マンション経営に関わる経費と税金、確定申告で利回りを確定するまでの道のり

マンション経営においては様々な費用が発生しますが、正しく計上することで、節税が可能となります。大切なお金を少しでも手元に残すためにしっかりと確認しておきましょう。

更新日:2016年11月28日

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マンション経営では、確かに表面利回りで売上が入ってきますが、そこから様々な経費がかかり最終的に残った金額が実質利回り=利益となります。確定申告を行い、利回りを確定するためにさけて通れないのが、マンション経営に関わる各種コストを理解することです。ここではマンション経営における経費と、各種税金について勉強していきましょう。

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マンション経営に関わる経費

マンション経営で「不動産所得」を得た場合、所得税の確定申告をしなければなりません。
その場合、経費を正確に計上することで税金が安くなる場合があります。マンション経営をする場合、税務署に認められている経費にはどのようなものがあるのか確認しておきましょう。

(1)管理費などの業務委託費と広告宣伝費

入居者の募集などにかかる不動産会社への支払やルームクリーニング代、マンションの管理費、確定申告時に税理士を使う場合も経費に算入できます。

(2)修繕費

扉や鍵、壁やベランダの塗り変え、水回りや換気扇の修理、畳や障子・襖の張替えなどにかかる費用です。
またマンションの修繕積立金は修繕費に当たり経費算入できます。しかし物理的に何かを取り付ける改造・改装などは、資産の価値を増やしたり使用可能期間を延長させるための「資本的支出」とみなされますので、修繕費にはならず経費算入はできません。
しかし、
①おおむね3年以内の期間を周期として行われる修理、改良などであるとき、又は一つの修理、改良などの金額が20万円未満のとき
②一つの修理、改良などの金額のうちに資本的支出か修繕費か明らかでない金額がある場合で、その金額が60万円未満のとき又はその資産の前年末の取得価額のおおむね10%相当額以下であるとき
については、修繕費に含められるので経費となります。

(3)損害保険・自動車保険

一般的な火災保険・地震保険はもちろん、経営している賃貸マンションで孤独死や自殺などが発生し、大きな損害を被る可能性に備える賃貸住宅費用補償保険も経費となります。また移動用の自動車に掛ける自動車保険も経費となります。また保険に関して注意が必要なのは、一括払いの保険料については、年度ごとに一年分しか経費計上は出来ません。もし10年分を一括で支払った場合でも、その年の分に相当する額のみしか算入することはできません。
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(4)減価償却費

不動産の減価償却とは、建物は時の経過とともに資産価値が下がっていくという建前のもと、この価値の減少を一定の計算方法で算出し、その額を毎年経費に参入することをいいます。減価償却費の算入可能な金額は、マンション経営において重要なポイントです。減価償却費は以下の計算方法で算出することができます。

減価償却費=建物の取得費×耐用年数に応じた償却率

建物は構造別・用途別で償却年数が異なり、鉄筋コンクリートで新築の場合は47年木造モルタル造の場合新築で20年が耐用年数となります。中古マンションの場合、新築からの経過期間を差引く一定の計算方法が税法により定められていたりと少し複雑な計算もありますので、税務署など専門家に相談、確認してみましょう。

(5)借入金の金利

ローンでマンションを購入している場合は、月々の支払いのうち元金の返済部分と、マンション経営を開始する以前に支払った金利に関しては経費となりませんので注意してください。

(6)図書・新聞や消耗品費、セミナー参加費

マンション経営に関する新聞や書籍の購入費、投資会社などが主催する不動産セミナーなどへの参加費も経費となります。また、セミナー費用に関しては、不動産購入前に参加したものについても経費算入が可能です。

(7)交通費

上記セミナー参加時の交通費や、管理会社の打ち合わせ、物件を見に行くためにかかる交通費も算入可能です。
自動車で移動する場合は、ガソリン代、駐車場代、高速代、車検費用、など全てが対象となります。ただしプライベートと兼用している場合、全額算入は難しいところです。事業との使用割合によっても算入可能な額は異なりますが、概ね4割程度までが妥当な金額でしょう。

(8)通信費・接待位交際費

管理会社と通話した際の通話料、インターネットで物件を検索した際の通信費などは経費に算入することができます。これも交通費同様全額算入はできません。3割~4割程度で申請する方が多いようです。また、接待交際費は管理会社や税理士などとの打ち合わせ、意見交換などを行なうためにかかった飲食費などがこれに相当します。

(9)消耗品代

物件検索などに使用するパソコン、書面を印刷するためのプリンター、物件撮影に使用するデジカメなども経費として計上することができます。購入価格が一定以上の金額の場合、減価償却費になることがあります。

マンション経営に関わる税金

以下はマンション経営において、税金という形でかかる経費となっています。

固定資産税・都市計画税

固定資産税とは、土地や戸建ての家屋、マンションなどの資産を所有している人に納税の義務があるもので、不動産所在地の市町村が課税する税金です。(ただし、東京都23区内においては、特例として東京都が徴収することとなっています。)都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業に必要な費用の一部を負担するもので、市街化区域内の土地、家屋を対象に課税される税金です。経費計上が可能です。

登録免許税・不動産取得税

マンション購入の際に、所有権保存登記または所有権移転登記をしますが、この登記をする際にかかる税金が登録免許税となります。
不動産取得税とは、不動産を取得した人に、その不動産の所在地の都道府県が課税する税金です。毎年課税される固定資産税とは異なり、不動産を取得した時に一度だけ納めるものとなります。どちらも経費計上が可能です。

自動車税

自動車の所有者に課税される税金です。自動車重量税などがこれに当たりますが、先に述べた通り全額算入は難しいものです。


印紙税

印紙税は、印紙税法で定められた文書に課税される税金となります。不動産売買契約書土地賃貸借契約書などが課税文書となり、契約書に収入印紙を張ることにより納税します。租税公課・公租公課戸の科目で計上可能です。

個人事業税

個人が事業を営む場合に課税される税金です。法律で定められた法定業種に課税されるもので、マンション経営は不動産貸付業に該当します。不動産所得によって発生した個人事業税は、マンション経営の経費として計上できます。

マンション経営では、これらの経費・税金を収入から経費として控除することができます。
しかし逆に、これだけの経費がかかるとも言えます。基本的にマンション経営は非常に長い年月を掛けて行うものですから、借り手の転出などで家賃収入が途絶える時期は必ずあるものです。しかしこれらの経費はそのようなときでも出続けますので、最新の注意を払ってリスクを減らしていくことが必要です。

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