中古マンションの流通市場が生まれてから、ITを駆使した新しいサービスが広がり始めた現在に至るまで、さまざまな不動産仲介サービスの流れについてまとめました。
更新日:2016年10月06日
イエシルコラム編集部
株式会社リブセンス
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今ではすっかり定着した不動産売買における仲介サービスですが、現在のサービスが提供されるようになるまでには、どのような出来事があったのでしょうか。今回は、中古マンションを中心とした不動産売買の歴史と現在についてご紹介します。
現在の不動産流通業のスタイルが定着するようになった最初のきっかけは、1965年に宅地建物取引業法が改正され、不動産会社の信頼度を高めるために届出制から免許制に変わったことです。
専門知識を持った担当者による不動産取引を行うため、宅地建物取引主任者(2015年4月より宅地建物取引士に変更)試験が実施されるようになりました。
中古マンション市場の流通が開始された背景には、マンションの新規供給戸数の増加の流れがありました。国土交通省のデータによれば、1968年には5.3万戸だった分譲マンションのストック数は、1973年には31.7万戸に増加しました。その流れを受け、住宅金融支援機構(当時:住宅金融公庫)は中古マンションへの融資を開始し、その頃から大手を中心とした不動産会社の中に中古マンション流通業を行う会社が出てきました。
他業界と比べて決定的に違うのは、不動産流通においては、売主側と買主側それぞれから依頼を受けた不動産会社同士が情報を開示し、協力し合うという点です。中古マンション市場が好調になると、不動産会社はマンションを売却する売主側と購入を希望する買主側の顧客それぞれから仲介手数料をもらい、分け合うような形態になっていきました。そのため、不動産情報の透明化を求める動きがありました。
そのような流れの中で不動産取引がオープンに行われるようになったきっかけは、1984年に大手不動産会社5社による「不動産流通促進協議会」が発足したことです。翌1985年には新たに2社が加わり、野村不動産、東急リバブル(当時:東急不動産地域サービス)、三井不動産販売、藤和不動産、小田急不動産、三菱地所住宅販売、西武不動産の計7社が加盟しました。加盟会社同士で物件情報を共有する「オープンマーケット」によって、スムーズな不動産取引が可能になり、協議会ではマニュアル制作や契約書の雛形作成なども行われました。
このような流れから、宅地建物取引業法に基づいた不動産流通機構、通称「レインズ」が設立されました。レインズの設立により、業者同士の不動産情報交換がよりスムーズになりました。
1990年代後半から、不動産業界は大きな変化を経験します。インターネットが発達して消費者にも情報が開示されるようになり、物件情報を閲覧できるサイトが登場しました。
例えば、賃貸物件なら、家賃や住みたいエリア、間取りや駅からの距離などの希望条件で検索して物件を絞り込み、希望に近い複数の物件の目途をつけてから選ぶという決め方がはじまりましたが、現在ではすっかり当たり前になりました。
また、中古マンションなどの室内のようすを確認することができる360°のパノラマ画像などのサービスが発達し、直接内見に行かなくても気になる物件の部屋の中のようすがわかるようになり、消費者の選択肢が広がりました。また、周辺状況の航空写真や公共施設までの距離などが表示されるサービスも登場しました。
ここ数年では、不動産とITを融合させた「不動産テック」が登場し、話題になっています。インターネットで情報を閲覧できるようになったとはいえ、不動産会社側と消費者側の間に歴然とした情報格差があり、「情報の非対称性」が問題視されていました。これらの問題を解決するため、若い経営者が設立したベンチャー企業を中心に不動産テックのサービスの開発が進められています。
例えば、昨年11月にヤフーとソニー不動産の共同開発によってスタートした不動産売買のプラットフォームサービス「おうちダイレクト」があります。所有するマンションの評価額がインターネット上でわかる「不動産価格推定エンジン」が提供されていて、売主は所有するマンションの物件情報を無料で掲載することができ、その際、仲介手数料はかかりません。これに対して、買主は気になる物件があれば売主に「買いたいリクエスト」を送信し、物件の詳細について売主に直接質問できるようになっており、実際に不動産取引に至ったときにはソニー不動産の担当者が行い、契約成立時に買主だけが成約価格の3%+6万円を支払います。
また、昨年9月に不動産投資直販サイト「jikauri」がスタートしました。このサービスにおいては、買主の資金調達情報や希望購入価格などが売主に開示され、売主が買主を選ぶことができます。これらのように、従来にはなかった画期的なサービスが続々と開発されています。
現在の不動産仲介サービスは、長い歴史の中で作られてきたものです。
定着には時間がかかりそうなものの、不動産テックの発達によって、保守的な傾向があった日本の不動産業界にも新風が巻き起こりつつあり、今後の不動産仲介サービスの形に広がりを見せていくのではないでしょうか。
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