不動産売却査定で必ず抑えておきたいポイント

不動産の売却物件の価格を査定する時に注意すべきポイントをお伝えします。

更新日:2016年08月16日

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イエシルコラム編集部

株式会社リブセンス

IESHIL編集部

東京・神奈川・千葉・埼玉の中古マンション価格査定サイトIESHIL(イエシル)が運営。 イエシルには宅建士、FPなど有資格者のイエシルアドバイザーが所属。ネットで調べてわからないことも質問できるイエシル査定サービスを展開しています。

この記事の要点
  • 売却査定は、複数の会社に依頼し、根拠は確認する
  • 詳細の査定には購入時の契約書、公図、謄本、建物図面、測量図などの資料が必要
  • 相場よりも高すぎる売却価格には、「売れ残り物件」となるリスクがあり、注意が必要
  • 「査定価格」=「売却できる価格」ではなく、最終的に売主と買主が合意した金額が売却価格
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2つの査定方法

売却物件の価格査定の方法には、大別すると「簡易査定」と「訪問査定」の2種類があります。

(1)手軽に概算価格が分かる「簡易査定」

簡易査定とは、物件の所在地周辺における類似物件の取引事例や過去の成約事例、公示価格などに基づき、市場動向も考慮して、机上で概算価格を算出する方法です。そのため「机上査定」とも言われます。

不動産会社を訪問しなくても、物件情報をメールや電話で伝えるだけで依頼でき、かつ短期間で査定価格を知ることが可能です。インターネットの「一括査定サービス」などはこの簡易査定に当たります。


(2)現地訪問と詳細な調査から算出する「訪問査定」

訪問査定では、簡易査定に加え、実際に物件を訪れて周辺状況や日照条件、眺望など、現地を見なければ分からない物件の特色や状況を確認します。
さらに法務局や行政庁を回り、土地の形状や接道状況、法規制の有無、インフラ関係、権利関係などの調査を行い、成約できると思われる価格を算出します。「詳細査定」とも言われます。
訪問に要する時間は数十分程度、査定結果の報告までには数日かかるのが一般的です。


<簡易査定と訪問査定、それぞれをどう活用するか>

おおよその査定金額や相場を手軽に知るには簡易査定が適していますが、実際の売り出し価格を検討するためには、簡易査定だけでは不可能です。

それは、不動産とは同じものは2つと存在せず、その物件価格には、実際に現地に行かないと分からない、日照や風通し、匂いや音、周辺状況といった全ての特性が影響するからです。また、訪問査定は、売却を依頼する不動産会社を見極める機会でもあります。不動産売却を始める際は、簡易査定を利用しないことはあっても、訪問査定は必ず行いましょう。

また、売却期間を短く済ませたい場合は、初めから不動産会社に訪問査定を依頼し、不明点などは直接質問して依頼するかどうかを判断するも一方です。

じっくりと準備をして売却に取り掛かりたい方は、まず簡易査定で複数社の査定価格を取り寄せ、自分なりに不動産会社を絞り込んでから、詳細査定を依頼するのも良いでしょう。売却の査定は、大手不動産会社や地元の中小不動産会社など、最低でも3~5社には依頼しましょう。

<詳細査定の依頼に必要な書類>

訪問査定を依頼する時には、購入時の契約書、重要事項説明書、購入当初の資料、公図、謄本、建物図面、測量図などが必要ですので準備しておきましょう。また必要書類は不動産会社によっても異なりますので、事前にご確認ください。

査定価格の根拠はしっかり確認する

査定価格が提示されたら、その査定の根拠をしっかりと聞き、詳細な説明を受けましょう。
不動産会社には、査定価格の根拠を説明することが宅建業法で義務付けられています。不動産会社ごとの減価要因、増価要因をしっかりと理解するよう心掛けてください。

<高すぎる査定価格にはご用心>

査定価格は、高ければ高いほど良い、というものでもありません。

相場からあまりにもかけ離れた価格で売り出すと、引き合いがないまま売却期間が長引き、買い手からは「売れ残り物件」のように見なされがちです。そうなると、少しの値下げでは買い手が付かず、最終的に大幅に価格を下げなければ売れなくなってしまう、ということもあります。

最初の売り出し価格は、その後の売却期間にも大きく影響するため、とても重要なのです。

査定価格を基に最初の売り出し価格設定

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次に、査定価格を基に、周辺の類似物件との競合状況、売却時期、売主の要望を考慮して、物件が初めて市場に出る時の売り出し価格を設定します。

売却物件は、市場に登場したその時に、まず問い合わせが集中します。売り出し価格が相場の範囲内で、かつ競合物件よりも手頃感があれば、すぐに購入希望者が現れてそのまま早期成約、ということもあります。ですが、ここで買い手が見つからず、売却期間が経過してゆくと、問い合わせは少しずつ減少します。

次に物件に注目が集まるのは、広告内容を訴求力の高いものに改善した時か、思い切った価格変更を行った時です。この価格変更の決断もタイミングが重要ですので、機を逸することのないよう不動産会社と販売戦略を立てましょう。

<売り出し価格と査定価格の違い>

売り出し価格とは、売却期間中の営業活動により反響が期待できる「売りたい価格」の上限値です。
それに対して査定価格は、この金額であれば必ず売れるだろう、という「売れる価格」の下限値になります。

査定価格と成約価格

中古物件の価格は、最終的には売主と買主が交渉の上、合意した金額で決まります。売主の「売りたい価格」が売り出し価格、実際に「売れた価格」が成約価格です。

両者は、さまざまな要因により乖離するケースがほとんどですが、この乖離が少ないほど、売却はうまくいったと考えることができます。また、売却期間が長引くほど、売り出し価格と成約価格の乖離は広がる傾向にあります。

売り出し価格は査定価格より高く設定されることが多いようですが、成約事例を見てみると、実際の成約価格はおおむね査定価格の前後に落ち着くようです。諸費用を確認して資金計画を立てておこう

物件売却後の資金計画を、最低でも査定価格前後の金額で売却できると想定して立てておきましょう。また、住宅ローンの残債があるなどの場合には、決済と一緒に資金の移動がありますので、売却に掛かる諸費用についても調べて計算しておくと良いでしょう。

まとめ

物件の査定から売却の契約まで、不動産売却は精神的にも体力的にも、想像以上に疲れるものです。

売却のタイミングや価格設定を不動産会社と相談しながら進めていくのはもちろん、できるだけ売却期間が長引かないよう、価格査定の段階から、周辺物件や相場に関心を持ち、知識を身に付けて判断を重ねていくことが大切です。上に挙げた査定時に注意すべきポイントを参考に、納得のいく売却を行いましょう。

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