不動産投資を行おうと考えている人がまず抱くのは、「失敗してしまったらどうしよう」という気持ちなのではないでしょうか。 そんな人のためにここでは、まずは「不動産投資のきほん」を紹介したうえで、不動産投資のよくある失敗とその解消方法、不動産投資において気を付けるべきことを紹介していきます。
更新日:2023年07月14日
イエシルコラム編集部
株式会社リブセンス
IESHIL編集部東京・神奈川・千葉・埼玉の中古マンション価格査定サイトIESHIL(イエシル)が運営。 イエシルには宅建士、FPなど有資格者のイエシルアドバイザーが所属。ネットで調べてわからないことも質問できるイエシル査定サービスを展開しています。
まず大前提としてお話しておきますが、不動産投資に限らずあらゆる投資はすべて、「行えば必ず成功すると担保されているもの」でもなければ、「不勉強でも成功するもの」でもありません。
100人が100人挑戦して成功するものでもありませんし、よほどの強運の持ち主を除き「勉強せずに手を出してしまったら、失敗する確率が極めて高いもの」です。
このことを念頭において、「それではみんなはどのようなことで失敗しているのか」「その失敗を解消(あるいは予防)するためにはどのようなことに気を付ければいいのか」について解説していきます。
ここからは上記の質問に答えるべく、「不動産投資のよくある失敗の例」と、「その解消方法」について解説していきます。
「人に賃貸に出すためにアパートを買ったが、入居者が見つからず、ただローンを払い続けるだけになってしまった」というのは、不動産投資の失敗例としてよく挙げられるものです。
もちろん、退去者が出てから次の入居者が入るまでの「タイムラグ」はどうしても生じます。しかしこれが長い期間に渡ったり、そもそも(1棟運営ではなく)1部屋しか持っていなかったりした場合は、ダメージは非常に大きいといえるでしょう。
このリスクを避けるためには、
①ワンルーム投資ではなく、1棟運営にする
②市場価値と、運用のための資金が安定しやすい中古物件を選ぶ
③利便性の良い立地を選ぶ
番外編:「最終的には自分が住みたいと思う場所」を買って、セカンドハウスのつもりで運用する
などの方法がおすすめです。
「経費のことを考えていなかったため、むしろ赤字になってしまった」という話も、よくあります。
当たり前のことではありますが、不動産投資のときにかかる費用は「物件の購入の費用・ローン費用」だけではありません。
たとえば固定資産税もかかりますし、保険料もかかります。その不動産が建って長いのであれば、修繕のためのお金も必要になってくるでしょう。
とある収入シミュレーションによれば、手取り(使える収入)はおおよそ15パーセント程度に過ぎず、残りのうちの85パーセントがローンや税金、修繕費などに消えるということです。
場合によっては15パーセントよりももっと少なくなるかもしれません。また、上で挙げたように、賃貸物件の場合は(一部の超人気物件を除き)「退去者が出た後、入居者が入ってくるまでのタイムラグ」が存在します。場合によってはこの時期には、貯蓄などからの持ち出しが必要になる可能性すらあります。
これを計算に入れたうえで、厳しめの資金計画を練らなければなりません。
出典:HOME4オーナーズ【徹底解説>マンション経営の平均収入とシミュレーション
https://home4u-owners.jp/contents/construction-apartment-62-11586
「安易に競売物件に手を出し、お金はもちろん、精神面の疲労も大きかった」……こんな失敗の裏には、「競売物件の特異性」があります。
競売物件とは、「住宅ローンの支払い不能により、担保となっていた不動産が差し押さえられ、裁判所を通して強制的に売却されることになってしまった物件」のことを指します。
この競売物件は、一般的な物件とは異なり、売主がいません。裁判所が入札制度を取り、そのなかで一番高かった人が物件を手に入れられる仕組みです。
一般的な物件よりも価格が安いことがメリットで、同等程度の物件に比べて30パーセント程度安い価格で取り引きされます。そのため、特に「投資」という観点から不動産を捉える人にとっては、利益が大きいものだといえます。また、手続きも簡素です。
しかし競売物件は、トラブルが非常に起こりやすいものです。「裁判所が扱っているから大丈夫」ということは決してなく、「本当は住む権限のない前の住人が住み着いてしまった」「値段の釣り上げを目的とした不法占拠がなされている」などのトラブルが起きる可能性があります。そして、その人たちに対して引き渡し命令の申し立ては、「買った人自身が」行わなければなりません。
たとえば1983年には、競売物件に関係する一家5人殺害事件も起きています。
もちろん、「競売物件は絶対にダメ」とはいえません。ただし競売物件を投資の対象とするのであれば、勉強は必須です。
