売却依頼先の不動産会社は、大手と中小のどちらが良いか?

不動産売却を依頼する際の大手と中小の不動産会社の違いや特徴について解説します。

更新日:2016年08月19日

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イエシルコラム編集部

株式会社リブセンス

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東京・神奈川・千葉・埼玉の中古マンション価格査定サイトIESHIL(イエシル)が運営。 イエシルには宅建士、FPなど有資格者のイエシルアドバイザーが所属。ネットで調べてわからないことも質問できるイエシル査定サービスを展開しています。

この記事の要点
  • 大手と中小の不動産会社の情報力の差は縮まりつつある
  • 大手不動産会社では「囲い込み」に注意
  • 物件の価格査定では、大手と中小の不動産会社を織り交ぜて依頼する
  • 結局のところ、営業担当が誠実で有能かどうかがポイントに
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不動産会社と一口に言ってもさまざまですが、もし不動産の売却を依頼するとすれば、大手の不動産会社と地元の中小不動産会社、どちらに問い合わせた方がメリットは大きいのでしょうか?また、不動産売却に関して、両者にはどのような違いが見られるのでしょうか。
今回はこうしたテーマで、不動産業界に見られる傾向をお伝えします。

知名度とネットワークの広さが魅力の大手不動産会社

全国に多店舗展開する大手不動産会社の最大の魅力は、そのネットワークの広さです。

自社の支店を網羅するネットワークを生かして、売却物件の情報拡散を全国規模で広く行うことができます。また、自社ホームページが充実しており来訪者数も多く、情報が多くの人の目に触れるため、インターネットでの販売力も高いです。資金力も大きく、従業員数も多いことから、広告を広く大量に打つことができます。

さらには、抱えている見込客も多く、購入者層の情報をより多く持っているという点では、やはり地域密着の地元不動産会社より有利なケースもあります。企業ブランド力もあるため、買い手側からの問い合わせも多いでしょう。初めての不動産売却を依頼する際には、信頼と安心がある大手不動産会社に問い合わせる方が多いです。

コアな情報を持ち、専門性が高い中小不動産会社

地元の不動産会社の場合、従業員が少なかったり、1人で経営をしたりしている所もあります。店舗規模は当然ながら大手不動産会社にかないません。また、会社固有の物件情報を掲載したサイトのみでは、ネットでの販売力も大手より弱く、抱えている顧客の数も劣ります。ネームバリューのある大手不動産会社に比べると、安心感が薄いと感じる人が多いのは事実です。

しかし、その地元エリアに密着した中小不動産会社は、大手不動産会社も及ばない独自のネットワークや顧客情報を持っていることが多く、時に大手よりも売却を有利に成功させてくれることもあるのです。

例えば、その地域で古くから営業してきた不動産会社は、細分化された地域ごとの物件相場の推移を知っていて、価格査定の際に信頼できる根拠を提示してくれることも多いです。他にも、地元地主の物件を預かっていたり、地域限定の購入希望者の情報を持っていたり、時には相場より高く購入してくれる顧客を紹介してくれたりします。

全国規模のネットワークはなくても、一般消費者の目には見えない地元業者同士の付き合いや、古くから懇意にしている地主や消費者との太い横のつながりを持っていることが、不動産売却においてはしばしば大きな強みとなるのです。また、大きな販売力を築くために業務をシステム化している大手不動産会社と比べると、中小の不動産会社は取り扱う顧客の数が少ないぶん、一人一人の顧客に対して親身かつきめ細やかな対応も期待できます。

レインズに登録する物件については、大手も中小も同じ

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ひと昔前は、大手不動産会社と中小不動産会社の差は歴然と存在していました。しかし現在は、不動産指定流通機構の「レインズ」により、その格差が縮まりつつあります。不動産指定流通機構の「レインズ」とは、全国の宅建業者や不動産会社のみが閲覧できる、不動産情報を蓄積したコンピュータ・ネットワーク・システムです。

レインズへ物件を登録すると、インターネットを介して、瞬時にリアルタイムで全国の不動産会社に情報が共有されます。売却を依頼した不動産会社の規模が大手であろうと、中小であろうと、レインズにはフラットな物件情報として登録されます。その情報を閲覧した全国各地の不動産会社が、顧客に情報提供を行い、買主を探してくれるのです。

より具体的に言えば、売却を依頼したのが地元の中小不動産会社であっても、その会社がレインズにあなたの物件情報を登録すれば、その情報を見た大手不動産会社が、自社のホームページに物件を掲載することもあるということです。情報拡散力という面では、大手でも中小でも、その差を気にする必要はなくなっています。

大手不動産会社に売却を依頼する際のリスクとは?

最後に注意点として触れておきたいのが、近年明るみになった、不動産会社の「囲い込み」という問題行為です。

「囲い込み」とは、専任媒介で売却の依頼を受けた不動産会社が、売主だけでなく買主からも仲介手数料を得て報酬が2倍になる「両手仲介」をもくろみ、他社には「交渉中」など虚偽の取引情報を伝え、自社以外に物件を取り扱わせないようにする行為です。

この「囲い込み」により売主には、売却機会の損失という大きなデメリットが生じます。

この数年で、一部の大手不動産会社による「囲い込み」が明るみとなり、大きな問題となっています。こういった問題行為が横行する背景には、大手不動産会社の高い資金力を支える、担当営業マンに課せられた厳しい営業ノルマがあります。

お住まいの郵便受けに「このマンションを探しているお客様がいます」「お住まいの○○△丁目で、一戸建ての購入物件を探している人がいます」といったチラシが入り、自分の物件は売れる、と思い込む方がとても多いそうです。あたかも具体的な購入希望者が存在するかのような、この手のチラシも、不動産会社の地域担当者が売却物件を集めるために架空の情報を載せているケースがほとんどです。

ノルマの厳しい大手不動産会社で、売上を伸ばす両手仲介をするには、とにかくまず専任媒介で売却物件を獲得することが必要なのです。

大手不動産会社での売却を選ぶ時には、こうしたリスクを知っておく必要があります。また、予備知識を持たず、この手のチラシを頼りに不動産会社に問い合わせるのも要注意です。

まとめ

大手不動産会社の全ての営業マンが、上述のような悪質行為を行っているわけではありませんし、中小不動産会社であっても「絶対安心」ということはありません。いずれにしても、不動産会社が持つ情報の量、その質と深さ、カバーする地域の広さは会社規模によって違ってきますので、その会社の得意分野と売却物件の特性を照らし合わせてみることが大事です。

また、物件の価格査定は、大手不動産会社と中小不動産会社を織り交ぜて、複数の会社に依頼するようにしましょう。結局のところは、会社の規模よりも、窓口となる営業担当者が誠実で有能な人物かどうかが何より大切です。価格査定の担当者の対応を見ながら、依頼する不動産会社を選びましょう。

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