違反で腹立たしい。自力でローンを支払えればいいのですが、それが無理だと…。

川上:ローンの返済が滞れば、銀行は当然抵当権を行使します。最悪の場合、差し押さえから競売になり、自宅マンションを手放すことにもなりかねません。

――う、キツイですね。住む場所を奪われるのは絶対避けたいはず。そのような事態に発展しないようにするために、妻側で事前の策はないものですかね? 

川上:まずは、夫の言葉を鵜呑みにしない。
酷かもしれませんが、ローンの返済を滞らせる可能性があることを想定し、その場合、どうするのか考えておくのがいいでしょうね。その効果的な手段のひとつとして、「公正証書」の作成があります。

――前回出てきたやつですね。

川上:そうです。覚えていますか?

――もちろん。離婚協議に伴い、夫婦で決めたことを公正証書の書面に残す。その取り決めはのちに何か問題が発生した際、法的な拘束力を持つと。

川上:正解です! 今回のケースでいえば、将来的に夫がローンの返済を滞らせた場合、約束した支払いをさせるために夫の給料や財産を差し押さえ(強制執行)できるような内容の公正証書を作って準備しておく方法がベストでしょう。

――でも、公正証書はいざという時に役に立つのか。不安に思う人もいるはずですが。

川上:夫婦二人だけで署名捺印した私文書の離婚協議書と、公証役場に行って作る公文書の公正証書には、決定的な差があります。それは、強制執行が簡単にできるかどうかの違い。公正証書のほうが効力は格段に強く、強制執行が容易なのです。

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――もっと詳しく教えてください!

川上:たとえば、子どもの養育費を月5万円、20歳まで夫が支払うと夫婦合意のもと決めて、離婚協議書を作ったケースと公正証書を作ったケースで比較してみましょう。
離婚協議書の場合、夫から一方的に「新しい子どもができたから、月1万円しか払えない」と言われて養育費を減額されたら、妻はまず裁判を起こすのが第一。
そして、その裁判で離婚協議書の契約と異なることが認められ、勝訴しなければ夫の給料などを差し押さえることはできません。手間と時間がかかり、場合によっては強制執行が叶わないわけです。

――公正証書の場合は?

川上:妻は裁判を起こす必要はありません。公証役場と裁判所の窓口での手続きのみで、夫の給料などを差し押さえることができます。あきらかにこちらが簡単ですよね。
今回のケースでも、公正証書さえ作っておけば、夫がローンの返済を滞らせても安心。給料や銀行口座の差し押さえもでき、妻の立替え分を取り返せるのです。

――なるほど。夫にとっては厳しい措置ですね(自分を振り返りながら…)。

◆結論◆

浮気などが原因で夫が離婚後、住宅ローンの返済を引き受けると約束しても、信用はしてはいけない。
口約束ではなく、法的な拘束力を持つ公正証書をきちんと作成すること。そうしておけば、将来的に夫がローンの返済を滞らせても困らずにすむ。

★川上先生プロフィール★
離婚と住宅ローンの問題を専門とする行政書士川上俊明
行政書士。オフィスシード代表。1974年生まれ。北海道出身。私立北海学園大学人文学部卒。合格率2.62%という超難関試験であった、平成17年度の行政書士試験に一発合格。資格取得後は、有名行政書士の元で、行政書士業務について徹底的に学び、現在は代表としてコンサルティング、実務を一手に引き受ける。離婚と住宅ローンの問題を専門とし、不動産、お金、子どものことなど幅広く相談に応じて精神的にもサポートを行う。「離婚と住宅ローン相談室」http://asu1.net/

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