「不動産屋が『ここは値上がりします!』と言ったから買ったのに、値上がりどころか値下がりした」と悲嘆にくれる人も珍しくありません。
不動産投資において不動産会社は非常に頼りになる存在ではありますが、同時に「不動産会社も、利益を得ようとしている企業であること」を忘れてはいけません。
不動産会社は、自分たちが扱う物件の売買契約成立においても利益を得ることができるようになっています。多くの不動産会社は売主と買主、そして自らの企業が三方で納得できるように交渉を進めていきますが、なかには「自社の利益を最大限にすること」を目的とするところもあります。
このような不動産屋にあたった場合、「予想されるトラブルを告知せずに、物件を買主に売りつける」「良い情報だけを流して悪い情報は伏せて、契約を急がせる」などの行動に出られることもあります。
不動産屋があまりにも都合のよい情報だけを流してきた場合は、まずは疑うことが必要です。そのうえで、必要と考えられる経費を初めとする「リスク」はどのようなものがあるのかを聞くようにしてください。
また、「この土地は将来的に値上がりします」などのように言われたときは、その根拠となる情報にあたるようにします。
「節税になるからと不動産投資をしたのに、思うように節税効果が上がらない」という失敗の理由として、「税金への理解の甘さ」が挙げられます。
不動産投資をするとき、「節税」という言葉は当然頭をよぎることと思います。
しかし不動産投資における節税効果は、極めて限定的であることをよく理解しておきましょう。
不動産投資をすることで、そこに掛かった経費と利益が相殺できるようになります。また、不動産は「減価償却(=その物件が古くなると価値が下がる)」という性質を持っているため、実際には出費は生じていなくても、「経費」として扱われることができます。このため、もともとの所得税・住民税が高い人(=収入が多い人)の場合は、不動産投資による「マイナス」によって、所得税などを大きく軽減できる可能性があるのです。
ちなみに、子どもなどに対する相続・贈与を考えている場合は、不動産の方が現金よりも相続税・贈与税が安くなります。
ただ、上でも述べたように、不動産投資は「出費」をもたらすものでもあります。収入と資産が潤沢にある人の場合は、節税効果>実際の出費となることもありえますが、もともと収入が低い人の場合は、節税効果<実際の出費となることもあります。
このため、特に節税などを考えて不動産を購入する場合は、税金に関する理解を深めることが鉄則です。
ここまで、不動産投資のよくある失敗の具体例と、その解決策について紹介してきました。
最後に、「不動産投資の失敗を防ぐための心がけ」について解説します。
昔起きた事件を例に持ちだすまでもなく、不動産という大きな買い物を家族の同意なしで行うのは非常にリスキーです。人の意見を鵜呑みにする必要はありませんが、10人に相談して8人が反対するような状況ならば、「やめておくという勇気」を持つことが必要になるでしょう。
また人に相談しておけば、万が一トラブルが起きたときでも、そのトラブルを解消しやすくなります。
競売物件はもちろん、それ以外の一般的な物件であっても、不動産投資は一人だけで成功させるのは難しいものです。よほど知識がある人以外は、専門家の助けを借りましょう。もちろんその専門家の考えが正しいかどうかを冷静に精査する力は必要ですが、それでも、一人で行おうとする場合よりは成功率が高くなります。
またこのときは、不動産屋だけでなく、税理士などの外部の人間に相談するという選択肢を持っておくことも重要です。
物件をきれいにするリフォームやリノベーションは、不動産投資を成功に導く有効な手立てのうちのひとつです。また、繰り上げ返済は返済する金額の総額を安く抑えることのできる方法であり、これも有用です。
ただし、リフォームやリノベーションを行うためにはお金がかかります。また、繰り上げ返済をすることで手持ちの現金資金が減り、急場の出費への対応が難しくなったり、金融機関からの評価が厳しくなったりすることもあります。
これらの方法は、決して「悪い方法」とはいえません。しかしメリットもあればデメリットもあることを意識して、どうするべきかを考えていくとよいでしょう。
不動産投資は、「行えば必ず成功するもの」「不勉強でも成功するもの」ではありません。投資である以上失敗する可能性もありますし、また勉強不足の場合はその失敗確率が上がるものでもあります。
不動産投資は、先人たちの「よくある失敗」に学び、その失敗をクリアする方法を考えて、慎重に進めていくことが求められます。
IESHILコラムとは、不動産物件情報に関連してコラム等の関連情報も提供する付随サービスです。
ご利用により、IESHIL利用規約が適用されますので、規約のご確認をお願い致します。